第225話 ホロスコープ星国 パート2



 ★時は第33話パースリの町過去編の続きになります。



 私の名はフェニ、リプロ様に女の子にしてもらい魔法が使えるようなった。そしてリプロ様との特訓で魔法の技術も向上した。


 私は、パースリの町のバサク男爵と町の住人に復讐するために、リプロ様にもらった『ハーメルンの笛』を使って、魔獣の大群をパースリの町へ送り込む事にした。しかし、お世話になったアンナさんや同じ苦しい思いをした孤児院の子供達は助けてあげたかったので、アンナさんにリプロ様に頂いた石を渡した。


 『ハーメルンの笛』の効果で、パースリの町は魔獣の大群が押し寄せるだろう。そして次に私は、リアムに復讐するために、2度目の『ハーメルンの笛』を使ってラディッシュの町へさらに強い魔獣の大群を送り込む事にした。


 『ハーメルンの笛』は、私の憎むべき対象に、魔獣の大群を送ることができる便利な笛である。私は召喚者になるので、魔獣に襲われることはないが、念のために予約機能を使って、1週間後にパースリの町に、そしてその次の日にラディッシュの町に魔獣を送り込む事にした。


 私は、『ハーメルンの笛』で復讐できると確信して、この国を出ることを決意し、南の森を抜けてホロスコープ星国へ行く事にした。


 南の森は魔獣の森と言われていて、神守聖王国オリュンポスの2大魔獣の森と言われている。一つはディービルの森、そしてもう一つが南の森である。


 南の森を抜けて、ホロスコープ星国に行くのはかなり困難な道のりであるが、神守教会を推奨する神守聖王国オリュンポスで生活するよりかはマシだと思ったのである。


 私は南の森へ戻りホロスコープ星国へ向かった。



 『グルルルル』『グルルルル』



 ブラックウルフの群れが私を威嚇する。



 『ヘルファイヤー』



 私は、リプロ様に教えてもらった魔法を使った。私の魔法のレベルは低い。リプロ様の魔法に比べたら、大魔王とレベル1のスライムくらいの差を感じていた。


 しかし、私の『ヘルファイヤー』で、一瞬でブラックウルフの群れは黒焦げになって死んでしまった。


 私は、肉の好みはレアが好きなので、黒焦げの肉は苦手である。しかし、せっかく手に入れた食材を捨てるのはもったいないので、黒焦げのブラックウルフを収納ボックスに入れた。


 次からは火加減の調整をして、魔法を使おうと思ったのであった。


 今日の晩飯は、黒焦げのブラックウルフのステーキと森で取れた山菜のサラダである。魔法が使えるようになったので、野宿生活ができるようになった。寝床は木の上である。木の上の枝の間に無数の枝を繋いで、ベットを作って寝る事にした。木の上なら、魔獣に襲われる可能性は少ないのである。



 次の日、私はホロスコープ星国を目指して、南の森を南下するのである。しばらく森の中を歩いていると。



 『グルルルル』『グルルルル』



 私の前方よりベアーウルフが2体現れた。


 ベアーウルフは、討伐何度Dランクの強い魔獣である。この南の森でもかなり強い魔獣だ。


 最近魔法を覚えたての私では、ベアーウルフになんて勝てるわけがないのである。私は一目散に逃げ出した。



 『グルルルル』『グルルルル』



 ベアーウルフは、私が逃げ出すのを見てすぐに追いかけてきた。私の遅い逃げ足ではベアーウルフから逃げ出すことなんて出来ない。


 ベアーウルフは、すぐに私に追いついて鋭い爪で私を引っ掻こうとした。



 『ヘルファイヤー』



 私は無我夢中で魔法を使った。


 巨大な炎がベアーウルフを包み込んだ。



 『グギャーー』


 

 大きな悲鳴をあげて、ベアーウルフは黒焦げになって倒れ込んだ。もう一体のベアーウルフは、私の魔法に恐れをなして一目散に逃げ出した。



 「えっ、私の魔法で、ベアーウルフが燃え尽きたわ」



 1番驚いているのは私であった。私はレベルの低い魔法しか使えないと思っていたが、Dランクの魔獣を簡単に倒すことができたのであった。



 「もしかしら、私・・・強くなったのかしら?」



 私はニヤつきながら言った。


 私が使えるのはレベルが低い魔法と思っていたが、リプロ様がレベルが高すぎたのであった。リプロ様と比べると、私はレベル1のスライムの実力だが、この国のレベルで見るとDランク冒険者以上の魔法を使えるとわかったのであった。


 私はそう思うと嬉しくなって、更なる強敵を求めて、南の森を探索しながら、ホロスコープ星国を目指した。



 ★ホロスコープ星国に場面が変わります。



 「北の森への魔獣の移動はどうなっている?」



 ホロスコープ星国のジェミニ王が言う。



 「二頭の強い魔獣とその配下の魔獣達を随時送り込んでいます」



 カプリコーン軍団長が言った。神守聖王国オリュンポスからしたら南の森であるが、ホロスコープ星国からしたら北の森になるのである。



 「作戦はうまくいっているみたいだな。このまま魔獣達を送り込んで、神守聖王国オリュンポスを魔獣の群れに襲わせてやろう」


 「わかりました。しかし魔獣達は自ら森を出ることは少ないでしょう。なので、私が町へ攻め込むように、魔獣を誘導してきます」


 「そうだな。この『魔獣を使ってオリュンポスを倒そ』作戦の全権をお前に託すとしよう」


 「それは助かります。それでは私とともに『赤騎士団』を連れて行ってもよろしいでしょうか」


 「好きにするがいい」



 ジェミニ王は言った。


 ホロスコープ星国の王都シリウスを守るのが『4色騎士団』である。その『4色騎士団』の一つが『赤騎士団』である。


 「それでは『赤騎士団』を連れて、北の森へ行き魔獣たちを誘導してきます」



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