314.【後日談】添い寝


・コーディ視点


実験、終わり。

器具を仕舞い、ネズミをケージに戻し、実験ノートを片付ける。


ケージといえば、そろそろ庭に干していたのが乾く頃。


研究所を出る。

雑貨屋クローバーに隣接する、生活スペースの庭に出た。


そして、


……干していたケージの上に、小柄な猫サイズの不気味な魔獣が横になっている。

どうしよう。



「……あの」


「アァー……ナ……ン……デ……ショ」



皮膚が緑色で……内臓が透けて見える。

目が赤く、光っている。


ゾンビキャット。

この世に未練のある猫が、アンデッドとして化け出た魔獣。

魔獣の都市なら、アンデッドが居ても不思議じゃない。



「どいて……もらえる?」


「オァー……ヨ……イ……ショ」



魔獣が、ひょいと飛ぶ。


ぐぅ~。



「アァー……ゴ……ハ……ン……」



魔獣はしょんぼりする。

空腹、らしい。


確か、この都市では魔獣の世話を人間が行う……だったか。

私は免除されている。


しかし、世話が禁止されているわけではない。



「……来て。食べ物、あげる」


「アァー……イ……イ……ノ?」


「遠慮不要」



魔獣を抱きかかえ、私の部屋へ連れていく。


猫さんが作ったジャーキー?を取り出す。

原料は肉のみ。塩は使っていない。


ジャーキーを渡すと、ゾンビキャットは、ムシャムシャ食べる。



「ウ……マ……ウ……マ……」


「扉は開けておくから……食べたら勝手に出ていって」




私はベッドで横になる。

最近色々あって疲れた。




……。



…………。



……起きたら、ゾンビキャットが添い寝していた。



「ゴロゴロ……」



彼は気持ちよさそうに寝ている。


……私も、もうひと眠りしよう……。



この日から、ゾンビキャットが私の友達になった。

なお、干しっぱなしにしていたケージは夜露のせいで湿気てしまったので、後日もう一度干す羽目になった。

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