第297話 ホロスコープ星国 ルシス編 パート9
私とホットドッグの旅は、かなりのんびりしたものになった。ホットドッグは動きが遅いだけでなく、すぐに疲れて休息を取りぐっすりと安眠をする。しかし、私はそんなのんびりとした旅は嫌いではない。このまま、ホットドックと一緒に、スローライフを楽しみたいと考えている。しかし、そんな安住の地を手に入れるためにもラードーンを倒さないといけないのである。
「すいません。私が遅いので先に進みません」
ホットドッグもわかっているのである。
「気にしなくてもいいのです。急ぐ必要はありません」
「ありがとうございます。しかし、後2日もあれば王の森にたどり着くことができます」
私はホットドックと旅をして今日で2日目である。本来ならケルの森から王の森までは、1日もあれば簡単に辿り着くことができる。そして、私が本気で走れば、5時間もあれば着くことはできるだろう。しかし、ホットドックのスピードに合わしているので、4日間もかかる予定なのである。
2日後
「フレキ様、ここからがラードーンが支配する王の森になります。王の森の中心には、ドラキュラ族が住んでいた大きなお城があります。ラードーンはドラキュラ城の周辺にいると思います」
ホットドッグの役割は王の森までの案内である。なので、これより先は共に行動はしない。ホットドッグは、自分が足手まといになるのことは理解している。
「ありがとうございます。私がラードーンを倒して、平和に暮らせる世界を実現してみせます」
「私のペースに合わせて行動してくれたのはフレキ様が初めてです。フレキ様のような優しい方が統治する森で、私は暮らしたいと思いました。ラードーンは強いです。でも、フレキさんの勝利を願っています」
ホットドッグは、あまりにも遅いので、共に行動する魔獣はいない。そんなホットドッグと共に行動した私は稀な存在なのである。
私は、ホットドッグと別れて、1人で王の森に入って行った。
王の森はかなり大きな森である。ラードーンがこの森に来る前は、この森の奥でひっそりとヴァンパイヤ族が暮らしいた。しかし、ラードーンがヴァンパイヤ族を滅ぼしてからは、この森は王の森と言われるようになって、魔獣の住処になってしまったのである。
私が王の森に入ると、なぜか魔獣に全く遭遇はしない。それは、私が王の森へ来る事を知っていた魔獣達が、ラードーンのいるヴァンパイヤ城周辺に逃げ込んだからであった。
2時間後、私の目の前に大きなお城が見えてきた。ヴァンパイヤ族が滅ぼされてから、10年以上経過しているので、お城は蔦に覆われていて、森と一体化されていた。
そして、お城の前に体長3mくらいのドラゴンが私の到着を待っていたのである。
「お前が、ウルフキングなのか」
ドラゴンが私に声をかける。
「そうです。あなたがラードーンですか?」
「そうだ。お前程度の実力なら、本来の姿に変身することはないであろう」
ラードーンは、本来は体長が20mもあり、100本の頭を持つドラゴンの魔獣である。しかし、その大きさだと目立つので普段は小さいドラゴンの姿をしている。
『ホワイトブレス』
私はすぐに攻撃を仕掛けた。
白い風の刃がラードーンを襲う。
「そんなしょぼい攻撃など私の体には通用しないぞ」
ラードーンは逃げることもせずにじっと構えている。
『ゴロン・・・』
余裕の笑みを浮かべていたラードーンであったが、私の『ホワイトブレス』によって頭が切り落とされた。
『べちゃ』
私は切り落とされた頭を、すぐに鋭い爪で粉々にした。私はホットドッグから需要な情報を聞いていた。それは、ラードーンを倒すには、100本の頭のコアを全て破壊しないといけないとを。
『ホワイトブレス』
私は間髪入れずに攻撃を仕掛ける。
「ちょっと待ってくて!俺の話を聞け!」
『ゴロリ・・・』
ラードーンの二つ目の頭も切り落とされた。
『ぐちゃ』
そして、二つ目の頭も破壊した。
「待て、これ以上俺に攻撃すると、お前の仲間を殺すぞ!」
ラードーンは、私を脅迫してきた。
「どういうことですか?」
私は一旦攻撃をやめて、ラードーンの話に耳を傾けた。
「お前と共に行動していたホットドッグを殺すと言っているのだ」
「あなたがホットドックさんを殺す前に、私があなたを殺します」
「強気だな・・・でも今頃は、ドッグワンの手によってホットドッグは捕獲されているはずだ。お前達がどう動くは想定していたのだ。しかし、お前の強さは想定外だった。万が一のために用意していた作戦が必要になるとは、俺も驚きだぜ」
ラードーンは、自分の力を過信し過ぎて、一度死にかけている。なので、万全の策を用意していたのである。
「そういうことですか・・・私の考えの甘さが敗因でしたね」
「そういうことだ。お前は俺の想定を上回る以上の強さを持っていた。しかし、昔の俺と同様に己の力を過信しすぎたのだ」
「私が、ホットドッグを見捨てたらどうするのですか?」
「それはない。魔獣達の情報では、お前は平和を望む変わった魔獣と聞いてる。平和を望むモノが仲間を見捨てることはしないだろう」
「私はどうすればいいのですか?」
「俺の部下にならないか?そして、一緒に世界を征服しようではないか」
ラードーンは、魔王の手によって、『オリュンポス国』の支配に失敗している。しかし、再度『オリュンポス国』を支配しようとしているのである。
「それはできません。私は平和を望むために行動しています。争いに加担するくらいなら死を選びます」
「ならば死ぬがよい」
ラードーンは本来の姿に変身した。
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