第121話 ターニプ防衛パート8



 「ニャンの助、ダーシンシンを倒したのね」


 「ギリギリの戦いだったぜ」


 「ダーシンシン隊長を倒すなんて、さすがニャンの姫様の手下だ」


 「おい、なんで?ワニ野郎と仲良くしているんだ」


 「ワニパラ団は、私のファンクラブに入ったのですわ」


 「ポ・・じゃなくて、ニャンの姫のファンクラブ?」


 「そうですわ。私の美貌に降伏してきたのですわ」


 「ロ・・じゃなくて、ニャン太郎本当なのか?」


 「本当よ。クロコダイルは私が倒したけれど、残りのワニパラ団は、ポロ・・ニャンの姫の配下になったみたいなの」


 「そうか。でもこの設定をいつまで続けるのだ。俺はもう疲れたぜ」


 「ニャンの助が始めたのでしょ。もう少しの我慢よ」


 「にゃんの姫様、俺たちは命をかけてあなた様を守り抜きます」


 「ニャンの姫、こいつらを連れていくのか?」


 「私はファンを大切にするのですわ。なので、私の親衛隊として連れて行きますわ」


 「ありがとうございます。ニャンの姫様」


 「いや、邪魔だろ・・・・」



 その時。



 「助けてください」


 「あれはバニーの声だ。何があったのだ」


 「トール、フワリンを呼んでバニーさんが危ないわ」


 「わかったぜロキ。今すぐにここに呼ぶぜ。フワリーーーン」


 「トール?ロキ?」



 ワニパラ団は、名前の呼び方に疑問を感じていた。しかし、そんなことは気にせずにトールさんが、フワリンを呼び出した。



 「助けてください」


 「バニー大丈夫か」



 トールさんが、フワリンに待機していたバニーを助けにいく。



 「・・・・・ルシス何をしているのだ」


 「モフモフの充電です」



 バニーは私に襲われていたのであった。私は、木の上からフワリンに乗っているバニーを発見した。なので、フワリンに飛び乗って、バニーを思いっきり強く抱きしめていたのであった。



 「ゴツン」


 「また、バニーが倒れるだろ」


 「ごめんなさい」



 私は、トールさんに怒られてしまったのであった。



 「ニャンの姫様これはどういうことなのですか。あの2人は、ニャンの助、ニャン太郎ではないのですか」


 「えーーと、それはですね・・・・」


 「もう演技は終わりだぜ。ポロン」


 「せっかく、私のファンができたのにもったいないですわ」


 「ポロン・・・・ニャンの姫ではないのですか」


 「そうだ。俺たちは猫の獣人ではないぞ」


 

 トールさんは、そういうと猫耳カチューシャを外したのであった。



 「そ・そ・そんな・・・」


 

 アリゲーターとガビアルがショックで倒れ込む。



 「ティグレ様の仲間っていうのも嘘なの」



 カイマンがトールさんに尋ねる。



 「それは嘘ではないぜ。ティグレとは一緒にブラカリの町を守った仲間みたいなものだ」


 「そうなのね。ティグレ様は元気にしていますか」


 「元気にしていたぜ。それにルシスとすごく仲がいいぜ」


 「それならティグレ様の現状を詳しく教えてくれませんか」


 「いいぜ」



 トールさんは、ティグレさんのことについて知っていることを全て話した。



 「ティグレ様がブランシュ様と一緒に仲良く過ごしているのはよかったですわ。バシャーに、国を追い出されて何をしているのか心配していました」


 「ティグレは獣人の国で何があったのだ」


 「それは私が説明致しましょう」


 

 私から解放された、バニーがティグレさんのことについて語り出した。




 「ティグレ様は、3獣士の1人として平和的に国の安定を保っていました。しかし、ティグレ様の配下であったバシャーはとても欲深い男だったのです。ティグレ様の獣人の国を3分割して平和に保つやり方に不満を持っていました。なので、バシャーはいつかティグレ様を倒して、新たな3獣士の地位を虎視眈々と狙っていたのです」

 「そして、ティグレ様とブランシュ様に待望の赤ん坊が生まれた時に事件は起きました。バシャーと仲のよかったクロコダイルに命令して、ティグレ様の赤ん坊を盗み出しティグレ様を脅迫しました。赤ん坊の命が欲しければ、3獣士の名をかけて勝負しろと。そして敗北するしろと」

 「獣人の国では力が全てです。強者が、国を統治する権利があるのです。なので、3獣士になりたいのであれば、決闘を申し込むことができるのです。しかし、バシャーはティグレ様に勝てる自信はなかったのです。なので、赤ん坊を人質に取り勝負を挑んだのです」

 「ティグレ様は勝負を受けて、そして敗北しました。敗北後、ティグレ様はバシャーに国外追放を言い渡されました。なので、ティグレ様は、赤ん坊を連れて国を出たのです。その時に、ティグレ様の慕っている数名の獣人たちも一緒に国を出て行かれました」

 「私も、一緒に国を出たかったのですが、バシャーが、私の料理の腕を買っていたので、妻を人質に取られて逃げることができませんでした」

 「ティグレ様が、ブランシュ様と一緒に元気に暮らしていると聞いて安心しました。私もティグレ様のいるブラカリの町へ行きたいです」


 「バニー料理長、ごめんさない。私の兄のクロコダイルのせいで、平和な国が争いの絶えない国なってしまって。私たちもティグレ様を慕っていました。でも兄のクロコダイルだけは違っていたの。クロコダイル兄さんは、自分の力に自信を持っていたので、バシャーと一緒に、獣人の国を支配するつもりだったの。今回、ニャン太郎様に殺されたのは自業自得だと思いますわ」


「許せません」



 私は非常に怒っているのである。あんな素敵なモフモフを持っているティグレさんと、ブランシュさんの赤ん坊を人質にとって、国を追い出すなんてとても許せないことである。



 「そうだな。俺たちがバシャーを倒してティグレを三銃士の座に戻してやろうぜ」


 「そうしましょう」


 「決まりですわ」


 「このまま、一気にバシャーを倒しにいくか!」


 「どうしましょう」


 「ルシスちゃんはどう思う」


 「このまま、バシャーを倒したいけど、一旦、ブラカリに戻ってティグレさんの気持ちを聞いてみましょう。私達がバシャーを倒すより、ティグレさんに倒してもらった方が、獣人の国のためになると思います」


 「確かにそうね」


 「そうしようぜ」


 「決定ね」



 私たちは、一旦、ブラカリの町へ戻ることにしたのであった。


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