20.帰れ
森の伐採場所をどうしようか悩んでいたら、以前に城で見た少年少女が何物かに襲われていたので、助けることにした。
「にゃー(『闇を照らせ。ライトニング』)」
チュドオオオオオオオン!
雷が落ちる。
「あびゃ~?!」
耳の長い金髪少女に直撃する。
あまり効いてないみたいだが、まあいい。
俺は3人を四次元空間に回収して、逃げることにした。
「ああ~! 待ってください~!」
金髪が追ってくるが残念、ここは俺のテリトリー。
けもの道、木の上、倒木の下などを駆使してまいてやった。
そして町に入り、城に潜入。
警備がザルすぎるぞここ。
医務室っぽい所を発見して、そこに3人を置く。
医務官っぽい奴が『この者に癒しを。レッサーヒール』
とか唱えていたから、何とかなるだろう。
俺は森に戻り、木を何本か切って四次元空間に収納し、ツリーハウスに帰ることにした。
◇ ◇ ◇ ◇
「お帰りなさいです~」
「にゃー(何でいるんだ)」
ツリーハウスの中に、先ほどの金髪少女がいた。
「まさかにゃんこさんの家だったとは、驚きです~」
俺は木を取り出し板に加工し、『帰れ』と文字を書く。
「おお~、文字が理解できるのですか~!
それはとても素晴らしいです~!
魔王様のお土産はあなたで決まりですね~」
金髪少女が俺を確保しようと手を伸ばす。
俺は避ける。
「……」
「……」
両者のにらみ合いが続く。
「にゃんこさん、あなたは四次元空間の魔法が使えます~。
人間にバレたら、きっとあなたを悪用しようとする輩が現れますよ~」
「……」
「魔王様なら、あなたをきっと悪いようにはしないでしょう~。
人間なんてクソ食らえです~。
私と一緒に来ませんか~?」
俺は『断る』と書く。
「残念です~」
彼女はやれやれ、と床に転がる。
俺は『帰れ』の文字を見せる。
「もう夜じゃないですか~。
一晩泊めてくださいよ~」
俺は『断る』の文字を見せる。
だが彼女は動かない。
もう知らん。
俺は壁づくりに取り掛かることにした。
木を取り出し、板に加工し、小さな穴を開けて紐を通し、支柱にくくりつける。
俺が紐をくくる作業に難渋していると、
「手伝いますよ~」
金髪少女がくくる作業を代わってくれた。
おかげで壁づくりに30分もかからなかった。
最後に壁に大きめの穴を開け、扉をつける。
ちょうつがいは無いので紐を使う。
完成だ。ああ、この閉塞感が素晴らしい。
狭い所って落ち付くよな~。
「真っ暗です~」
「にゃー(『闇を照らせ。ライト』)」
明りをつけてやることにした。
「わ~、ありがとうございます~」
彼女は何か書き物をしているらしかった。
俺は寝ることにした。
おやすみなさい。
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