565.【後日談6】ナンシーさんに避妊手術は必要無い


□前書き□


食事中、食後すぐの方は注意。



□□□□□□□□□□□





昼の宿屋にて。


俺は管理人室のベッドでへそを天井に向けて寝ていた。

サバさんもネルも居ない。俺1人、いや1匹だ。


今日はポカポカいい天気。

窓を少し開けているので、風も良い感じに当たって、まさに昼寝日和。


うーん、気持ちいい。



「なんなー(避妊手術して、2万マタタビゲットだぜー)」



窓の外のネコ科魔獣の声が聞こえる。


魔獣都市マタタビでは、避妊手術したらお金かかるどころか、逆にお金がもらえる。

それを喜んでいるみたいだ。



「んななー(2ぃ万あれば何が出来る~?)」


「ぎにぁん(おやつにお金が使えて、必ず大食いが出来る~!)」


「んななーお(ふーぅ!)」


「「んな゛に゛ゃ(うっ!?)」」



オ゛ェェ!


外でテンション高く歌ってたネコ科魔獣達が吐いたらしい。

うるせぇ。


俺は起き上がり、窓を閉めた。


ふぁぁああ。

あくびをする。


もうひと眠りするとしよう。


おやすみなさい。



◇ ◇ ◇ ◇



起きたら、夜になっていた。

ネル達は俺に気を遣って起こさなかったらしい。


俺はベッドから飛び降り、管理人室の扉にジャンプして飛び掛かって、開ける。



「あら、猫さん起きたのね」



扉の外にナンシーさんが居て、俺はひょいと持ち上げられ、抱っこされる。

そして俺の毛が無い部位をさする。



「猫さんも避妊手術しちゃったのね。

2回以上産んだ人間も避妊手術しろって言われてるみたいだけど、私も必要なのかしら」


「にゃー?」



ナンシーさんはそう言うが、魔獣都市マタタビの戸籍上は、ネルとヨツバはナンシーさんの養子扱いになっている。

なので出産0回扱いだ。避妊手術は必要無い。


という内容を、後でネルに伝えてもらうとしよう。


俺はキョロキョロと顔を動かす。

そういえば、ネルとヨツバの気配が宿屋内に感じられないな。



「ネルとヨツバなら、最近出来た定食屋に行ったわよ?

確か大魔導士食堂って名前の店ね」


「にゃー(ほぅ、俺も行くか)」



俺はナンシーさんの腕から、ひょいと飛び降りる。

代わりに、カウンターの下に隠れていたサバさんが、ナンシーさんに飛びつき、抱っこされる。


そしてナンシーさんに玄関を開けてもらい、俺は外に出た。



◇ ◇ ◇ ◇



木造で渋い見た目をした、大魔導士食堂。

ヨツバがオーナーをしている食堂だ。


と言っても、店長と従業員を雇って、ほぼ全て任せきりにしているみたいだが。


ネルとヨツバは、変装して店内に入っているようだ。

抜き打ちチェック的な事をしているんだろうか。

料理がぬるいですねぇ、とか聞こえる。


お、ネル達が食べ終わった。

彼女らがお会計をして、店を出る。

そして金髪に変えていた髪を、それぞれ元の色に戻した。


俺は物陰からネル達の前に、ひょいと飛び出る。



「うわ!? って、猫さんでしたか。こんなところで、何してるんですか」


「わーい、猫さんだー。おはよー」


「にゃー(こんばんはだぞ)」



ネルが俺の頭をナデナデする。

顎の下も撫でようとするが、俺はひょいと避けた。



「猫さん、ネコ科魔獣の従業員が料理を運んでる最中、つまみ食いをするのを、どうやって対策すればいいと思います?」


「にゃー(そもそもネコ科魔獣に料理を運ばせるなよ)」


「やっぱり駄目ですかね」



ヨツバがしょんぼりしたので、俺は彼女の肩に乗って、頭をポンポンしてやる。

元気出せよ。

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