第258話 ホロスコープ星国 パート35


 私は、追加報酬がいくら貰えるか気になって、すぐにでもカペラの町へ戻りたい。しかし、王都にベガちゃんを残してきたことを思い出したのであった。私は頭の中で、追加報酬とベガちゃんを天秤にかけたら、わずかの差でベガちゃんが勝利したので、私は王都に戻ることにしたのであった。



 「ポルさんにすぐに報告したいのですが、私は王都に戻らないいけないのです」



 私は切実な顔して言った。



 「王都に何か用事があるのですね。それなら、ポルックス様への連絡はレオとキャンサーに任せるといいと思います」



 スコーピオが笑顔で言った。



 「フェニちゃん、俺たちに任せてくれ」



 レオは、少しでも私の役に立ちたいので、嬉しそうに言った。



 「ライちゃんお願いします。私も王都で用事を済ませたら、すぐに向かいます」


 

 私は、素敵な笑顔で言った。



 「先に行って待ってます」



 レオは、私の素敵な笑顔を見て、とても満足しているのであった。



 「しかしフェニさん、王都の門は、アリエルが警護していると思います。アリエルは、用心深い人物です。フェニさんを、簡単に通してくれるとは思えません」



 スコーピオは深刻な顔をして言う。



 「俺がアリエルを倒してやろうか」



 キャンサーの目つきが真剣になった。



 「それなら、俺も加勢してやるぜ」



 レオが力強く言った。



 「待ってください。いきなりそんなことをしたら、王都が大混乱してしまいます。もっと慎重に行動してください」



 スコーピオはアタフタしている。



 「私は1人でも大丈夫です。だって私は空を自由に飛べるのですぅ〜」



 私は炎の翼を出して、上空に飛び上がった。



 「素晴らしい・・・空を自由に飛べる人間は、アリエルくらいだと思っていました」



 レオが私が空を飛んでいることに感動していた。




 「アリエル?私のがすごいです」



 私はアリエルという人物が、空を飛べると聞いて、嫉妬してしまったのであった。私はリプロ様の弟子である。弟子である私が、アリエルというわけのわからない人物に、負けるわけにはいかないのである。


 私は、まだ不慣れながらも、空を自在に飛んで見せて、私の飛行技術を見せつけたのであった。



 「これは、アリエルの飛行技術とは比べ物にならないほど精度が高いですね」



 スコーピオは、驚きを隠せない。



 「本当だぜ。アリエルはただ宙に浮いて、ゆっくりと飛行するだけだ。しかしフェニちゃんは自在に空を飛んでいるし、飛行速度が断然に違うぜ」


 「さすが、フェニちゃん。俺たちのリーダーです」



 レオとキャンサが私を褒めちぎる。



 「そうでしょう。すごいでしょう」



 私は満面の笑みで言った。



 「すごいです。それなら王都に簡単に侵入できると思います」



 スコーピは手を叩いて、私の飛行技術を褒めてくれた。



 「今から、王都へ行ってきます」



 私は、みんなに大きく手を振って、王都へ目指すのであった。



 「俺たちも行くぜ」


 「そうだな」



 レオとキャンサーはカペラの町へ向かった。



 「私は、村長に事情を説明してきます」



 スコーピオは、アダラの村の村長に、現状の説明をするのであった。



 

 私は、快適な空の旅を終えて、ヴァンピーの家に戻ってきた。そして、大好きなベガちゃんに会うために急いで厩舎へ向かった。



 「フェニちゃん!!!どこへ行ってたのよ」



 ベガちゃんのいる厩舎の前で、鬼のような形相のヴァンピーが、仁王立ちしていたのであった。



 「翼が生えたので、アダラの村に行ってきました」



 私は、空気が読めない女の子である。なぜヴァンピーが怒っているのか理解できないので、にこやかに答えるのであった。



 「フェニちゃん、翼が生えておめでとう!でも、なんで黙って1人で行ったのよ!全然フェニちゃんが帰ってこないから、どれだけ私が心配したかわかっているの!」



 ヴァンピーは、私が散歩してくると言って、全然帰ってこないので、心配していたのであった。もしかして、アリエルに捕まって、城に拘束されているのではないかと思って、仲間の魔法士に頼んで、状況を確認してもらっていたのであった。


 しかし、いくらシリウス城内を調べてもらっても、私の情報が出てこないので、心配で寝ることもできないのであった。



 「ごめんなさい」



 私はやっと状況を把握して、ヴァンピーに、心配をかけたことを真摯に受け止めて、きちんと謝罪したのであった。



 「無事ならよかったわ。それで、レジスタンス状況はどうだったの?」



 ヴァンピーは、いつもの優しい顔に戻った。


 私はアダラの村の出来事を説明した。



 「レオとキャンサーが仲間になるんて、想像できないわ」



 ヴァンピーは驚きを隠せない。



 「ライちゃんも横走りちゃんもいい人ですよ」



 私は嬉しそうに言った。



 「横走りちゃん・・・キャンサーも落ちたものね」



 ヴァンピーは、悲しげな目をしていた。



 「私も今から、ベガちゃんを連れて、ポルさんに会いに行きます」


 「ベガちゃんを乗せて、空から飛んで行くの?」



 ヴァンピーは呆れた顔をして言った。



 「はーーい」



 私はにこやかに答える。



 「フェニちゃん、ベガちゃんの様子を見てみなさい」



 ヴァンピーはベガちゃんを指差した。私はヴァンピーが指差した方向を見る・・・


 そこにはマルマルと太ったベガちゃんの姿があった。


 ベガちゃんは、厩舎に用意されていた美味しい果物を、これでもか!と言わんばかりの量を食べていたのであった。


 ベガちゃんは、お腹がタプンタプンになって全く動ける気配はない。しかも、かなり増量されたベガちゃんを乗せて、カペラの町なで運んで行くのは、大変だと感じたのであった。



 

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