第8話 書庫での生活パート2

          


 「こんなところに、閉じ込めらていたのですね」



 この声は聞き覚えがある。


 

 「もしかしたらミカエル様ですか?」


 「そうです。力を失ってから1か月、普段の生活にも慣れてきた頃だと思ってお嬢さんに会いに来たのです」


 「ありがとうございます。この書庫に閉じ込められ、1人で寂しかったのでとても嬉しいです」



 書庫に閉じ込められて、久しぶりに会話ができるでとても嬉しかった。



 「そうだったんですね。私達が力を授けたことにより、お嬢さんには辛い思いをさせてすまなかったね」

 

 「いえ、そんなことはありません。このようになったのは、悪魔との契約を断った私の責任であります。ミカエル様達には、なんの責任もございません。それどころか、私に力を授けにくださった恩人でございます。力を授けてくだされる時に、いかなる苦難も頑張ってのりきると覚悟はしたはずなのに、いざ苦難が続くと弱気になってしまう私が悪いのでございます」


 「たしかに魔力がなくなり、魔石の色が白くなると、魔界で生きていくには、困難になるとは思っていましたが、まさか!幽閉されて隔離されるとは考えてもいなかったです」



 ミカエル様は、申し訳なさそうに答えた。



 「今日は、ここにきたのは、お嬢さんに授けた力を完全に使いこなせるように、修行の場を与える為にきたのです」


 「このような書庫の中で、修行なんてできるのでありましょうか?」


 「たしかにこの部屋では、無理というかこの世界では無理なのです。お嬢さんの魔石を、完全に浄化するまで5年かかると説明した時に、知力以外の全ての能力がレベル1以下になり、しかもレベルを上げることもできないことは説明しました。その為、この世界でいくら頑張っても、これ以上に力をつけることはできないのです」

 

 「それでしたら、どうやって修行するのですか?」


 「アリエルの能力を使って、異空間エスパースを作る事にしたのです。アリエルは、あらやるものを作り出す能力を持っているのです。アリエルが作ったエスパースには、本人自身は行く事はできないが魂のみ行ける世界なのです。そして、そこで得た力は現実世界には反映されないが、5年後に魔石が浄化された時その力は開放されるのです」


 「それは助かります」


 この話しは、私にとってありがたい話しである。修行もしないで5年後、7大天使様の能力を授かっても、それを完全に自分の力として支配するには、かなりの年月が必要になるからある。


 でもエスパースで修行をすれば、5年後には自在に能力を扱える。しかもそれを扱える体力、筋力も手に入れることができるのである。


 しかも話しによると、直接7大天使様から指導を受けることができるのである。それならば、力の使い方また応用の仕方などいろいろアドバイスも受けることができるのである。



 「そしたら明日から、毎日1人ずつ訓練に訪れるから他の天使達ともうまくやってください」



 そういうとミカエル様は帰って行った。


 5年間書庫で1人で本を読みながら、力を授かるのを待つだけの生活だと覚悟をしていたけれど、天使様達が修行をしてくれるなんてとても嬉しかった。


 明日からは、どんな修行が待ち受けているのかと考えると、嬉しくてたまらなかった。


 翌日、ミカエル様が私の前にあらわれた。



 「昨日伝えたとおり、今日からは、毎日13時から19時までの修行を5年間行います」



  修行の内容は、まず2年間は天使様の能力の勉強と基礎体力・筋力の鍛練。そして魔力操作の練習だった。


 そして3年目から、実際に魔力を使った能力の特訓そして能力の応用であった。自分なり授かった能力をいかに変化させ自分のものにするかの訓練である。


 そして最後の2年間は実戦経験だ。天使様達が連れてきた天界に住む神獣との戦いである。そして最終試験は7代天使様とのタイマンバトルである。


 私は持って生まれた戦闘センスのよさがあるみたいで、いろんなことを、スポンジのように素早く吸収していき、なおかついろいろとアレンジもしていった。

 

 私の吸収の速さには、7大天使様も驚きの顔を隠せなかった。



 「お嬢さんは、本当にすごいですね。こんなにも早くいろんなことを理解し吸収し扱えるようになるなんて、しかも私達の力を凌駕するほどになるとは・・・。最終試験では、私達と戦闘する事になっていますが負けてしまいそうです」



 ミカエル様は嬉しそうに語った。



 そして、運命の最終試験の日。私は天使様達のタイマンバトルにも勝利してしまうのであった。



 「お嬢ちゃんは、めちゃくちゃ強くなったね」



 疲れ果てた顔でラファエルは言う。



 「本当は、最終試験は10歳になる2週間前に行われるはずだったのに、半年も早く最終試験を行うことになるとはね」



  ミカエルは嬉しそうに言った。



 「もしかしたら、私達7人と同時に戦っても、勝ってしまうのかもしれないね」



 と笑いながら、ガブリエル言った。



 「その話し面白そうだ。そしたらどうだろう。10歳になる2日前に7対1で最終決戦をおこなおうではないか。それまでの半年間はエスパースで1人で訓練をおこなうといい」


 「はい、ミカエル様。天使様達の指導のおかげで、私はこんなにも強くなることができました。あとの半年間は1人で訓練をおこないます。そして、天使様達の期待に答える結果を示したいと思います」



 そして10歳をむかえる2日前、新たな最終試験がおこなわれた。私は7大天使様相手に勝利をおさめるのであった。


 7大天使様達は、私が勝利したことに大変満足しとても嬉しそうだった。



 「10歳になり力を手に入れてから、お嬢さんが、どのような人生をおくるか楽しみにしているよ」



 そういうと7大天使様達は帰って行ったのである。


 この5年間私は、明後日の運命の日ために頑張った。毎日8時から13時までは本を読んで勉強していた。2年目で、魔王書庫の本は全て読み尽くした。その為、アリエール様に頼んで、神界、人界などあらゆる世界の本を模作してもらった。


 13時から19間までは、天使様の指導のもとあらゆる訓練をした。だから部屋に19時に戻った時は、ご飯は食べてすぐに倒れるように寝る日々であった。


 側から見ると、エスパースにいてるときは眠っているので、1日のほとんど寝てるように思われる。なんて怠惰な生活をしているのだと勘違いされてもおかしくない。


 最後の1年は、特にハードな毎日になった。天使様達とタイマンバトルをする事になっていたので、特訓もかなり辛いものであった。


 でもそんな生活ももうあと1日で終わる。今日は7大天使様のバトルのあとだから、今まで1番深い眠りについた。


 そして運命の10歳の誕生日の前日。私は人界へと捨てられるのであった!


 なんでこうなるの?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る