第296話 ホロスコープ星国 ルシス編 パート8
⭐️少し時は遡りフレキ視点になります。
私はフェニと別れて、このあたりの森を支配するラードーンという魔獣を倒す事にした。ケルベロスは魔獣王の血を引くと言っていた。そして、その魔獣王というのがラードーンという魔獣である。私はこのあたりの魔獣が悪さをする根源はラードーンにあると考えたのである。
私は、ケルの森にいる魔獣に、ラードーンの住む王の森を案内してもらう事になった。
「ウルフキング様、ラードーン様に関わるのは危険だと思います」
ウイナーのような体した犬の魔獣ホットドッグが言った。
「どのように危険なのですか」
私はホットドッグに尋ねる。
「ラードーン様は、魔獣の頂点に立つ魔獣王だと本人が言っています。その言葉を証明するかのようにラードーン様は、一夜にしてこの辺りを支配していたヴァンパイヤ族を滅ぼして、王の森を作り上げました。そして、三つの森のボスであるキマイラ、グリフォン、ケルベロス達はラードーン様の強さに屈服して、すぐに忠誠を誓い、ラードーン様の庇護下に入りました。そんな強大なる力を持つラードーン様に戦いを挑むなんて、いくらウルフキング様でも無理でございます」
ホットドッグは、元ケルベロスの部下である。しかし、私にケルベロスを倒されて、新たな主人として私を選んだが、まさか、ラードーンを倒し行くと思ってもいなかったので、全力で止めようとしているのである。
「話はよく理解できました。ラードーンを倒せば、このあたりの争いは無くなるのですね」
「そうなのですが・・・」
ホットドッグは、私をいくら説得しても無駄だと、ようやく理解したのである。
「ラードーン様の住んでいる場所までは案内いたします。しかし、私を戦いに巻き込まないでください」
ホットドッグは、身の安全を図る。
「もちろんです。あなたは色々と親切にこのあたりの事を教えてくれました。そんな親切なあたなを私は全力で守ります」
私がフェニと別れて、1人でケルの森を徘徊していると、ホットドッグは私に近ずいてきて忠誠を誓ったのである。そして、私の問いに色々と答えたくれたのであった。
「それでは、付いてきてください」
ホットドッグは、ウインナーのような体にダックスフンドのような小さい手足が付いている。なので、かなりスピードは遅い。そのスピードは亀よりも遅いと言っても過言ではない。
しかし、私に忠誠を誓ったホットドックを傷つけるようなことは言えない。なので、ホットドックのスピードに合わせて、のんびりとラードーンの住む王の森へ向かうのである。
「ラードーン様、ケルベロスが殺されました」
王の森に戻ったドッグワンがラードーンに報告する。
「誰にやれたのだ?」
「ウルフキングです」
「ウルフキングはウルフの森から出ないのではないか?」
ラードーンが首を傾げている。
私は気が付くとウルフの森(南の森)にいた。私は自分が何者かわからなかったが、自分の名前がフレキと言う事、そして魔法の使い方など、生きていく能力は覚えていた。しかし、自分がどこに住んでいて、どんな生活をしていたのかという記憶が全くないのであった。
私のウルフの森の生活は、戦闘の連続であった。私はウルフの森に来たばかりの新入りだったので、森の縄張り争いのため、たくさんの魔獣が私に襲いかかってきた。しかし、私は他の魔獣に比べて、遥かに実力が上であった。私はウルフの森に来て2日間で、私に襲いかかって来る魔獣はいなくなり、いつしか私の事ウルフキングと呼ぶようになったのである。
私は争いを好まない。なのでウルフの森では、魔獣同士の戦いを禁止して、みんなで仲良く暮らすように魔獣たちにお願いした。そして、私は平凡な森での生活を楽しんでいた。なので、ウルフの森を出ることはなかったのである。そう・・・フェニと出会うまでは・・・
「確かに、そのように言われていました。しかし、ウルフの森を抜け出して、次々と魔獣を倒しているのです。グリフォンやキマイラもウルフキングに逆らうことができず服従をしたと聞いています」
「ついに動き出したのか・・・しかし、魔王・・・じゃなく魔獣王である俺が、本当の強さを教えてやる」
ラードーンとは100の頭を持つドラゴンの魔獣である。ラードーンは150年前に、ある人物にそそのかされて、『オリュンポス国』を滅ぼすために住処である南の森から王都ジンジャーに向かった。
ラードーンは、ある人物の協力を得て、たくさんの魔獣を率いて、『オリュンポス国』の町を破壊し続けた。そして、自分は世界を滅ぼす魔王だと魔獣達に言い聞かせた。
ラードーンがブラカリの町の近くに到達した時、ラードーンの前に勇者ユーピテルが現れた。ユーピテルは神剣の『雷霆』を使って、ラードーンの100本の頭のうち1本だけ切り落とすことに成功した。しかし、すぐにラードーンの反撃にあい一瞬で命を落とすことになる。しかし、この1本の切り落とされた頭のおかげでラードーンは後に命拾いすることになる。
ユーピテルが殺された後、ラードーンの行手を塞いだのは、ルシスの父である本当の魔王カイザーである。魔王カイザーは、魔王の名を語る魔獣王を放置することができ図、ラードーンを倒しに来たのである。魔王カイザーは、暗黒魔法ブラックホールを使って、その場にいた全ての魔獣を消し去って、ラードーンの企みを阻止したのであった。
しかし、ラードーンは100本の頭にあるコアを全て壊さない限り再生する無限再生能力を持っていた。ユーピテルによって切り落とされた頭は、奇跡的にもブラックホールの対象外になっていたため、ラードーンは一命を取り留めたのである。
そして、ラードーンは150年かけて少しずつ再生していき、やっと本来の姿を取り戻したのであった。
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