364.【後日談2】【クロスオーバー(メニダン)】四次元ワープを見せてやろう
・ヨツバ視点
猫さんが言うには、この近未来世界の日本の技術は、命君のダンジョンと私が居た現代世界の中間くらいらしい。
でも、所々に私の居た日本の面影がある。
この統一感の無い建物のゴチャゴチャ感とか、相変わらず黄色人種が多数だったりとか、非電子紙看板が日本語だったりとか。
で、私がこの近未来日本に来て、したいことと言えばただ一つである。
そう、この時代のオタク文化を堪能すること!
お土産? そんなの適当でいいんだよ。
重要なのは、当事者の私が楽しむことだ!
というわけで、四次元ワープで数回飛んで、秋葉原にやって来た。
で、家電用品店に入る。
まずはこの時代のPCを購入するぞー!
猫さん、私にPC買ってくれなかったし!
……。
…………。
…………え? この国に住人登録して無いと買えない?
外国人は買えない?
マジ?
……。
……くそったれ!
◇ ◇ ◇ ◇
・トミタ視点
俺は今、土倉花の部屋のベッドの上でコロコロしている。
俺という人物が何者なのかを、首輪型PCでタイプし、彼女に教えているのだ。
『というわけで、俺はネコ科魔獣の集う都市、魔獣都市マタタビを、魔獣幹部5体とともに作り上げたわけだ。
管理は全部、魔獣幹部に任せてるがな』と首輪PCでタイプする。
「お、おう……」
タイプされた文字は、この部屋電子紙入りの壁に描写される。
うーむ、電気の無駄遣いが激しい。
改良してやってもいいが、オーバー・テクノロジーを持ち込むと目をつけられるしなぁ。
「で、その肉球魔王様は、どうしてこの場所へ?」
『ヨツバが、俺の連れなんだが、日本に来たがっていたからな。
放っておくと勝手に日本に来て、他の神様に目をつけられそうだったから、俺が彼女のビザを入手してやった。
で、俺も息抜きがてらに、ヨツバの保護者として一緒に来たわけだ』
「うーん、色々とツッコミたい事はあるけど、今の話が全部本当だって言うのなら、スキルを見せてよ」
『いいぞ』とタイプする。
何が一番分かりやすいだろう。
【四次元空間】でいいか。
俺は四次元空間から、キャットフードの袋を取り出した。
「手品?」
『手品じゃないんだがな』とタイプする。
信じてなさそうだし、いっそ四次元ワープするか。
『行きたい場所はあるか? 四次元ワープを見せてやろう』とタイプする。
「どこでもいいの?」
『あぁ』とタイプする。
「じゃ、メイド喫茶『ブリティッシュ・ブレックファスト』の店内。
そこで私、バイトしてるんだよね」
『よーし、行くぞ』とタイプする。
俺は土倉花を連れて、四次元ワープした。
◇ ◇ ◇ ◇
・魔獣都市マタタビ
ここは宿屋の前。
肉球魔王様が旅行に出かけていることをネルから聞き、魔獣幹部達は嘆いていた。
「んなぁ(おお、肉球魔王様……我々もご一緒したかったですぞ!)」
「アァー……サ……ビ……シ……イ」
「ガゥゥ(俺も旅行してぇなぁ)」
「うんみゅー(お土産に外国のコイン欲しい)」
「で、どこに行ったのか教えて欲しいねぇ?」
「んー、猫さんが秘密って言ってたから駄目だよ」
ネルへ化け猫が質問したが、下手に居場所を教えたら付いてくる可能性があるので、肉球魔王様は旅先の場所は秘密にしている。
『何ということだ。旅先に連れて行って貰えないということは、肉球魔王様は俺達をまだ認めていないのか……』と炎の文字が浮かぶ。
炎のゴーレムが進化した炎の神獣、そして他の3体の神獣が、がっくり首をうなだれていた。
「んなおう(何を言ってるのですかな? 逆ですぞ。
認めているからこそ、肉球魔王様はネル様達を我々へ任せて旅へ向かわれたのですぞ!)」
「だから、肉球魔王様が留守の間、あたし達がしっかり守らなきゃねぇ。
この都市と、肉球魔王様の大事な人達を、ねぇ」
「……!」
4体の神獣はハッと顔を上げ、シャキッとした。
そうだ、連れて行って貰えなかったと
自分達が肉球魔王様の大事な人達を守らなければ!
期待に答えてみせますぞ肉球魔王様!
なお、肉球魔王様はネル達が留守中にどうこうされるほど弱くないのを知っているから、魔獣幹部達や4体の神獣には何も期待していなかったのだが。
それを指摘する者はここに居ない。
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