100.亡命
・亡命中のエルフ達視点
フランベルの森からさらに西の砂漠を渡ってくる、耳の長い種族が居た。
彼らは新魔王の軍から逃げてきたエルフの集団である。
数十人の集団が、ぞろぞろと歩いていた。
「シルフ様の場所へは、まだ着かないのか!」
「落ち付きなさい、日が落ちるまでには着くわ。
ほら、あの森よ」
森の近くにある砂漠には、アウレネとトミタが植樹した植物の苗が植わっていた。
「植樹の跡……アウレネさんがやったのか」
「そうでしょうね。
【スプラウト】は植物に通じた者しか使えないから、エルフ以外使える者が居るなら会ってみたいものだわ」
集団は砂漠を渡りきり、森へ入った。
◇ ◇ ◇ ◇
・トミタ(猫)視点
翌日、自宅でのんびりかまどで火を焚き、寝転がっていたのだが、頭の中に情報が入ってきた。
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森に侵入者、人間型数十人。
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俺の持っている称号のせいで、森に入った人間や動物なんかの情報が頭に入ってくることがある。
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鑑定結果
【森の主】
説明:森を統(す)べる者に与えられる称号。
自分の森への侵入者が居た時に分かる。
また、自分の森の魔獣に命令することが出来る。
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頻繁に森を利用している奴やどうでもいい奴の情報は入らないようにしている。
なので最近はあまり意識していなかったのだが。
どうやら数十人、何者か、人間型の何かが森に入ってきたらしい。
【鑑定】っと。
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鑑定結果
侵入した者:エルフ族
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「にゃー(おい、アウレネ)」
「どうしました~?」
『エルフ族が数十人、森に入ってきたそうだ。
心当たりは?』と書く。
「バステト様、その規模じゃと、おそらく集団で逃亡してきたと考えるべきじゃろう」
アウレネの代わりにシルフ婆さんが答える。
『逃亡?』と書く。
「おそらくじゃが、新魔王軍がエルフ族の集落を攻めてきたのじゃろう。
エルフ族は強力な魔獣を数匹テイムしている。
そやつらを殺して、経験値稼ぎでもするつもりだったのじゃろうな」
『経験値?』と書く。
「ああ、勇者……昔の勇者が言った言葉じゃ。
どうやら、それを溜めることで、魂がレベルアップし強くなるらしいわい。
強い者を殺すことで入手できると言われておる」
何だかゲームみたいな話だなぁ。
数時間後、エルフ族の集団が俺達の元へやって来た。
シルフ婆さんとアウレネの知り合いらしいから、少なくとも敵対はしないで良さそうだな。
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