第153話 妖精王パート23
「なぜ?サラマンダーが毒を吐けるのだ・・・」
「こんな時のために猛毒のコアを食べたのよ」
食欲に負けた勢いで食べただけのサラちゃんである。
「私の唯一の弱点を把握していたなんて、恐ろしいやつだ・・・・」
レインボースネークは猛毒の炎を吸収しすぎて、綺麗に七色に光る鱗は黒く変色する。そして、レインボースネークは力尽きて動かなくなった。
「幻魔のコアはどこなよーー」
サラちゃんはレインボースネークに問いかけるが返事はない。レインボースネークはもう死んでいるのである。
「サラがレインボースネークを倒したのか?」
トールさん達は必死で逃げていた。しかし、急にレインボースネークが苦しみ出して、追撃をやめて動かなくなったのである。
「そうみたいですわ」
2人は一心不乱に逃げていたので、サラちゃんの猛毒の炎には気づいてはいなかった。
「炎が効かないのに、サラはどうやってレインボースネークを倒したんだろう」
「トール、そんなことよりも私たちには大事な使命があるでしょ」
「そうだな。すぐに行こうぜ」
2人は毒に侵されて真っ黒になったレインボースネークの元へ向かった。もちろん、草薙の剣を探しに行ったのではなく、ヤミークラブの料理が無事であるか確認するためである。
しかし2人は呆然とした・・・・ヤミークラブの料理は、毒に侵されて倒れ込んだレインボースネークの下敷きになっていたのであった。
黒く腐敗したレインボースネークの下敷きになったヤミークラブの料理は、食べれる物ではなかった。
「俺たちは何しにここまできたのだろう・・・」
「ここに来たのは失敗ですわ」
2人はサラちゃんについてきたことをひどく後悔した。
一方サラちゃんはレインボースネークの口を強引に開こうとしていた。
「口の中に隠していないかしら?」
サラちゃんはフルパワーで強大なレインボースネークの口をこじ開けた。すると口の中に光り輝く物体を見つけた。
「あれかしら?」
サラちゃんは光り輝く物体を口の中から取り出した。
それは金色に輝く草薙の剣であった。
「これはいらないわ」
サラちゃんは草薙の剣を放り投げた。
サラちゃんは口の中をくまなく探したが幻魔のコアは見つからなかった。
「どこにあるのかしら・・・・そういえば」
サラちゃんはふと異変に気づいたのである。レインボースネークは、赤く不気味な目をしていたが、さっき見た時は綺麗な紫色の目に変わっていた。
「あれだったのね」
サラちゃんは急いでレインボースネークの巨大な目玉の元へ行き、巨大な目玉を取り出したのであった。
「これだわ!」
サラちゃんは勢いよくレインボースネークの目玉にかぶりつく。
『カキーーーン』
しかし、あまりの硬さに食べることができない。
「なんでこんなに硬いのよ!どうやったらこれを食べることができるのよ〜」
サラちゃんは巨大な目玉の前で真剣に考え込む。
「トール、サラちゃんの元へ戻りましょう」
「そうだな。もうここにいる理由はないな。すぐに出ようぜ」
この2人も草薙の剣のことはすっかり忘れている。
トールさん達はフワリンに乗ってサラちゃんを探す。
「サラーーー、どこにいるんだ」
「サラちゃん、どこなの」
「おっ!あそこにいるぞ・・・でもサラは何をしているんだ」
トールさんが見たものは、サラちゃん座禅を組み目を閉じて、無の境地で真剣に考えている姿であった。
「よくわかりませんが行ってみましょう」
トールさん達はサラちゃんの元へ向かった。
「トール、あそこに綺麗な剣がありますわ」
「剣なんてどうでもいいだろう。サラを起こして帰るぞ」
「そうですね。早く帰りましょう」
「サラ何をしている。早く帰るぞ」
「静かにしてよ。私は考えてるのよ」
「先に帰るぞ」
「そうよ。そうなのよ!!」
「サラ、どうしたのだ」
「謎は全て解けましたわ」
「何を言っているのだ」
トールさん達はサラちゃんが何を言っているか理解できない。
「全てを教えてあげるわ。なぜ、この虹蛇の体内へ来たのか?そして、レインボースネークを倒した理由をね!」
サラちゃんはいつになく真剣な表情で語り出した。
「実は・・・」
「お前のことだから、この虹蛇の中に何か美味しい物があると思ったんじゃないのか?」
「トールさん・・・・あなたは人の心が読めるのですか?」
サラちゃんは腰を抜かして驚いている。しかし、サラちゃん以外はみんなサラちゃんの行動理由は知っている。
「確かにそうですわ。そして私の探していた幻魔のコアをついに見つけたのよ」
「目の前あるレインボースネークの目玉のことか」
「なぜ、知っているのよ!!!」
今の状況を見たら誰でもわかるのである。
「しかしその目玉は硬すぎて食べれないわ。そこが私には謎だったのよ。甘くて、素敵な香りがするのに、その目玉は食べることができない・・・なぜなのか?私は瞑想してじっくりと考えたわ。そして、一つの結論に達したわ」
「その目玉の中に幻魔のコアがあるのだろ!」
「ズバリ正解ですわ。トールさんあなたは天才だったのね・・・・」
サラちゃんは、トールさんの的確な答えに感動したのであった。しかし、トールさんじゃなくても、誰でもわかることであった。
「でも、この目玉は頑丈で全然壊れないのよね〜」
サラちゃんは、何度も目玉を壊そうとしたが全く壊れる気配がない。
「俺が壊してやるぜ」
トールさんはハンマーに魔力を注ぎ特大ハンマーに変えた。
「メガトンハンマーを打ち込むぜ」
トールさんは、強大ハンマーを大きく振り上げて、目玉を叩いたのだった。
『ガーーーーーン』
目玉は全く壊れることもなく、トールさんがハンマーの衝撃で手に電気が走っただけである。
「これは絶対に壊れないヤツだぜ」
トールさんは白旗を上げた。
「この剣を使ったらいいのでは?」
ポロンさんが草薙の剣を拾ってきた。
「そんな剣で壊れるとは思えないぜ」
「試してみるわ」
ポロンさんは草薙の剣を軽く振ってみた。
「エーーーイ」
『ガタン』
目玉は綺麗に真っ二つ割れて、中から50cm位のアメジストのように紫色に輝く石が出てきた。
「わーーーい。幻魔のコアだ!」
サラちゃんは大喜びで幻魔のコアを拾った。
「サラ、それは美味しいのか?」
「プルンプルンで甘々で最高なのよ」
「俺にも少しくれよ」
「私も欲しいわ」
サラちゃんはすごく嫌そうな顔をした。しかし、サラちゃんも少しは仲間のことを考えるようになったのである。
「私が頑張って手に入れた大事な幻魔のコアですが、2人にも分けてあげますわ」
「本当か!」
「嬉しいわ」
トールさん、ポロンさんは絶対に貰えないと思って諦めていたので素直に喜んだ。
「私たちは仲間ですわ。仲良く三等分しますわ」
サラちゃんは丁寧に幻魔のコアを三等分して2人に手渡した。
「えっ」
「サラちゃん・・・・」
サラちゃんは、幻魔のコアを綺麗に三等分した。しかし、それサラちゃんの価値観での三等分であった。サラちゃんの仲良く三等分とは、9割がサラちゃんで残りの1割がトールさんとポロンさんの分であった。
サラちゃんは満面の笑みを浮かべて幻魔のコアを食べるのであった。
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