第259話 ホロスコープ星国 パート36
私は、大好きなベガちゃんを置いて、1人でカペラの町に行くことはできない。なので、気合を入れて、私はベガちゃんを持ち上げて、運ぶことにしたのである。
『ズドン・ズドン』
ベガちゃんの重みが、私の腕の激しくのしかかる。
「ふんぎゃーー」
私は掛け声をあげて、ベガちゃんをお姫様抱っこして、炎の翼を出して空に飛び上がる。
私は、血を吸いすぎた蚊の様に、フラフラと宙に浮かぶが、王都の塀を越えることはできないのであった。
「ベガちゃん、ダイエットしましょう」
私は、ベガちゃんを地面に下ろして、ダイエットをするように説教したのであった。
「ヒヒーーンヒン」
ベガちゃんは「眠たいです」と言って、地面に横になって、寝てしまったのであった。
「ベガちゃん、ダイエット!ダイエット!」
私は馬語はわからないので、ベガちゃんにダイエットを促すが、ベガちゃんは気持ち良さそうに眠ってしまったのであった。
★時は少し戻ります。
「サジタリウス、どうなっているのだ」
黒い鎧をきた小柄な男が言った。
「レオとスコーピオは、睨み合いをしているみたいだ」
黒い鎧を着た長身の細い男が言った。この男は『星の使徒』の1人のサジタリウスであり、国王の精鋭部隊の1人である。そして、サジタリウスと話している男も『星の使徒』のピスケスである。
サジタリウスとピスケスは、ジェミニ王の命令でスコーピオを監視しているのであった。
サジタリウスの『ゾディアックサイン』の能力は、『超狙撃』と『超ノゾキ』である。
『超狙撃』とは500m離れたところからも、弓を打つことができる能力である。『超ノゾキ』とは、500m先まで見える視力を持っていることである。
サジタリウスは、この二つの能力を使って、遠方から攻撃を得意としているのであった。
一方ピスケスの『ゾディアックサイン』の能力は『水泳』と『水鉄砲』である。なので、水中での戦いが得意である。しかし、ここには、川も海も湖もないので、特に役に立たないのであった。
「何かトラブルでもあったのだろうか・・・」
ピスケスは考え込む。
サジタリウスは、遠くを見ることはできるが、音までは聞こえないので、何を話しているのかわからないのである。
「おかしいぞ」
サジタリウスがポツリと呟く。
「どうしたのだ!」
めっちゃ気になるピスケス。
「それが、アダラの村を監視しているはずのレオとキャンサーが、村から離れ行くぞ」
「それはおかしい・・・レオとキャンサーは、ジェミニ王からレジスタンスのアジトを見つけるように命令を受けていたはずだ」
考え込むピスケス。
「代わりにスコーピオが、アダラの村に入っていったぞ」
サジタリウスは興奮しながら言った。
「どうなっているのだ。スコーピオは、一体何をしにアダラの村に来たのだ?」
考えこむピスケス。
サジタリウスは、ずっとスコーピオを監視しているが、遠く離れて監視しているだけなので、全然情報を掴んでいないのであった。なのでスコーピオがポルックスと内通していることも把握していない。
サジタリウスは、スコーピオを遠くから見守っているだけであった。
「このままここで、監視を続けるか?」
サジタリウスは、不安げに言った。サジタリウスもここでじっとしていたら、何も状況を掴めないのはわかっている。しかし、控えめな性格な為、ピスケスにリードして欲しいのであった。
「ここで待機するか」
ピスケスは静かに言った。ピスケスは、近くに川や湖などないと、自分の力を発揮できないので、岩山に面したアダラの村では、強気になれないので、無理をしないのであった。
サジタリウスとピスケスは、全く監視の役目を果たすことなく、スコーピオを自由に泳がしているのであった。
「ピスケス、一つ言い忘れたが、スコーピオたち以外にも、1人の女の子がいたぞ」
サジタリウスは、真剣な顔で言う。
「可愛い子か?」
ピスケスは、興味津々であった。
「可愛い女の子だ」
「本当か!もしかしたら、あいつらはその子を奪い合っていたのではないか?」
ピスケスは、目はギラギラと輝いている。
「それはないだろう。まだ10歳くらいの幼い女の子だったからな」
「チェッ、面白くない。あいつらのゴシップを手に入れたのかと思ったのにな」
ゴシップ記事が大好きなピスケスであった。
サジタリウスは、その女の子が、空を飛んで王都へ向かって行ったという貴重な情報を伝えずに、これで女の子の話題は終わったのであった。
★スコーピオ視点になります。
「スコーピオさん、お久しぶりです」
「マテオ村長、お久しぶりです」
2人は久々の再会を握手でお互いを歓迎した。
「レオとキャンサーを追い出してくれたのですか?」
「私が追い出したのではありませんが、結果的にはこの村から出て行きました」
スコーピオは、簡単な経緯をマテオに説明した。
「そうですか。その女の子に感謝しないといけませんね」
マテオは嬉しそうに言った。
「そうですね。私も彼女には助けられています」
「それで、今後レジスタンスの活動はどうなるのでしょうか?」
マテオは真剣な表情で言う。
「そのことで、ワラキアに会いたいと思っています。アジトに案内してもらってよろしいでしょうか?」
「もちろんです」
スコーピオはマテオに連れられて、レジンスタンのアジトへ向かったのであった。
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