181.猫の詰め合わせ
城の前にある役場へ行き、貰った土地の家の解体許可や雑貨屋クローバーの改装許可、出店の許可を貰った。
職員は俺のことを知っているようだった。
いつもシュークリームありがとうございますと言ってくれた。
さて、俺の仕事はこんなもんだろう。
猫の集会所でも見に行くとしよう。
木箱をプレゼントしてやるぞ。
◇ ◇ ◇ ◇
猫の集会所に久々に来る。
お、去年の子猫は随分と大きくなっているじゃないか。
良いことだ。
「にゃー(おっす)」
「にゃん(こんにちは猫又様)」
「にゃー(長老は居ないのか)」
「にゃ(それが、先月亡くなりまして)」
幹部格の三毛猫が言う。
残念だ。もっと色々と話を聞いておけばよかったなぁ。
「にゃ(ですが、皆でおいしくいただきましたので心配無用です)」
「にゃー!(ええー! 長老食ったのかよ?!)」
「にゃおん(何か問題でも?)」
猫って、普通に共食いするんだな……。
まあ死んだ長老猫も、自分の死体が無駄にならずに済んで良かったと思っているだろう。
「にゃあ?(ところで猫又様は何か御用がお有りで?)」
「にゃー(そうそう、これ。おみやげだぞ)」
俺は木箱を1つ取り出し、広場に置いた。
「にゃー(箱だぁー!)」
「にゃん(箱! 入らずにはいられない!)」
「にゃむ(お前ら落ちつけよ、とりあえず俺が入り心地を確かめてやろう)」
猫達は、箱をスンスン嗅いだ後、よっこいせと体を入れる。
2匹までなら普通に入れるが、3匹となるときつくなり、4匹だとギュウギュウだ。
って、5匹目まで入ろうとしている。
「にゃー(狭い! だがそれが良い!)」
「にゃー(上質な香りがするぞ、この木箱)」
「にゃー(良い仕事してますねぇ)」
あっという間に、猫の詰め合わせの完成だ。
他の野良猫も羨ましげに見ていたので、箱をもう1つ取り出し設置した。
「にゃー(おい押すんじゃねぇ)」
「にゃー(ちょっと! 誰か私のおしり触ったでしょ!)」
「にゃー(あったかいナリィ)」
その後、箱を回収しようとしたら猛反対を食らったので、仕方なく放置した。
ま、誰か人間がそのうち回収するだろう。
しかし、箱は誰にも回収されず、そのまま猫の集会所に残り続けるのだった。
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