第159話 妖精王パート29
2日間ゆっくりと妖精の神殿で過ごしたロキさん達はついに覚醒者になった。
「ロキ何か変わったか?」
「普段と何も変わらないわ」
ロキさん達は自分たちの体の異変には全く気づかない。
「オーベロン、どうしたら覚醒したかわかるのだ」
「簡単だよ。得意な魔法を使ってみると良い」
「それなら、ビリビリパンチだな」
トールさんは、雷魔法を拳に貯めて近くの大木をパンチした。
トールさんがパンチした大木は瞬時に凍りつき、さらに電流が流れて大木は砕け散った。
「すげーーー」
トールさんはビックリしている。
「トール君は、覚醒して雷風属性と氷水属性を同時に発動できるようになったみたいだね。これからは意識して属性をコントロールすることで、もっと強大な魔法を使えるようになるだろう」
「これはすごいな。氷水属性を手に入れたのなら水中での戦闘も有利なるな」
「私も試してみるわ」
ロキさんは剣に魔力を注ぐ。剣が燃え上がり灼熱の剣になる。
「ロキ、いつもと同じだぞ」
「そういうことね」
「どういうことなんだ?」
ロキさんが軽く剣を振ったら大木が簡単に真っ二つになる。
「私は大地属性を手に入れたみたいよ」
「大地属性とは珍しいな。回復と身体強化に特化するんだろ」
「そうよ。いちいち身体強化の魔法やシールドを張らなくても、自然と身体強化されるし、さらに強化を強めることもできるはずよ。特殊な属性なので嬉しいわ」
大地属性とは緑色の魔石である。大地属性はドワーフの属性であり人間が大地属性を持って生まれる可能性はかなり低いと言われているレア属性である。
ドワーフが劣悪な環境の炭鉱作業などが得意なのは大地属性だからである。
「2人とも覚醒者でよかったわ。もしルシスちゃんの勘違いだったら、2人は無属性になるところでしたね」
ポロンさんはホッとする。
「せっかく2つの属性を使えるようになったから腕を試したいぜ」
「そうね。でも、その前にきちんと訓練をしないといけないわ」
「そうですよトールお姉ちゃん。きちんと2つの属性の良いところを引き出して、うまく使わないと無駄になりますよ」
私は2人にきちんと指導してあげようと思っている。私は全ての属性も持っている金属性である。天使様との特訓で属性の相性などは全て知り尽くしているのである。
それにロキさんには魔剣ルーヴァティンを使いこなせるようになって欲しいのである。
私たちは、ティターニアの了承を得て、妖精の森で1週間特訓させてもらうことにした。2人の特訓相手にはオーベロンにしてもらって、みっちりと2人を鍛えてもらったのであった。
ティターニアが快く承諾してくれたのは大きな理由がある。それは私の新作のおやつのチョコレートを大いに気に入ったからである。そして、ティターニアはこの1週間で私の作ったシュークリーム、プリン、チョコレートなど甘い物を食べ過ぎて10キロも太ってしまい自分の姿を見て絶望した。しかし、一緒になって食べていたサラちゃんとウンディーネは全く変化がないので、ティターニアは激しく怒り狂うのである。
「なぜ、私だけ太るのよ!!!絶対におかしいわ。あなた達、陰でダイエットしてたでしょ!!」
「もちろんよ。日頃から十分な運動をして、スタイルの維持に心がけていますわ」
ウンディーネが誇らしげに言う。
「ダイエットってなんなの?美味しいのかしら?」
サラちゃんの体内は常に燃えている。なので脂肪がついてもすぐに燃えてなくなるのである。だからダイエットとは無縁の体であった。
「ティターニアさん、家事をしていたら多少の脂肪は燃焼しますわ」
太っている妖精はほぼいない。それは少しの運動でたくさんの脂肪を燃焼する体になっているからである。それにあまり太る食べ物は食べないからでもある。だからティターニアが太ったのは私にも責任がある。
「家事はオーベロンの仕事よ。私がする必要ありませんわ」
「それなら運動をしないといけませんわ。ルシスちゃんが太りやすい食べ物だから気をつけるように言っていたじゃない」
「でも、サラマンダーはいくら食べても大丈夫と言ったわよ」
「そうよ。私はいくら食べても太らないわよ」
「それはサラマンダーが特殊な体質をしているからじゃないの。サラマンダーの体内は絶えず燃えているのよ。だから脂肪ができてもすぐに燃焼するから太らないのよ」
「そうなんだ。知らなかったわ」
サラちゃんは自分の体の作りを理解していない。
「騙したのね!!」
サラちゃんの言葉を信じるティターニアが悪いと私は思った。
「ティターニア、私の炎でそのポコンと出たお腹を燃やしてあげるわよ」
「お願いするわ」
「無理よ。絶対に無理よ」
ウンディーネがティターニアを説得する。
「でも・・・10キロも太ったのよ。妖精界で1番美しい私がぽっちゃりとしたらみんなに示しがつかないわ。サラマンダー私のお腹を燃やして頂戴よ」
「わかったわ」
サラちゃんは大きく息を吸い込みティターニアのお腹に向かって炎を吹きかけた。
「ウォーターバリア」
ウンディーネが素早くティターニアに周りに水のバリアを張った。
サラちゃんの炎がウォータバリアの水を蒸発させる。
しかし、サラちゃんの炎も鎮火する。
「何をバカなことやってるのよ。危うく黒焦げになるところよ」
「でも・・・」
ティターニアは涙目になる。
「ダイエットは孤独な戦いよ。楽な道はないのよ」
「・・・・・」
ティターニはウンディーネの説得に応じて自分の部屋に戻った。
一方、ロキさん達はオーベロンの特訓により、覚醒者として2つの属性をうまく使えるようになったのである。
「オーベロンありがとな」
「ありがとうございました」
「ルシスちゃんのアドバイスのおかげだな。彼女はほんとなんでも知っているな」
オーベロンは私が教えた通りに2人を指導してくれたのでとても助かったのであった。
「これから君たちはどうするのだ」
「ロキ、どうするのだ」
「えっ・・・ルシスちゃんどうするの?」
「倭の国へ行きませんか?」
「ほほう・・倭の国かぁ。あの国にはお寿司と言う美味しい食べ物があるらしいな」
オーベロンは食いしん坊である。
「行こうぜ。お寿司を食いに行こうぜ」
「お寿司・・・どんな食べ物か気になりますわ」
私は村の村長からお米は倭の国に行けば、たくさんあると教えてもらった。あの村では、自分たちが食べる分の量しかお米は作れない。なので、倭の国へ行ってみたいと思ったのであった。
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