第397話 ボルの人界征服編 パート10
フレイムとオーシャンがロキさん達と戦っていた頃、ビバレッジは単独行動で王都シリウスの上空を飛んでいた。
「俺が『ホロスコープ星国』を滅ぼしてやるぜ。とその前に、俺の肉体美をこの国の国民達に見せつけてやるか!」
ビバレッジは極度のナルシストである。そして、特に自慢の肉体美を見せつけるのが大好きなのである。ビバレッジの身長は2m30cmほどあり体重は210kgである。しかし、体脂肪率は8%で無駄な脂肪は全くないのである。ビバレッジの肉体はほとんどが筋肉で構成されていている。
「あの家の前にはたくさんの人が集まっているな。俺の彫刻美のような美しい肉体と圧倒的な力を見せてやる」
ビバレッジは鼻の下を伸ばしながら、ニタニタとニヤけながら人混みの中へ降りていった。
「キャーーー、変態よ!」
「何この人気持ち悪いわ」
とあるお店の前に並んでいた人々は悲鳴をあげて逃げていった。しかし、みんなが逃げるのは当然である。ビバレッジは、自分の肉体美を見せつけるために、パンツ一丁で上空から降りていったのである。
急に空からパンイチの巨漢の男が現れたら、誰でも逃げたくなるのは当然であった。
「ガハハハハ・ガハハハハ」
ビバレッジは逃げ惑う人間を見て喜んでいた。もちろんビバレッジは自分の肉体美を見て恐れをなして逃げていると思っている。しかし、実際は変態が現れたと思ってみんな逃げているのである。
「俺のサイドチェストを見るがいい」
サイドチャストとは文字通り横から胸の筋肉をアピールするポーズである。
「次はフロントダブルバイセップスだぜ」
これは上腕二頭筋をアピールするポーズである。
ビバレッジは次々とポージングをするが誰も見ていない。というか、気持ち悪がってもう誰もいないのである・・・いや、まだ2人だけその場にいた。
「横入りは許さないわよ」
ビバレッジに文句を言ったのはサラちゃんである。
サラちゃんはアリエルに連れてきてもらって、美味しいパン屋の最後尾に並んでいた。そして、ジェミニをポルックスの元へ連れていき、もうダッシュでパン屋に駆けつけたポロンさんがサラちゃんの後ろに並んでいたのである。
「サラちゃん、変質者に声を掛けるのは危険よ」
ポロンさんも他の人と同様にビバレッジの姿を見て変質者だと判断した。
「変質者でも順番を抜かすのは良くないわよ!」
サラちゃんはずっと待たされていたので不機嫌なのである。しかし、ビバレッジが他の人たちを追い出してくれたので、少し嬉しそうにニヤついていた。
「私たちの後ろにきちんと並ぶのよ!」
サラちゃんは、ポロンさんの後ろに並ぶように指示を出した。
「お前は俺が怖くないのか!」
ビバレッジは、自分の肉体美を見て、みんなが恐れをなして逃げたと勘違いしているので、自分に声を掛けてくるサラちゃんを不思議に思っている。
「うるさいわよ!私が優しく言っている間にきちんと並ぶのよ」
「そうよ!そうよ!」
サラちゃんの後ろに隠れてポロンさんも叫ぶ。
「俺を恐れないとはいい度胸だ。その度胸に免じて俺の名前を教えてやろう」
「早く並ぶのよ!」
サラちゃんは口を開けて炎を吐き出した!
マグマのような煮えたぎる炎がビバレッジを襲う。
「俺は『一天四神』最強の男ビバ・・・グギャーーー!!!」
サラちゃんの炎がビバレッジの左腕に直撃した。ビバレッジの左腕が炎に包まれて燃え上がる。
ビバレッジは自分の左腕を引きちぎり放り投げた。
「魔力障壁で守れている俺の腕が燃えるなどありえない・・・」
「あの変態、自分で腕を引きちぎりましたわ!」
ポロンさんはサラちゃんの後ろで腰を抜かして驚いている。
「ポロンさん、あいつは神人です」
ポロンさんの精印からイフリートが現れた。
「神人?」
「はい。神人とは表天界に住む神から力を授かった者のことを言うのです」
「それなら悪い人ではないのかしら?」
「神人が人界に干渉するのは禁止されているので、人界へ来たということは悪い神人だと推測されます」
「そうなのね。どうしたらいいのかしら」
「神人はかなり強いと聞いています。サラマンダー様に判断を委ねた方がいいと思います」
「サラちゃん。あの変態は神人みたいよ。どうしたらいいのかしら」
「神人であろうが神であろうがちゃんと並ぶのよ!」
サラちゃんは口を大きく開けてさらに火炎を吐き出した。
「調子に乗るな!」
ビバレッジは右腕に魔力を込めて右腕を巨大化させた。そしてその巨大な右腕の手のひらで火炎を叩き付けた。
「生えろ俺の左腕!」
ビバレッジは、魔力を無くなった左腕の付け根に集めた。するとじわじわと左腕が再生するのである。
「少し油断をしてしまったようだ。亜人にエルフに妖精かぁ・・・神人の恐ろしさを見せてやろう」
「サラマンダー様、相手は神人です。力を加減していては危険だと思います」
「あ!私の番よ」
サラちゃんは見逃さなかった。パン屋の扉が開いて1人客が出てきたことを!
サラちゃんは、目にも止まらぬ速さでパン屋に入っていった。
「イフリートどうするのよ!サラちゃんがいなくなってしまったわよ」
「ここは私とポロンさんで頑張るしかありません」
イフリートは覚悟を決めたのである。
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