137.マットレス


フランベルの森の魔獣、動物達に何が出来るのかを検討する。



細かい作業班:アリ、バッタ、その他昆虫、ネズミ、死神カエル


大まかな作業:バッドクロウ、フランベルジュ、キングイグル


力仕事班:フランベルジュ、キラーボア、マッドベア



色んな魔獣、動物が居るが、役に立ちそうな奴らをおおまかに分類。

フランベルジュが2ヶ所居る? 気にするな!



「にゃー(今日作るのは、ベッドのマットレスだ)」



全員ハテナ?という顔をしている。


ネルが居る宿屋ですら堅いベッドだった。

一般家庭においては言うまでもないだろう。

マットレスを安く売ることで、快適な睡眠を提供するのだ。



「にゃー(ここに、エルフ達によって作られた布、そして綿がある)」



俺は布のロールを爪で程よい長さに切った物を2枚用意し、針を用意し、念動力で糸を通して縫う。

念動力は人力よりはるかに速く物を動かすことが可能だ。

わずか1分の間にマットレスの袋が完成する。

それに綿を詰め、詰めるための穴を再び縫い、完成。


俺がこの作業をすれば、MPが70近く削れてしまい、まともな数を用意出来ない。


だから、この作業を代わりにやってもらう。



「にゃー(極小の針と極細の糸は用意した。

糸が細いから、縫うラインを2列にしてマットレス袋を作ってくれ)」



材料を渡し、俺は作業を任せた。


もちろん作業させる連中は水洗いして汚れを落としている。

作業は自宅の敷地の一角に木の板を敷いて、その上で行っている。

む、上から葉っぱやホコリが落ちてくるな。

屋根を用意するか。


皆が作業している間、俺はやっつけ仕事で木製の屋根を作る。



「わ~、にゃんこさん、何だか面白そうなことしてます~」


「バステト様! どうかワシらもこき使ってくだされ!」



『人手は足りている』と書くと、二人ともシュンとなった。

何だ? 働きたかったのか?



「キュオオオオン!(どうである! 刺繍で我を描いたのである!)」



マットレスシーツの端に、布で作られた赤い竜が描かれていた。

器用なことするじゃん。



「にゃー(作るの数まだたくさんあるぞ?

全部にその刺繍を縫いつけるつもりか?)」


「キュオン……(それは手間なのである。勘弁して欲しいのである……)」



にしても刺繍か。

アイデアとしては面白そうだ。

いや、いっそ毛を使ってフェルトにするのはどうだろう?

俺や野良猫の毛で猫毛フェルト。

交換日記に書いて、ヨツバに相談しよう。


そんなことを考えながら、森の連中に作業を任せ、ベッドのマットレスが50ほど作られた。

よしよし。布屋の上等なマットレスは貴族用で高価だから、それより廉価で売るぞ。

10000Gくらいにするか。売れるといいな。


作業後、森の肉食、雑食連中の報酬に、グレイターチキンの肉を合計20㎏ほど渡す。

草食の連中には、彼ら専用の草を植えた畑を作ってやった。

定期的にスプラウトで種まきして草を生やしてやるとしよう。


そして結果、マットレスは無事に売れた。

というか、ナンシーさんが宿の部屋分だけ購入していった。

1人3個までだから、人海戦術にネルとマック君、近所のシャムちゃんまで動員したみたいだ。


以降、ナンシーさんの宿屋は、ふかふかのベッドで好評な宿となる。

客の睡眠の質が上昇し、俺とネルの昼寝もはかどるのだった。

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