第321話 ホロスコープ星国 ルシス編 パート33
「アトゥム様・・・遅いです。ルシス様はアトラースを倒しました」
「本当ですか!あの神人を倒したのですか?」
「お茶のこさいさいです」
「ありがとうございます。それで・・・私たちの呪いを解除してもらってよろしいでしょうか?」
アトゥムは、頭を下げながら私の顔色を伺う。
「アトゥム様、呪いの件はもう大丈夫みたいです。ルシス様がおっしゃるには、アトラースが敗北を認めて、戦意喪失になったので呪いの魔法は解けるみたいです」
「ルシス様、本当ですか」
「間違いありません。体から赤い光が出てきたら、呪いの魔法が解けたと思ってください」
「それなら、さっき体から赤い光が出ました」
「それが、呪いの魔法の正体です。赤い光が出たのなら、もう地上に降りても問題はありません」
「これで、俺たちは自由になったのか?」
「はい。私たちは自由をやっと手に入れたのです」
シューとアトゥムは涙を流しながら喜んでいた。
⭐️時は少し遡りゲリ視点になります。
「ゲリさん、ルシスさんを一人で行かせて大丈夫だったのですか?」
フレキはルシスちゃんのことを心配している。
「問題ないのだぁ。ルシスちゃんはとんでもなく強いのだぁ」
私は何度かルシスちゃんと戦ったことがある。最初は私の『鉄壁』の能力の前に全く私に攻撃を与えることなどできなかったが、ルシスちゃんは7大天使様から授かった様々な能力を持っている。しかも、その能力を創意工夫して、能力を色々とアレンジして、7大天使様の能力以上の能力に進化させたのである。なので、私との戦いも、そのうち私は劣勢になり数ヶ月後には、全く歯がたたくなったのである。私の知る限りでは、ルシスちゃんに勝てる神獣・・・いや、神すらいないと思っている。
「そうなのですか。それは心強いお友達ですね」
フレキは笑顔で言った。
「うん。ルシスちゃんは大事な友達なのだぁ」
私も嬉しそうに返事をした。
「私もこの地に来て、二人の友達ができました」
「ホットドッグさんですか?」
「はい。ホットドッグさんはとても親切で良い方です。ホットドッグさんは、どうされていますか?」
「お姉ちゃんを連れ去った竜騎士にやられて怪我をしていたのだぁ。でも、ルシスちゃんが治してくれたのだぁ」
「それは、よかったです。早く森に戻って私の無事をお伝えしないといけせんね」
「うん。ホットドッグさんはお姉ちゃんのことを心配していたのだぁ」
「ゲリさんは、これからどうするのですか?」
「お姉ちゃんと一緒に暮らすのだぁ」
私はニコッて笑う。
「でも、ゲリさんは神獣の業務があるのではないのですか?」
私は、お姉ちゃんにこれまで経緯を全て話していた。お姉ちゃんは、以前は神界にいて、本当は私の代わりに神獣になる予定だったこと、そして、神獣になるのを辞めて人界に送られたことをきちんと説明していた。
「神界は暇なので良いのだぁ」
「ダメです。きちんと自分の役割を全うしてください」
「お姉ちゃんと一緒に暮らしたいのだぁ」
私は大粒の涙を浮かべて、お姉ちゃんに訴える。
「私も一緒にくらいしたいと思います。しかし、お互いの役割をきちんと全うしないといけないと思うのです。私は、魔獣だけでなく、全ての種族が一緒に暮らせる場所を作りたいのです。無謀なことだとわかっています。それでも、私が神獣になるのを辞めて、人界に落とされたのは、何か理由があると思うのです。私はその理由が全種族が仲良く暮らせる大地にすることだと思うのです」
「お姉ちゃんは立派なのだぁ。私も手伝いたいのだぁ」
「ゲリさん、ありがとう。ゲリさんには神界での業務があると思いますが、たまには顔を出してくれると嬉しいですよ」
「お姉ちゃんの言った通りに、神界での業務も頑張るのだぁ。そして、たまに人界に来てお姉ちゃんのお手伝いをするのだぁ」
「ありがとうございます」
お姉ちゃんはやさくし微笑んでくれた。
「お姉ちゃん・・・私のことはゲリさんではなくて、ゲリと呼んで欲しいのだぁ。昔は私のことをゲリと呼んでいたのだぁ」
私は、ゲリさんと呼ばれるのを少し寂しく思っていた。お姉ちゃんは、私と過ごした記憶がないので、私のことを妹だと思えないから、ゲリさんと呼んでいるのだと思っている。しかし、それは仕方がないことであるのはわかっている。でも・・・やっぱり、昔のようにゲリと呼んで欲しいのである。
「ゲリ、会いに来てくれてありがとう」
お姉ちゃんは、暖かく優しい声で私をゲリと呼んでくれた。
「お姉ちゃーーーん、寂しかったのだぁ。ずっと会いたかったのだぁ。ずっと一緒に居たいのだぁ」
私は我慢していた気持ちが込み上げてきた。
「私もゲリに会えて、とても幸せな気分を感じることができました。ゲリの言う通り私はあなたの姉であると理解できました。一緒に人界で暮らしたいけど、お互いの与えられた使命を全うしていきましょうね。たまに神界から抜けれる時があったら、いつでも会いにきてね」
「うん。絶対に会いに来るのだぁ」
私はお姉ちゃんに会いにきて本当に良かったと思った。
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