第97話 鬼の島パート5



 「俺は太ってないぞーーーー」



 トールさんは大声で叫んだ。その悲痛な叫びが鳴り響く・・・



 「ふざけるな。お前達」



 風神は怒りに満ちていた。自慢の風の攻撃が全く効いていないのでイライラしていた。



 「これならどうだ」



 炎神が口から炎を吹き出す。それを風神がうちわで仰ぐ。すると炎の竜巻が発生してロキさん達を襲う。


 

 「やばいのくるぜ」


 「私に任せて」



 ロキさんは大きなサークルシールドを張った。



 「ルシスちゃんのライトシールドのより強度は弱いけど、これで持ち堪えれるわ」


 「助かるぜ」



 風神、炎神の協力攻撃の『爆炎トルネード』が、ロキさん達を包み込もうと迫ってきたが、サークルシールドは『爆炎トルネード』侵攻を弾き返した。



 「反撃に出るぜ」


 「そうね」


 「俺たちも共闘と洒落込みむぜ」


 「わかったわ」



 ロキさんが魔力を剣に込めて、風神目掛けて斬撃を飛ばす。斬撃はファイヤーバードとなり、風神を襲う。



 「加勢するぜ」



 トールさんは、手のひらに魔力を込める。



 『ビッグガスト』



 トールさんの手のひらから、ものすごい突風が吹き出し、ロキさんのファイヤーバードを消し飛ばす・・・



 「・・・・」


 「悪い・・消してしまったわ」



 あまり魔法を使わないトールさんが、魔力コントロールに失敗して、ロキさんのファイヤーバードを消してしまった。



 「慣れないことはやめましょう」


 「そうだな・・・」



 トールさんは、ハンマーでの戦闘に切り替えた。魔力にハンマーに注ぎ、風魔法で疾風のごとく、炎神に迫る。



 「炎神は俺がやる。ロキは風神を任せた」


 「了解よ」


 「俺の相手はお前か、俺の炎に焼かれて死ぬがよい」



 炎神は、全身から発する燃え上がる炎を、さらに燃え上がらせ、近づくことができないほどの熱風をトールさんに浴びせる。



 「その程度の熱風で退くとでも思ったか」



 魔力制御の修行の甲斐もあり、トールさんの防御シールドは熱風をも弾き返す。



 「くらえ、メガトンハンマー」



 トールさんは、攻撃を加える瞬間にさらに魔力を注ぎハンマーをデカくする。大きなハンマーは、炎神の頭を叩きつける。



 炎神は腕をクロスにして、トールさんのハンマーを防ごうとする。トールさんのハンマーの威力で、炎神は吹っ飛ばされる。



 「人間にしてはすごいパワーだな。しかし、この程度なら俺には効かないぞ」



 炎神の腕は青く腫れ上がっている。ダメージはあるみたいだけど認めたくはないのだろう。



 炎神は口の中から、燃え盛る棍棒を取り出した。その棍棒を握りしめ、トールさんに向かって振りかざす。


 棍棒から爆炎が放たれる。トールさんは、風魔法『ビックガスト』で爆炎を吹き飛ばす・・・が爆炎の威力が強く、トールさんに爆炎の炎が襲いかかる。



 「あち、あち、あち、あち」



 あまりの爆炎の暑さで、防御シールドを張っていても、暑さを防ぐことができず、飛び上がるトールさん。


 炎神は、さらに棍棒を何度も振りかざす。無数の爆炎がトールさんに襲いかかる。


 トールさんは、風魔法で上空にジャンプして爆炎を回避する。そして、そのまま、炎神に向かって、風魔法で加速してダイブする。



 「メガトンハンマー」



 トールさんは、頭上から勢いよくハンマーを振りかざす。


 炎神は、再び腕をクロスして、ハンマーを受け止めようとした・・・・いや、やっぱり辞めて、後方へ思いっきりジャンプした。やはり先ほどのハンマーで、かなりダメージを負っていたみたいだ。そのため、また同じ攻撃を喰らうと危ないと感じて逃げたのであった。





 一方、ロキさんは、風神と戦っていた。風神のうちわで発生する突風で、なかなか近くことができないでいる。風神の突風は2種類あり、凄まじい強風を起こすタイプと、鋭い風の刃を伴って体を突き刺すタイプがある。


 そのため、ロキさんはなかなか近づけないのであった。



 「炎属性のお前では、俺との相性は良くないだろう」



 風神の属性は、雷・風属性であり、ロキさんの炎の斬撃は突風によりかき消されて、攻撃が届かないのであった。なので、ロキさんは、接近戦に持ち込みたいのであった。しかし、風神の突風により、なかなか攻めきれないのであった。



 「くらえーー」



 風神は、さらにうちわを仰ぐ、無数の風の刃がロキさんを襲う。ロキさんはサークルシールドを張って風の刃を防いでいたが、もう限界に近づいていた。サークルシールドは、あちこちにヒビが入り、いつ砕けてもおかしくない。壊れるのも時間の問題である。



 「いつまで、そこで凌いでいる。もう、そのシールドも限界であろう。これでトドメだ」



 風神は、うちわをもう一つ取り出した。左のうちわで突風を、右のうちわで風の刃をくり出した。

2種類のうちわの攻撃がロキさんを襲う。もうサークルシールドは限界だ。最初の突風でサークルシールドは破壊され、次の風の刃がロキさんを襲う。



 その時大きな爆発がした。その爆風で上空に飛び上がるロキさん。さらに拳で爆発を起こして、その爆風で風神の元へ一直線に進む。


 ロキさんは、サークルシールドが破壊されると感じて、地面に炎で爆発を起こして、その風圧を利用して上空へ回避した。そして、更なる爆発を利用して風神の元へ突進したのである。


 予想外の爆風で、何が起こったかわからない風神は唖然としていた。そして、何が起こったか気づいた時には、風神の頭は切り落とされていた。




 一方、ルシスは・・・



 「はぁーいい湯かげんですーー。そこにある泥を体に塗ると、肌がすべすべになります」


 「そうなの?ルシスちゃん。それなら、たくさん塗らないとね」



 私は血の池地獄のそばにあった小さな池の温泉に浸かっていた。クラちゃんの分の水着も用意しておいたので、2人で、のほほんと温泉を堪能していた。クラちゃんには、ぶどう酒を私はブドウジュースを飲みながら、この温泉の効能を説明してわいわい楽しんでいたのであった。



 

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