250.金眼夜叉 その2

森でのんびり木箱に入ってゴロゴロ言っていたら、アウレネが砂漠から帰ったようだ。



「にゃんこさ~ん、この子の言ってること通訳してくださいな~」



ふむ、白い猫だな。

鑑定、っと。


――――――――――――――――――――――――

鑑定結果

名前:未設定

Lv:25(67歳)

種族:猫

スキル:【視力強化Lv10】【身体強化Lv28】【切れ味強化Lv88】

【飛翔Lv25】


ステータス:

HP 1,339/1,339 MP921/921

ATK240 DEF155 MAT100 MDF380 SPD452 INT196 LUK90

称号:【金眼夜叉】【殺し屋】【ダンジョン踏破(3)】


強い魔獣と戦うことを生き甲斐とする猫。

最近、魔獣国で大虐殺を行い、金眼夜叉として恐れられている。

――――――――――――――――――――――――



何だこいつ。

猫のくせに、その辺の魔獣より強いぞ。



「みゅ~(おおっ、アンタが噂の大魔導士様の猫にゃのか!)」


「にゃー(エセ大魔導士、だがな)」


「みゅ~(いざ勝負にゃ!)」



白猫が飛びかかって来た。

本気で反撃するわけにもいかないので、避けて、首を押さえつけた。



「みゅ~(参ったにゃ~)」


「にゃー(もう暴れないか?)」


「みゅ~(今日のところは諦めてやるにゃ)」


「にゃんこさん、野良猫ちゃんと遊んでないで、何を言っているのか教えて欲しいです~」



俺が猫を放すと、アウレネが聞いてきた。

タイプライターで打って教える。

おい野良猫よ、タイプライターに乗るんじゃない。



「みゅう(何これ、変な台だにゃ)」



白猫を払い、タイプライターを仕舞う。

壊されたら困るので、板で筆談に切り替える。



「ほ~、つまりこの野良猫ちゃんは、にゃんこさんを倒すためにやって来たというわけですか~」


「何じゃと?! 皆の者、構えじゃ!」



シルフ婆さんの一声で、隠れていたエルフ達が一斉に弓の狙いを白猫に向ける。



「みゅ~(ん? 何あの人間達、おいらを狙ってるのにゃ?)」


「撃て!」



シュバッ。

矢が一斉に白猫へ放たれる。


が、白猫はジャンプして避けた。

しかも何か、尻尾をクルクル回転させて浮いている。



「みゅ~……みゅん(わっはっは! おいらの特技、にゃんコプターだにゃ!

そんなへっぽこ弓の狙いなんて当らな……連続で射るのはやめるにゃ!)」



すげぇあの猫。

エルフ達の放つ矢を避け続けている。

エルフって、普通に鳥相手に1発で矢を当てる連中だぞ?


と、観察している場合じゃない。

助けなければ。


四次元ワープで白猫を回収。

痛っ、暴れるんじゃない。


俺が白猫を守ったことで、エルフ達の矢が止まる。



「皆さん駄目ですよ~、この野良猫ちゃんは、にゃんこさんのお客さんです~」


「みゅ~(放すにゃ~、おいらを食べてもおいしくないにゃ~)」


「にゃー(食わないから。とりあえず話をしよう、な?)」



こうして森に新たな仲間が加わったのだった。

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