第362話 魔石国家ケルト王国編 パート32
⭐️場面は魔界になりカァラァ視点になります。
「僕はいつになったら表天界へ行けるのですか?」
「カァラァ様もう少しお待ちください」
「もう三日も待っているよ。これ以上は待てないよ」
「まだ、表天界からの回答はありません。無断で表天界に入ることはできません」
ナレッジの様子を見ると何か隠していると僕は感じていた。
「君の能力を使えば簡単に表天界に行けるはずだよね」
ナレッジはさほど強い魔人ではないが、レアな能力を持っているので、重宝されて魔王参謀長官にまで上り詰めたのである。ナレッジの能力『時空の番人』は、あらゆるところへ自在へ行くことができる能力である。それは、魔界だけでなく、人界、表天界、裏天界、冥界などどこへでも行けるのである。
しかし、全魔王である僕の父から、その力を使うことを禁じられていた。
「申し訳ありません。この力は前魔王であるカイザー様から使うことを禁じられています。私はこの能力を使わないことを約束して、今の地位まで上り詰めることができたのです」
僕は、詳しく知らないがナレッジの能力はかなり危険な能力であるとお母さんが言っていた。なので、お姉ちゃんが人界へ送られる時も、通常のルートで人界へ送られたと聞いている。しかし、僕はナレッジを信用はしていない。ナレッジから感じるオーラは、僕たちに敵対心を持っていると推測される。これは弟であるリプロも言っていた。
「黙っていればバレないよ。君も本当は使っているのだろ?」
ナレッジの顔があからさまに引きつった。ナレッジはわかりやすい性格である。
「そ・そ・そんな・・・ことはありません」
明らかにナレッジは動揺している。
「お母様は騙せても僕に嘘は通用しないよ。あいつらみたいに頭をはねてやろうか!今は優しいリプロはいないから、お前を蘇生できる人はいないよ」
僕は微笑みながら言った。
ナレッジは、初めからカァラァの表天界行きの許可を取ってはいない。許可を取ったと嘘をついて表天界へ侵入させて、不法侵入で表天界で拘束させよとしているのである。そして、確実にカァラァを拘束するために、裏天界の王であるウーラノスに協力を要請しているのだが、ウーラノスのから返答がないのである。
「わかりました。どうなっても責任は持てませんがよろしいでしょうか?」
ナレッジは、ウーラノスの協力は諦めて、表天界の住人である神人にカァラァの拘束を願うことにした。もし、カァラァが表天界へ不法侵入したことが、神人に見つかったら拘束されるのは確実である。
「自己責任でいくよ。帰りは転移魔法で帰れるから問題ないしね」
魔界から天界へ行くには許可をもらってゲートを開いてもらわないといけないが、ナレッジの能力を使えば、ゲートがなくても侵入できる。そして、帰ってくる時は転移魔法で帰ることができるのである。しかし、ナレッジには秘策がある。『時空の番人』の能力には転移魔法を阻害できる能力があるのである。ナレッジは、カァラァが神人に見つかって転移魔法で逃げよとしたら、魔界に戻れないようにしようと思っているのである。
「わかりました。それでは表天界へ転移させます」
ナレッジは『時空の番人』の能力を使って僕を表天界へ転移させた。
「神王城のど真ん中に転移させてやるぜ」
ナレッジは不敵な笑みを浮かべながら言った。
しかし、ナレッジが表天界の中心部である神王城に転移させることは、僕にはわかっていた。神王城は表天界の神王であるオーディンの住むお城である。許可もなく僕がいきなり神王城に現れたら、すぐに拘束されてしまうであろう。でも、僕はお姉ちゃんの難病を治すために表天界に行くのである。魔界でも治す方法が見つからなかったのに、表天界に行ってすぐに見つけることができると思っていない。なので、コソコソと表天界で探すよりも、表天界の神王であるオーディンに聞くのが1番早いと思ったのである。
ナレッジの思惑と僕の思惑が一致しているので、僕はナレッジに転移を依頼したのである。
僕が転移された場所は、神王城の大きな食堂のテーブルの上だった。僕は豪華な料理と一緒に並ぶことになった。
「これは、急な出前ですか?」
アプロスが笑いながら言った。
「可愛い男の子は私は好きだわ」
僕に微笑みながらパイスは言った。
「あと、五年は寝かせてからじゃないと私の相手は務まりませんわ」
嬉しそうにオリーブが言った。
パイスは、神ヘーラから力を授かった3神嬢の1人である。赤い長い髪の美しい女性で体の線がわかるタイトの服を着ているセクシーな姿は神人のマドンナ的な存在である。
オリーブは、神アテネから力を授かった3神嬢の1人である。緑色のショートカットの女性で小柄で元気なオリーブは3神嬢の中ではムードメーカー的な存在である。
「君が、カァラァ君だね。ウーラノス様から魔界から来客があると聞いていたよ。まさテーブルの上に現れると思いもよらなかったよ。魔人は礼儀作法がなっていないのだな!」
神王であるオーディンは、最初は笑みを浮かべていたが、食事を邪魔されたことに腹が立っているのであった。
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