408.【後日談3】ソーセージ!
□前書き□
言うまでもないですが、猫に人間用のソーセージを与えてはいけません。
ペットショップ等で猫用の物をお買い求めください。
□□□□□□□□□□□
魔獣都市マタタビの中央広場。
今は深夜。
つまりネコ科魔獣の一番活発な時間。
俺は魔獣幹部達から、留守中の事について報告を受けていた。
といっても、時々猫像越しに見ていたので何となくは知ってるが。
「んなー(先週、人間国3つでそれぞれ勇者召喚があったみたいです)」
「にゃー(アイツら懲りないな)」
「肉球魔王様が何度注意しても、聞く耳を持たないねぇ。
滅ぼしちゃおうかねぇ?」
「うみゅう(命令1つですぐ滅ぼせる)」
「にゃー(やめぃ)」
放っておくと人間国が無くなりそうだったので止めた。
人間国の連中は気に入らない奴らだが、全員が全員悪い奴って訳じゃないしな。
とりあえず3つの国のトップに抗議文を送ってやった。
人さらいのマネはやめろ、と。
「ガゥゥ(他には、アザラシ科魔獣の各都市で食糧難が起きているようです。
原因は海の魚の疫病だとか)」
「にゃー(養殖している魚の餌に、薬を混ぜるように指導するか。誰が行く?)」
「アァー……マカ……セテ」
ゾンビキャットが引き受けた。
彼なら人一倍真面目だから安心だ。
魔獣国に属している以上、困った時はお互い様だ。
種族の差は関係ない。
「魚が入って来なくなるのは困るからねぇ」
「うんみゅ(アザラシ科魔獣といえば、魔獣都市シャケの魚肉ソーセージは美味)」
「ガォ!(お土産に魚肉ソーセージを希望するぞ!)」
「みゅ~(おいらも欲しいにゃ!)」
「にゃー(お前ら……ゾンビキャットは遊びに行く訳じゃないからな?)」
そして、周りのネコ科魔獣や、どさくさに紛れてリリーもお土産を要求している。
何でここに居るんだ。
オリバーの看病をするにゃ!とか言ってた気がしたが、飽きたのか?
「「「みゅんなおウガァァアア!(ソーセージ! ソーセージ! ソーセージ!)」」」
「アァー……行ッテ……来ル」
皆のソーセージコールを背に、ゾンビキャットが出発した。
何だこれ。
◇ ◇ ◇ ◇
翌日。森のツリーハウスにて。
俺はオリバー君の様子を見ていた。
おまけでリリーも隣に居る。
どうやらオリバー君は風邪をひいたらしい。
俺が居ない間に空気中の一部のウイルスが突然変異して凶悪になったっぽい。
普通の人間1人が感染したら、一晩で2都市が滅ぶくらいかな。
ま、俺が【森の主】の称号を利用して命令すれば、森の生物扱いであるウイルスは、一瞬で大人しくなるんだけどな。
科学者の俺にとってウイルスはどっちかというと生物じゃなく無生物なのだが、この世界では生物にカテゴライズされるらしい。
それが正しいか間違ってるかでなく、大勢に信じられている方に軍配が上がるらしい。
というわけで、ウイルスに活動停止を言い渡し、【ヒール】で免疫を活性化する。
「む、体が軽いッ!」
「みゅ~(元気になったにゃ? お尻嗅ぐにゃ?)」
「だから尻を向けるなッ!」
鼻や尻を嗅ぐのは、相手の事を知る手段であり、ネコ科の挨拶だったりする。
俺は鼻しか嗅がないけどな。
オリバー君の鼻を嗅ぐ。
ふむ、大丈夫そうだな。
さて、森の連中にお土産を配ることにしよう。
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