282.【後日談】【クロスオーバー】俺達の商談を邪魔するんじゃない。運営に文句言ってやる


話を聞いていたのか、命君が口を挟んできた。



「そういうことなら、協力してやろう。

ただし金は取るぞ。人工音声さん、検索頼む……ふーん、これなんかどうだ?

おい茶トラ、弱い神を何体利用する?」


「にゃー(出来るだけたくさん)」


「ならボススポナーだな。無限沸きするからな。

1つにつき、3日ごとに1体沸くぞ。

何個欲しい?」


「にゃー(出来るだけたくさん)」


「1個につき……そうだな、10億Gほどもらおうか」


「にゃー(まずは実験用に1つ購入する。

実験が上手くいったら、9個追加購入する)」



俺は10億G、命君に渡した。



「何に使うつもりか知らないが、まいどあり。

人工音声さん、オワタ紙神のスポナーを購入。

設置よろしく」


――――――――――――――――――――――――

購入 オワタ紙神スポナー(500,000DP)

伊乃田命の手持ち299,299,757,525DP→299,299,257,525DP

――――――――――――――――――――――――


床が光り、折り紙で出来たやっこさんが現れた。


――――――――――――――――――――――――

鑑定結果

名前:やっこさん

Lv:1(2008歳)

種族:紙

スキル:なし

ステータス:

HP 1/1 MP1/1

ATK0 DEF0 MAT0 MDF0 SPD1 INT5 LUK1

称号:【オワタ紙神】


陰陽師が従えていた神の1種。

こいつは使い捨てのスパイのような用途で使われていたが、あまりにも軟弱なので見捨てられた。

1発どこかにぶつけたらすぐ死亡する、最弱の神。

――――――――――――――――――――――――


「ひらひら~(おお! 現世に呼ばれたのは久々ですぞ!)」


「にゃー(よし、実験開始だ。【強化蘇生】)」



寿命残り7日の、森産グレイターホッパーを蘇生した。


――――――――――――――――――――――――

蘇生結果

記憶損傷:0

魂損傷:60

魂損傷による残り寿命減少:7日→50分

――――――――――――――――――――――――


やはり蘇生したら寿命が削れるか。

そして、どんなに上手く蘇生しても魂損傷は避けられない。


このバッタを蘇生したのは1度目なのに、蘇生するだけで魂損傷60だ。


ちなみに、魂損傷が100を超えた魂は蘇生出来ない。

きっとそれ以上の損傷はハーディス様が管理しているのだろう。


【魂修復】というスキルを修得して修復を行っても、1年で1程度しか修復出来ない。

【魂創作】というスキルを修得して損傷部分を置換しようとしても、上手くいかなかった。

つまり今の俺では、誰かを蘇生してもすぐに死なせてしまうのだ。


なので、ネル達を蘇生するのは自重していた。

俺のワガママで彼女達と再会しても、すぐに別れてしまうから。


だが、この実験が上手く行ったなら。



「にゃー(バッタ君、そこの神を殺せ)」


「ひらり~(ええー?!)」


「ジー(そぉい)」



ぼすっ。

やっこさんは死んだ。


よし、鑑定。


――――――――――――――――――――――――

鑑定結果

グレイターホッパー残り寿命:50分→無限(ただし殺された場合を除く)

――――――――――――――――――――――――


「にゃー(くっくっく……ふふふ……アーッハッハッハ!)」



実験は成功だ。

これだけ弱い神を殺した場合でも、グレイターホッパーはきちんと神格化し寿命が無くなる。



「何だか楽しそうだな」


「にゃー(命君、追加でスポナーを9個購入してくれ)」



俺は90億G渡した。



「よし、任せ……」


――――――――――――――――――――――――

敵襲です。

謎のホムンクルス軍団を目視で30体確認。

姿を隠蔽した者を合わせて50体は居ると推定。

現在、敵はダンジョンを猛スピードで攻略中。

1階層ボス、人工強欲竜の死亡確認。

――――――――――――――――――――――――


「ちっ、何事だ。俺達の商談を邪魔するんじゃない。

運営に文句言ってやる」


「にゃー(俺に文句言われても困るぞ)」


「キェェエエエエエ!(敵は、どこのダンジョンマスターの配下や?)」


――――――――――――――――――――――――

それが、どこのダンジョンの所属でも無いようなのです。

――――――――――――――――――――――――


モニターが現れ、そこに映る人間そっくりの人形が独り言を喋り出す。


『うきゅきゅきゅ! この世界のダンジョンも、大した事ないでしゅ!

ダンジョンマしゅターを捕まえて、改造して支配しゅるのでしゅ!

そして、全次元に、あたくちの名を轟かせるのでしゅ!

Connected Reality搭載|人造人間(ホムンクルス)の大手会社、ホムンドールの名を!』


『世界は我ら、ホムンドールの物!』


『世界は我ら、ホムンドールの物!』


『世界は我ら、ホムンドールの物!』


「……」


「変な奴が来たな」

「にゃー(変な奴が来たな)」



俺が長年かけて試行錯誤して、ついに達成一歩手前まで来たネル達蘇生計画。

それを邪魔するとは許さんぞ。文句言ってやる。

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