第372話 フェニ魔界へ行く編 パート1
次の日、僕は詳しいことは内緒にして、フェニを故郷に連れ行くことをレオに話した。
「フェニちゃんが望むなら私が止める理由はありません。それにリプロ様がいるのならフェニちゃんの安全は確保されているので安全面も問題はありません」
レオは快く了承した。
「しばらくは戻らないので、ライさんを頼みます」
僕はエキドナにレオをキャンサーが待つガリアの町の宿屋に送ってもらえるようにお願いをした。
「いいわよ。どうせ暇なので私が送ってあげるわよ」
エキドナは快く了承した。
「待ってください。私はフェニちゃんがリプロ様の故郷から帰って来るまで、エキドナ様の使用人としてこの屋敷に滞在すると決めました」
レオは本気で言っている。
「横走りちゃんが待っているのですぅ」
フェニはキャンサーのことを心配している。
「キャンサーは、子供ではありません。状況を判断して1人で帰るでしょう」
「1人で帰らせるなんて横走りちゃんが可哀想ですぅ」
「キャンサーには悪いが、俺は新たな使命を見つけたのです」
レオは誇らしげに言うが、みんな呆れていた。
「フェニ、ライさんの意思は硬いみたいだから、僕たちがキャンサーさんに事情を説明しに行くとにしよう」
僕は、ガリアの町には魔石具の回収しに行く予定だった。しかし、あまり時間がないので転移魔法でサクッと寄る予定だったので、レオを送ってもらえれるようにエキドナに頼んだのであった。転移魔法はレアな魔法なのでレオには見せたくないのである。
「ガリアの町に寄ってからリプロ様の故郷に行くのですぅね」
「そうだね。すこし遠回りになるけど仕方ないね」
転移魔法で行くことは、今はフェニにも黙っておくことにした。
「それなら、ついでにレオさんも連れて行ってあげたらいいと思うわ」
エキドナがすかさず発言をする。エキドナは、レオが使用人として屋敷に残るのはあまり嬉しくないみたいである。
「嫌です。私はもう少しだけこの屋敷に滞在したいのです!掃除・洗濯・料理・買い出しなどなんでもするので私をこの屋敷に置いてください」
レオは涙目で懇願する。
「お父様の許可が必要ですわ」
「もちろん、お父様への挨拶はきちんとするつもりです」
「・・・わかったわ。お父様の許可をもらえたら、しばらくの間屋敷に住むことを認めてあげるわ」
レオが子供のように涙目を浮かべて鼻水を垂らしている姿を見て、エキドナは無理矢理レオを追い出すことを諦めたのである。
「早速許可をもらってきます」
レオは階段を登って、ティポンの書斎へ向かっていった。
「僕たちは、急いでいるので出発するね」
「ライちゃんのことをよろしくお願いしますぅ」
フェニは深々と頭を下げた。
「私が地上まで送らなくて大丈夫かしら?」
「はい。問題ないです」
僕には空を駆けることができるアバオシャがいる。天空雲の中の過酷な環境でも全く問題ないのである。
「リプロさんはまたフェニちゃんと一緒にレオさんを連れに戻って来るのですか?」
「許可がもらえればまた戻ってくるよ。それまでライさんの面倒を見てくださいね」
「わかったわ。父もレオさんの熱意に負けて屋敷の滞在を許してくれると思うから、存分に家事や農作業をしてもらうわ」
「そうしてください。ライさんなら喜んでやってくれるでしょう」
僕はエキドナにお礼を言って、セキランの町から出て行った。
僕はすぐに転移魔法を使ってガリアの町へ行きたいが、ユグドラシルでは転移魔法を無効化する結界が張られているので、転移魔法は使うことはできない。なので、アバオシャを呼んでユグドラシルから出るのである。
アバオシャは、天空雲の中の滝のような降ってくる稲妻を簡単に避けて、すぐに天空雲から出ることができた。そして、地上に降りて僕は転移魔法を使ってガリアの町へ転移した。
「もう、ガリアの町に着いたのですぅ」
フェニは転移魔法を見てビックリしている。
「すごく便利な魔法ですぅ。私にも教えて欲しいですぅ」
「そうだね。魔界に戻ったら教えてあげるよ」
「やったですぅ」
人間には転移魔法は使うことはできないと思うが、魔人に近づいたフェニなら習得可能だと僕は思った。
「キャンサーさんのいる宿屋に向かうよ」
「はーい」
僕はキャンサーが泊まっている宿屋に向かった。
「ただいまですぅ」
「フェニちゃんおかえりなさい。レオの姿見えませんが、レオに何かあったのですか?」
「ライちゃんは、用事ができたのでしばらくホロスコープ星国に戻らないのですぅ」
別に竜人国家ユグドラシルの存在を隠しているのでなく、レオの名誉を守る為に詳細は秘密にすることにしたのである。
「そっか・・・それなら仕方がない。レオ抜きでホロスコープ星国に帰りましょう」
「私も用事ができたので、横走りちゃん1人で帰ってくださいですぅ」
「えっっ・・・」
「キャンサーさん、フェニは僕と一緒に僕の故郷に行くのだよ」
「そうですぅ。リプロ様の故郷で特訓をしてもらうのですぅ」
「俺は帰りもボッチなのですね・・・」
キャンサーは悲しそうにする。
『ヨシヨシ』
フェニはキャンサーの頭を撫でる。
「フェニちゃん・・・」
キャンサーは泣きそうな気持ちをグッと抑える。
「もう。大丈夫です。俺は1人でもやっていけます」
キャンサーはフェニに弱いところを見せてしまったとこを少し恥じていた。
「気をつけて帰ってくだいさいですぅ」
フェニは優しく微笑んだ。
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