146.晴れ時々猫が降るでしょう。


・護衛のパーシー視点


結局、ニコ様に対するストーカーが寄こした手紙は、送り主が誰だったのか分からなかった。


ま、俺としてはニコ様の傍に居られてラッキー……いやいや、ニコ様は困っているんだ。

喜んで良いことではない。


で、今日をもって俺はニコ様の護衛から外されてしまう。

国としては、これ以上意味のない護衛に兵力を削ぐのはもったいない、ということだろう。

俺は再び城の門番として、任務を全うすることになった。


そして、現在ニコ様を宿まで護衛中だ。

今日もニコ様の笑顔がまぶしいぜ。


宿にたどり着く。



「じゃあね、今までボクの護衛お疲れ様」


「はっ! 何か怪しい者が居た場合、すぐに知らせてください!」



ニコ様が宿に入るのを見届け、俺は城へ戻ることにした。


城門では、俺の友人2人が見張りをしていた。

俺を見つけると、こちらにやって来て背中をバシバシと叩く。



「よぅ! 元気出せよパーシー!」


「今日は俺が奢ってやるから、一緒に飲もうぜ! なっ!」


「……別に振られたわけじゃないぞ」



おせっかいな友人達に苦笑しつつ、俺は報告のために城へ入ることにした。



◇ ◇ ◇ ◇



・トミタ(猫)視点


そういや、今日でパーシー君は、マック君の護衛終了だなー、というのを思い出す。

結局俺は、手紙の書き主であることを明かさなかった。

そして、二人は進展しなかった。世の中上手くいかないもんだなぁ。


ま、それは仕方ないことだ。

俺の応援は無駄ではなかったと思う。

きっと、たぶん、おそらく、めいびー。


そんなことを考えていると、丁度良い感じの丘を発見した。

ここなら昼寝が捗るぞ。


俺はむしろを敷いて、寝転がる。

うーん、お日様が気持ちいい。


まさに昼寝日和。


……。


…………。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……。



な、何だ?

地面が揺れてるぞ?


そうかと思ったら、俺の居た場所が崩れ大穴が空き、俺は穴に落っこちてしまう。



「にゃー(あーれー)」



落下中にシッポを使って体勢を整え、スタッと地面に着地した。


顔を上げ、周りを見渡す。

暗いがここは地下空洞か?

先ほどの揺れは、空洞の真上にあった地面が崩れたということか?



「にゃー(『闇を照らせ。ライト』)」



明りを点けると、洞窟は奥に続いているらしい。

暗い洞窟とか、冒険心がそそられるな。


ちょっと覗きに行ってみよう。


洞窟内の空気に毒ガスが無いことを【鑑定】で確認した後、俺は洞窟の奥に進むことにした。

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