394.【後日談2】【クロスオーバー(メニダン)】日常へ


□前書き□


食虫、嘔吐注意。

食事中、食後に読むのは危険です。



□□□□□□□□□□□




四次元ワープでマンションの部屋に戻った。



「にゃー(帰ったぞ)」


「猫さん、テレビに映ってますよ、ほら」



『熊殺し、宇宙に現れた怪物と激闘?!』と題したニュース番組がテレビに流れていた。

熊殺しって何だ。この前の熊の事か。あんなの武器持ってれば人間でも出来るだろ。


チャンネルを回しても、どこの局も緊急速報と題して俺の事を映していた。

さすがに太陽を復活させた件については、コメンテーター達は的外れな憶測ばかり喋っていたが。


そして、ニュース番組によれば水星と金星も消滅させられていたらしい。

俺としてはどうでもいいし、地球の連中が水星と金星の資源を活用出来るとは思えないが。

仕方ないな。


四次元空間内でちょちょいと水星と金星を作って……元の場所へと遠隔設置。

これでいいだろ。



「狼の魔獣を討伐して来たんですね。

ですが、いつもみたいにホムンクルスに任せれば良かったのでは?」


『マスコミの目くらましにやったまでだ。

連中は俺が死んだと思ってる』と首輪型PCでタイプする。



わざわざコロコロジェット君に乗り、ゲーム内で使ったそっくりのシャケTシャツとパーティハットを着けて行ったのは、俺が肉球魔王様であると示すためだ。



『これで、俺と話をするためにマンション前でスタンバイする奴も居なくなるだろう。

普通に迷惑だったからな』とタイプする。


「そう上手くいきますかね?

マスコミがマンションの住人に、猫さんの事を聞きそうですが」


『聞いたところで、俺たちそもそも土倉花以外と会ってないしなぁ』とタイプする。



ピンポーン。



「お? インターフォンが鳴りましたね。

やれやれ、またマスゴミですか?

ん? 配達員? はーい」


『黒ぬこ山本の宅配便でーす。肉球魔王様のお宅はこちらでよろしかったでしょうかー?』


「にゃー(どうもー)」



俺はドアノブに飛び乗り、鍵を開ける。

ヨツバがドアを開ける。



「こちらにサインかハンコお願いしまーす」



俺は肉球スタンプを押す。



「ありがとうございましたー」



荷物のダンボールを受け取り、配達員さんが帰るとドアを閉めて鍵をかける。



「猫さん、何ですかそれ」


『頼んでた奴。というかヨツバのだぞ?』と打つ。



俺はダンボールを開ける。

首輪型PCに、小さな人形が100体。


以前外で肉を焼いていた時に注文した、ヨツバ用のPCとホムンクルスだ。



「うゎぁあああああ!!! ありがとうございまーす!」



ヨツバは首輪型PCだけ持って、向こうに行った。

ホムンクルスはいいのか?


まあいいや。

こっちで適当に設定しておいてやるか。


俺はダンボール箱に入り、ホムンクルスをいじり始めた。



◇ ◇ ◇ ◇



・ヨツバ視点


自分用のPC、ゲットだ!

ウイルスセキュリティソフトも入ってるし、早速ネットしよう!


どれ、ちょっとアダルティなサイトを、ふへへ。



『セーフティがかかっているため、このサイトは閲覧できません』



ファ○ク!


私はネットサーフィンを諦め、ゲーム世界に入ることにした。

そろそろダンジョン内の配下である彼らを実体化する準備を整えなければ。



◇ ◇ ◇ ◇



・トミタ視点



よーし、ヨツバ用のホムンクルス達を、ありえないくらい強力にしてやったぜ。

人格データはまだカスタマイズしてないが、そこはヨツバが好きにカスタマイズするだろう。


あと残っている事といえば、『メニィ・ダンジョンズ・オンライン』の世界の住人の事だな。

今日を入れてあと3日でサービスが終了してしまう。

それまでにゲーム内の世界の住人の意志を確認するとしよう。


ピンポーン。


ゲーム用のヘッドセットを被り、いざゲームの中へと飛び込もうとしたところで、インターフォンが鳴る。

誰なのか映像を覗いてみたら、土倉花だった。

何か用だろうか。


玄関のドアを開けてやると、いきなり彼女に抱っこされた。



「肉球魔王様! 無事だったんだ!」


「にゃー(離してくれ)」


「テレビに肉球魔王様そっくりの猫が、宇宙怪獣に突撃した後に爆発四散したのが映ってたから、てっきり地球を守るために死んじゃったんじゃないかって……。

あの猫、肉球魔王様のお仲間さん?」


『いや、俺だが』と打つ。


「ええっ?! 何で無事なの?! ってかどうやって帰ってきたの?!」


『この事は誰にも言うなよ。実は……』と、おおまかな流れを説明してやった。


説明して納得してもらうまで1時間もかかってしまった。

もう夕方じゃないか。


ヨツバはゲーム中だし、俺だけで食べるとしよう。



『夕食にするか。一緒に食べるか?』と打つ。


「いいの? じゃあ遠慮なく」



携帯コンロを取り出し、フライパンを乗せる。

もうすぐこのマンションを去ることだし、少しはマンションのためになる事をするか。


というわけで、マンションの中に居たゴキブリ、ハエ、アリ、ハチの幼虫成虫、ムカデを四次元空間で捕まえ、フライパンに乗せて焼く。

ガラスの蓋を乗せているから、逃げられないぜ。



「にゃー(ヒャッハー! 汚物は消毒だ~!!)」


「ぎゃぁぁあああああーーー?! オロロロロロ……」


「何事ですか?!」



土倉花の悲鳴と嘔吐でヨツバがゲームを中断し、起きてきて俺の料理を見た。

そして何故か俺は怒られてしまった。


いや、土倉花に昆虫いためを食べさせる訳がないだろう、腹壊すだろうし。

彼女には別の食事を提供するつもりだったし。


と抗議したのだが、土倉花は気分が優れないため、ヨツバが付き添って帰ってしまった。


1人残った俺は寂しく夕食を食べることにした。

う~ん、ハチの幼虫がクリーミー。



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