第299話 ホロスコープ星国 ルシス編 パート11
『ドスン・ドスン・ドスン』
ラードーンの全ての頭が地面に落ちてきた。
「助けてくれ・・・」
ラードーンは助けを求める。
『ホワイトブレスβ』
私は全ての頭のコアを破壊するために『ホワイトブレスβ』を放った。
ラードーンの全ての頭は粉々に砕け散った。
「さっきの黒い兵士は何者だったのかしら・・・」
⭐️視点が変わります。
『ドーーン』
「何事だ!」
「大きな羊の魔獣が侵入したみたいです」
ゲリが吹き飛ばした大羊王が、空を浮遊する龍騎士の島に激突したである。
大羊王は激突のショックで失神している。
「我らの島に潜入するとはいい度胸だな。お前の目的は答えろ」
「・・・」
大羊王はもちろん何も言えない。
「テフヌト様、羊の魔獣は気を失っています」
「わかっている」
テフヌトは顔を赤らめて言った。
「羊の魔獣はどういたしますか?」
「我らの浮遊島ヘリオポリス島の存在を知ったモノを生かして返すわけにはいかない」
「わかりました。すぐに殺処分いたします」
「待て、いつでも殺すことはできる。こいつはどのような目的で、ヘリオポリス島に侵入したのか確認をしたい。なので、目を覚ますまで、お前が監視しておけ」
「わかりました」
「テフヌト、何があったのだ!」
「羊の魔獣が侵入したみたいだ。しかし、侵入時に失神したみたいなので、意識が戻るまで監視を命じた」
「この島に侵入者が来るのは初めてだな。結界の張っているこの島をどうやって見つけたのだろう・・・」
「俺もその点が気にはなっている。だから、殺さずに意識が戻るのを待つことにした」
「そういうことか。それよりもラードーンの回収はどうなっているだ」
テフヌトは、黒い鎧を着た竜騎士の1人で、ライオンのような荒々しい眼光の強面の男性である。そして、テフヌトに声をかけたのがイシスという色白の細身の中性的な男性である。もちろんイシスも竜騎士である。
「ラードーンの回収はセトに任せているはずだ。もう時期戻ってくるだろう」
「やっとラードーンが完全復活するのだな」
「そうだな。しかし、あの時は誰が俺たちの計画を邪魔したのだ?」
「魔王が現れたとの情報があったが、それは確認できていない。しかし、あれだけの魔獣を瞬時に消滅する力があるのは、魔王か神のどちらかだと思っている」
「魔王が介入するとは思えないが!」
「そうだな・・・なら神の仕業か」
「その可能性が高いだろう」
「今回の計画にも神は介入してくるだろうか?」
「それはわからない。しかし、運よく生き延びたラードーンが、もう時期完全復活を果たす頃だ。再びラードーンを使って、あの国を襲わせる時が来たみたいだな」
150年前にラードーンに使って『オリュンポス国』を滅ぼそうとしていたのは、ヘリオポリス島に住む竜騎士たちであった。竜騎士とは、魔獣と会話をできる特殊能力持った人種である。そして竜騎士はドラゴンを自在を操り、また、ドラゴンから能力を吸収して、何百年も生きることができるのである。
「テフヌト、イシス、大変なことになってしまった!」
ドラゴンに乗ってヘリオポリス島に戻ってきたセトが、血相を変えて2人の前に現れた。
「どうしたのだ」
「ラードーンが殺された」
「そんなことがあるわけないだろ!ラードーンはドラゴンの中でも最強を誇るドラゴンだ」
「本当だ。白い狼の魔獣が、ラードーンを簡単に倒したのだ」
「白い狼の魔獣だと!!!」
「そうだ」
「ウルフキングと言われる魔獣かもしれないぞ」
イシスは心当たりがある。
「ウルフキング?」
「そうだ。『オリュンポス国』と『ホロスコープ星国』の間にある森に生息する魔獣だ。俺が島を降りてラードーンの状況を確認した時に、ウルフキングの噂を聞いたことがある」
イシスは、調査の為にヘリオポリス島から降りて、いろんな魔獣の森を探索するのが仕事である。
「ウルフキングはラードーンより強い魔獣なのか?」
「Cランク程度の魔獣だと確認している。なので、ラードーンより劣るが弱い魔獣ではない」
「調べてみる必要がありそうだな」
「あの魔獣はCランク程度の魔獣ではない・・・」
目の前でラードーンがあっさりと倒されてたのを見ているセトは、ひどく怯えている。
「ラードーンが簡単に殺されるはずはない。やはり、完全に復活などできなかったのだろう」
ラードーンは、一つの頭だけが生き延びて、150年かけて回復していた。なので、そこから完全に力を取り戻すことはできなかったとテフヌトは推察した。
「その通りだ。Cランク程度なら俺でも倒せるはずだ。俺たちの計画を邪魔をしたウルフキングを討伐してくるぜ」
「待て、殺さずに生捕にしてこい。ラードーンが殺されたので、『オリュンポス国』を襲うときの戦力として確保しておこう」
「わかったぜ」
「やめておいた方がいい。ウルフキングの攻撃は、Cランク程度の攻撃ではなかったぞ。あれはAランクを超える魔獣だ・・・」
セトはフレキの『ホワイトブレスβ』の恐ろしさを目の当たりにしている。
「Aランクを超えるだと・・・くだらない冗談は聞きたくない。もっと正確な情報を持ってこい」
テフヌトは、セトの話を信じることができないのである。Aランクを超える魔獣とは、神話レベルの魔獣であり、この世界には存在しないとされているからである。
「今からウルフキングを捕まえに行ってくるぜ」
「ちょっと待て、俺も付いて行く」
セトがあまりにも怯えているので、念のためにテフヌトを一緒に行くことにしたのであった。
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