第23話 孤児院にて
地下室から、子供達が出て行くと、私は、中央に置かれてる魔石を見つけた。
「この魔石が、結界を張っていたみたいですね」
「これが、結界の魔石なのか。これのおかげで、あの子達は助かったのね。でも、なぜ子供達しかいないのかしら?」
「子供達だけでも、助けようとしたんじゃないか?ここは孤児院だし」
「そうかもしれないね。でも子供達は助かったが、これからあの子達はどうなるのかしら」
「それはわからないが、あとは領主様が考えるだろう」
この町の今後は、私たちはどうする事もできない。トールさんの言う通りあとは領主様が、なんとかしてくれるだろう。
私達が、地下室から出ると1人の女の子が話しかけてきた。
「冒険者様が、町のゴブリンを全て退治してくれたのですか?」
「そうだよ、だからもう大丈夫よ」
「町は、どうなったのですか」
子供達は、地下室からは出てきたが、外を見に行く者は誰もいない。
「残念ながらこの孤児院に避難していた人以外の生存者はいないようです。結界の魔石のおかげで、この孤児院へはゴブリンが襲いにこなかったみたいです」
「結界の魔石?」
「地下室にあった魔石だよ」
「あれは結界の魔石だったんですか」
子供達は、結界の魔石とは知らなかったみたいだ。たぶん子供達を守るために、院長が置いたのであろう。
「私たちは、これからどうなるのですか?」
「キャベッジの町長に報告して、なんとかしてもらうから安心してね」
「ありがとうございます。」
お礼をいうと、女の子は、みんなのもとへ戻っていった。
あの女の子が、この子供達のリーダーみたいだ。みんなのもとへ行くと、他の子供達に、もう大丈夫だと説明しているみたいである。
「急いで、キャベッジの町へ戻りましょう」
「そうだな」
私達は、町の外に置いていた馬車に乗り込んで急いでキャベッジの町へ向かった。
キャベッジの町へ着くと、カミラ男爵の屋敷に向かった。
屋敷に着くとすぐに、カミラ男爵は大広間に案内してくれた。
「それで、町の状態は、どうでしたか」
「ゴブリンが500体に、ジャイアントゴブリンが5体。それをまとめるリーダーのゴブリンキングが1体いました」
「そんなにたくさんいるのね・・・しかも、ゴブリンキングまでいるのですか!」
「町の生存者は20名です。それ以外の住民は見あたりませんでした」
「ほぼ、壊滅状態ですね」
「はい、そうです」
「それで、生存者の者は、全て子供達なので、早く大人たちが手助けをしてあげないといけません」
「そうですか。でもまだ討伐隊は来ていないので、残念ながら何もしてあげられないわ」
「ロキお姉ちゃん。肝心なこと言ってないですよ。ゴブリンキングの討伐のことを」
「えっ。今何と言ったのですか?ゴブリンキングを討伐したのですか?」
「申し訳ありません。肝心な事を言っておりませんでした。討伐は完了しました。もう町は安全です」
「たしか、視察の依頼だったはずでは・・・」
「はい。そうです。しかし生存者がいる事がわかりましたので、討伐する事にしました」
「それは助かりました。それなら、私の町から数名をパースリの町へ支援を出します」
「はい。ありがとございます。あと食料もお願いします」
「わかりました。こちらでなんとかします。しかし詳しい支援は、領主様に報告してからになると思います」
「はい。わかりました」
「討伐隊が、パースリの町へ向かうはずなので、急いで、トメイトの村にも報告しないといけないわ。それに、バードクの町の冒険者ギルドにも報告しないわ」
領主様の町からパースリの町に行くには、まずバードクの町へ行きそして、トメイトの村を通ってパースリの町へ向かうのが最短のルートらしい。
「討伐後で申し訳ないですが、バードクの冒険者ギルドへ報告を頼まれてくれないかしら」
トールさんが、あきらかに嫌な顔をしている。
「今、討伐を終えたばかりです。準備の時間をもらってから、バードクの町へ向かったとしても、着くのは明日になります」
この世界では、夜中に外に出歩くのはとても危険である。夜中になると、活発的に動き出す魔獣がいるからである。
安全なところで夜営をして夜中はあまり動かない方が得策なのであり、今から出発しても今日中に着くのは難しいのである。
トールさんはホットする。
しかし、私の支援魔法を馬に使えば、今日中に、着く事はできる。
ロキさんは、みんなの体を気遣って、キャベッジの町で休息を取らせてあげようと考えている。
「申し訳ないのですが、出来るだけ早く領主様に伝えないといけないのです。他の者に頼みたいけど、現状を把握している、あなたたちにお願いしたいのです」
「みんなどうしますか?私は現状を考えたら行くべきだと思うわ。しかしみんなの体調も心配です。みんなの意見を聞きたいたいわ」
「私も行くべきだと思いますわ」
「俺は、ここの町の宿屋の飯が食べたい。バードクの町は、ここより美味しい食堂がないからな」
トールさんは素直に答えた。
「トールさん。バードクの町にも美味しい食堂があります。しかし、限られた人しか入る事はできません。私が紹介状を書けば入ることが出来るはずです」
「本当なのか?それに、ちゃんと紹介状は書いてくれるのか?」
「もちろんです」
「ロキ、今から出発するぜ。カミラ男爵様の頼みを断るわけにはいかないぜ」
トールさんの態度は一変した。
「ロキお姉ちゃん、私の支援魔法を使えば、今から出発しても日が暮れる前に着くと思います」
「ルシス任せたぞ。美味しい食堂をめざして、出発だあー」
みんな呆れて、何も言えないのであった。
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