245.モフ練 その1


森の自宅でのんびりしていると、金髪エルフのアウレネが近付いてきた。



「にゃんこさ~ん、モフらせてくださいな~」



ふむ、俺をモフモフしたいとな。

今日は機嫌が良いから許してやろう。



「わ~、プニプニです~」



まず前足と肉球を触られる。



「ふわふわ~」



次に背中をナデナデ。



そしてお腹を……おい。



「ふしゃー!(やめろよ!)」


「む~、今日も駄目ですか~」



今日だろうと明日だろうと、腹は駄目に決まってるだろ。

というか、毎度毎度アウレネはモフり方が下手すぎる。

モフられるこっちの身にもなってみろってんだ。


板を取り出し『今から一緒に町へ行くぞ』と書く。



「私とにゃんこさんで町へ? 何しに行くんですか~?」


『猫をモフモフするための練習、略してモフ練だ』と書く。



◇ ◇ ◇ ◇



ここはフランベル王都東の広場、通称猫の集会所。

奴隷の首輪もどきを付けたアウレネとともにやって来た。




「なーん、なーん(猫又様、また人間の娘を連れてきたのですか。

今回も適当に慰めてやれば良いのですか?)」


「にゃー(いや、今からこいつにモフモフするための理論、モフ理論を教えてやろうかと思ってな。

是非とも協力してくれ)」



俺は四次元空間からキラーボアの肉をチラ見せする。



「なーお!(お安い御用です!

おい、お前達! 仕事だぞ!)」


「みゃー(やだー、お昼寝するー)」


「ぐみゅ(こんな天気の良い日に寝ない奴は、猫じゃねぇ。

ってことでおやすみ)」



幹部猫の命令を無視する猫達。

気持ちはよく分かる。

ほんと良い天気だなぁ……




「なおん!(猫又様、申し訳ありません、他に協力者が得られなかっ……猫又様まで寝ないでくださいよ?!)」



おっと、ポカポカ陽気に誘われて一眠りするところだった。


こうして、俺と幹部猫によるアウレネ指導が始まった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る