第96話 鬼の島パート4
私は、もうスピードで血の池地獄へと向かった。クラちゃんが心配だからである。クラちゃんがトロールキングに倒される心配ではなく、何かやらかさないかと心配しているのである。
血の池地獄とは、真っ赤に染まった大きな湖であるが、その湖は、程よい温度で気持ちよく、とてもリラックスできる温泉である。しかも美容に良くて肌がすべすべになるらしい。トロールキングは、この温泉を気に入って毎日血の池地獄につかり、のほほんと生活をしているのである。
トロールキングが、血の池地獄を支配しているので、オーガでさえその温泉に近づくことが出来ないという。温泉に近寄った者は、トロールキングの金の棍棒でボコボコに殴られるらしい。
「温泉かぁー。久しぶりに入ってみたいな。・・・そうだ、水着を作っていこう」
私は、急停止して水着の作り方を調べて、魔法で水着を作る事にした。急いで、血の池地獄へ向かう予定が、急用ができたため遅れる事になりそうだ。しかし、美容に効く温泉に行くのに、万全の準備をしておかないと、危険な目に会うかもしれないので私は慎重に行動した。
私は、温泉の準備を万全にして、血の池地獄へと再び向かったのであった。
血の池地獄につくと、大きなイカがのんびりと血の池地獄に浸かっていた。とても気持ちよさそうな顔をして、白いイカが茹でられたように赤くなっていた。もちろんこの大きなイカは、クラーケンでありクラちゃんである。
そして、クラーケンの肩を丁寧に揉んでいるのがトロールキングである。
トロールキングは、体長15mもある大きなトロールである。無限に細胞の再生力を持ち、強大なる腕力、そして、10mの金の棍棒を振り回す恐ろしい魔獣であるが・・・クラちゃんにしてみたら、ゴブリンを相手にするのと大差はない。それほどの実力差がある。
トロールキングの顔は、大きく腫れ上がり、自慢の金の金棒はポッキリと折られていた。いくら無限の再生能力があっても、圧倒的な強者の前では、心が折れて戦闘不能になってしまうのである。
クラちゃんに、ボコボコにされたトロールキングは、今は、クラちゃんのご機嫌を取るので精一杯であった。
「ルシスちゃーーーーん」
私に気付いてクラちゃんが、大きな触手を振り上げる。
クラちゃんは、血の池地獄から出てきて人型の姿に変身する。
「クラちゃん、雷光石は見つかったの?」
「まだなのよ。このあたりに、フラッシュフライがいるはずなんだけど、なかなか見つからないから、トロールキングにお願いして探してもらっているのよ」
トロールキングは、すでにクラちゃんの配下になっているみたいで、トロールキングの指示のもと、トロールたちがフラッシュフライを探しているみたいである。
「3鬼神のいる、三途の川の河口までもうすぐだな、ロキ」
「そうね。3対2の戦いになるから連携が大事になるわ」
「そうだな。お互いにフォローしないとな」
「トール、あそこに大きな岩がたくさんあるわ。あのあたりが怪しいわよ」
三途の川は、血の池地獄から流れ出る温泉が流れる川である。鬼の島は、至る所から温泉が湧き出ているので、河口付近でも川は湯気が出るほど暖かい。
その河口付近で、フラッシュフライを独占しているのが3鬼神である。雷光石を手に入れる為には、3鬼神を倒す必要がある。
ロキさん達は、上空から見下ろして3鬼神を探す。
「それは、雷神のふわふわ号じゃないか」
三途の川の中から赤い鬼が現れた。
「お前達は誰だ」
赤い鬼に続いて、青い鬼が現れた。
「お前らこそ、何者だ」
「俺は、3鬼神の炎神だ」
赤い鬼が答えた。
「俺は、3鬼髪の風神だ」
青い鬼が答えた。
赤く燃えがる髪を持ち、鋭い目つきの鬼の形相で、全身から炎が燃え上がり、筋肉隆々のオーガが炎神であり、青く燃え上がる髪を持ち、細く冷たい目つきの鬼の形相で、全身を風のオーラをまとい、筋骨隆々のオーガが風神である。3鬼神の討伐難度はC2である。2人には、かなり苦戦しそうな相手である。
「俺たちは、『ラスパ』という冒険者だ。ここにある雷光石を取りに来た。雷神・・・誰のことだ?」
「トール、雷神はルシスちゃんのライトシールドで黒焦げになったオーガよ」
「そうらしいぞ」
トールさんが曖昧に答えた。
「なんだと。あの雷神を黒焦げにだと・・・・許さん」
「いや、俺がやったんじゃないぞ、勝手に自滅しただけだ」
「黙りやがれー。それに、雷神のふわふわ号を返しやがれー」
風神は、大きなうちわを仰いだ。ものすごい突風がふわふわ号を襲いかかる。
ロキさん達は、瞬時にジャンプしてふわふわ号から飛び降りる。ふわふわ号は突風に飛ばされて、天高く消えていく。
「雷神のふわふわ号がぁーーーーー」
風神は泣き崩れる。
「お前達は絶対に許さん。雷神だけじゃなく、ふわふわ号までも俺らから奪うとは・・・」
風神は逆ギレをした。
風神はうちわを大きく仰いだ。先ほどよりも強力な突風が吹き荒れる。あまりの強力な突風の為、ロキさん達は勢いよく飛ばされる。
「すごい突風だったわ。しかし、私のが遠くに飛ばされているから、トールは少し太ったんじゃないかしら」
「そんなことあるか。防具の重さの差だ」
ロキさん達は、絶えず防御シールドを張っている為、突風によるダメージはほとんどない。しかし、ロキさんのが遠くに飛ばされた事で、トールさんの精神的なダメージは大きかったのである。
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