第350話 魔石国家ケルト王国編 パート20
レオはお姫様をエスコートするように、リヴァイアサンを丁重に扱っている。リヴァイアサンは、レオの過剰なサービスに嫌な顔をすることなく、丁寧に全てを断っている。
レオは、研修施設に到着する道のりの間、様々なお店によってプレゼントを贈りたいと申し出るが全て断られた。しかし、全く怯む事なくリヴァイアサンにアピールをする。
「あの円形の闘技場の建物が研修施設になっています。リヴァイアサン様は研修のご予約は取っていませんが、フェニちゃんの予約をキャンセルしてでも、必ず、リヴァイアサン様の研修を実施させます」
あれほどフェニに対する忠義が熱かったレオが、恋の力の前にはあっさりと敗れてしまった。
「ライちゃん!ひどいですぅー」
フェニは少しショックを受けている。
「フェニ、ライさんは愛の尊さを知ったのですよ。だから、少しくらいは我慢してあげてね」
「わかったですぅ。ライちゃんの恋を応援するのですぅ」
レオはリヴァイアサンを背中から下ろして、人間の姿に戻って、研修施設の受付に向かった。そして、数分後レオが僕たちのところへ戻ってきた。
「リヴァイアサン様、フェンちゃんと一緒に研修を受けても良いそうです。もちろん、リプロ様の許可ももらいました。
「レオさん、ありがとね」
リヴァイアサンは、優しく微笑みながら言った。リヴァイアサンの笑みを見てレオは天にも登る気持ちで喜んでいる。
「私たちはB闘技場で研修を受けることがきます」
円形の闘技場の中にはさらに6箇所の闘技場があり、そのうちの2箇所で研修を受けることができるのである。僕たちはそのうちの一つであるB闘技場で研修を受けることになった。
B闘技場は直径30mくらいの円形の石の舞台がありそこで魔石具の使い方を学ぶことになっている。
「君たちが『ホロスコープ星国』からきた客人ですか?」
白銀の鎧を着た屈強な男がB闘技場で腕を組んで待っていた。
「そうです。予定ではフェニちゃんのみの参加でしたが、急遽2名の追加を申請しました」
「わかりました。ところで、君が星の使徒と呼ばれる能力者ですか?」
「よくご存知で」
「『ホロスコープ星国』は星の使徒と呼ばれる能力者によって国が統治されていると聞いています」
「はい。しかし、それは以前の『ホロスコープ星国』です。今はフェニちゃんにより前国王のジェミニは失脚して、新たな国作りをスタートしています。フェニちゃんはいずれ『ホロスコープ星国』の王になる器の持ち主です。なので、修行を兼ねてこの研修に参加しました」
「キャンサー殿から聞いていると思うが、ここは魔法を教えるところではありません。魔石具のチカラを最大限に引き伸ばして使う練習をする施設です」
「はい。説明は受けております。初めは魔法を教えてくれる施設だと勘違いしていました。しかし、魔石具を魔法のように使えると知って興味が湧きましたで、研修を受けることにしました」
「ご理解いただいているのでしたら結構です。魔法が使えると勘違いしてくる方が多いので困っているのです。ところで。魔石具の使い方を教える前に聞きたいことがあるのです」
「私にわかることがあればなんでも言ってください」
「あなたの能力と私の魔石具どちらが強いか勝負してください。実際にどのように魔石具を使うか見た方がわかりやすいと思います」
「分かりました。私は星の使徒の1人レオと申します」
「紹介が遅れましたが、私が魔石具の使い方を教えさせていただくダグザです」
僕たちの研修を担当するのは、魔石具団の団長の1人火炎のダグザである。ダグザは、プロメーテウスの指示により『ホロスコープ星国』の星の使徒が、どのような能力を使うのか確かめるように言われている。
「では闘技場に上がってください」
ダグザはレオに闘技場に上がるように言った。
「ここに美人がいると聞いたのだがどこにいるのだ!」
B闘技場に下品な声を轟かせる人物が入って来た。
「オグマ、何しに来たのですか?」
下品な声の正体が魔石具団の団長の1人白炎のオグマであった。オグマはサイのような巨漢の男だ。巨漢のオグマが歩くと地鳴りがすると言われている。
「受付の奴に教えてもらったのだ。B闘技場にとびきりの美人がいるとな!」
オグマの視線にリヴァイアサンが入った。
「ほほう・・・お前のことだな!俺が個人的に魔石具の使い方を教えてやるからついて来い!」
オグマはリヴァイアサンに近寄っていく。
「無礼者が!」
レオが『ライオンモード』の能力を発動してライオンに変身した。そして、全速力でダッシュをしてオグマにタックルを喰らわす。
しかし、オグマは煙のように透明になり、レオはオグマをすり抜けて壁に激突する。
「邪魔をするな」
壁に激突したレオにオグマは、丸太のような太い腕で殴りつける。しかし、レオは腕をクロスして豪快なパンチを防ぐ。しかし、オグマの拳は煙のように白くなってレオの腕をすり抜けて、レオの顔面を殴りつけた。レオはパンチを喰らって激しく転がる。
「ライちゃん!」
フェニがレオとオグマの間に入ろうとした時、スッとリヴァイアサンがレオの前に立ちはだかる。
「それも魔石具のチカラなのかしら?」
「教えて欲しいなら俺の女になれ」
「嫌よ。私は弱い男には興味がないのよ!」
「俺が弱いだと・・・笑わせるな!」
オグマは、鋭い眼光でリヴァイアサンを睨みつける。一方、オグマに殴られて激しく転んで倒れていたレオは、リヴァイアサンの言葉を聞いて、スクッと立ち上がってダメージを受けていないアピールをするのであった。
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