第119話 ターニプ防衛パート6



  「覚悟は決まったか。一撃でお前の体を粉砕してやるわ」



 ダーシンシンは、拳を強く握りしめて頭上より激しく拳を振り落とす。



 「グシャーーーン」



 バニー料理長が、立っていた場所には大きな穴が出来上がった。



 「もろい奴め」



 「ダーシンシン隊長、バニーを殺したのか」


 「感触は感じなかったが俺の攻撃を避けるスピードはないはずだ。その穴ぼこの中で、バニーはミンチになって死んでいるだろう」


 「ダーシンシン隊長バニーは死んでいないわ。何か気配を感じたわよ」


 「カイマンは疑り深いな。ほれ、この穴ぼこを見てみろ。バニーの死体が・・・・・・ない」


 「くらいやがれー」



 トールさんのハンマーがダーシンシン頭を叩く。


 ダーシンシンは、その衝撃で穴ぼこの中へ倒れ込む。



 トールさんは、風魔法でスピードを強化して、ダーシンシンが、バニー料理長を殴りつける前に、助け出したのであった。





 「あなたは、ニャンの助様ではありませんか」


 「バニー料理長助けに来たぜ」


 「ありがとうございます。しかし、これは一体どういうことなのでしょうか」


 「詳しいことは後で話すぜ。バニーはこのフワリンに乗って、待機しといてくれ、俺たちがあいつらをぶっ倒してくるぜ」


 「わかりました。私はここで待っています」





 「お前は、何者だ」


 「俺たちはバニーを救いに来た、癒しの天使ニャンニャン突撃隊だ。そしてそのリーダーで、大食い担当のニャンの助だ。全ての食材は俺のものだ」



 トールさんは猫の獣人になりきっているのであった。



 「猫の獣人かぁ。さては・・・ティグレの部隊の生き残りだな」


 「そうだ。バニーを返してもらうぞ」


 「貴様、俺の頭を殴って無事で帰れると思うなよ」



 穴ぼこからダーシンシンが這い上がってきた。トールさんの渾身の一撃を食らっても、そんなにダメージはないみたいであった。



 「こいつは、俺がズタズタにしてやる。お前らは手を出すなよ」


 「猫の獣人のスピード、跳躍力を侮るな。俺たちも加勢してやる。ティグレの部隊の生き残りなら、確実に始末しておかないとダメだ」


 「そうわさせないわ」



 ポロンさんは、ワニワニパラダイス団に向けて炎の矢を連射する。燃え盛る炎の矢は、ワニワニパラダイス団の座るテーブルに次々と降り注ぐ。



 「炎の矢ごときが、俺たちの鋼鉄の鱗に効くと思っているのか」



 ワニワニパラダイス団は、ポロンさんの炎の矢を避けることすらしないのであった。それほど、自分たちの鋼鉄の鱗に自信を持っているのであった。


 ポロンさんの炎の矢が、ワニワニパラダイス団の体に突き刺さり激しく燃え上がる。



 「こんな炎なんて大したことないぜ。蚊に刺された時みたいに矢が刺さった痛みすら感じないぜ」


 

 クロコダイルが平然な顔をして、ダメージを受けていないアピールをする。



 「そうですわ。なんなのこのおもちゃの矢は、そんな物で私たちに戦いを挑むなんて、とても愚かだわ」


 

 カイマンも同様の素振りをみせる



 「ほんとだぜ、こんな・・・炎なんて・・全然・・・熱いぞーーーーー」



 アリゲーターも同様お素振りをみせよとしたが、ポロンさんの炎の矢の熱さ感じて悲鳴をあげた。



 「なんだこの炎は。俺の鱗が溶け出しているぜ」



 クロコダイル達の鋼鉄の鱗は、ポロンさんの炎の矢によって、じわりじわりと燃やし尽くしたのであった。




 「グギャーーー」


 「ギギャーーー」



 ワニパラ団はあまりの熱さのためにもがき苦しみだした。必死に炎を消そうと、ゴロゴロと転げ回ってなんとか炎を消すことができた。しかし、ワニパラ団の鱗はただれて、かなりの傷を負ったのであった。


 クロコダイル達が、地面で転がって必死で炎を消し終えて、ホッと一息して油断しているところを、ロキさんが灼熱の剣でクロコダイルの首を一気に跳ねた。



 「クロコダイル兄さん・・・・」


 「お前達は何者なのだ!」


 「バニー料理長を救いに来た、癒しの天使ニャンニャン突撃隊の、お色気担当ニャンの姫ですわ。私の美貌であなたの心を砕いてあげますわ」



 ポロンさんも猫の獣人になりきっている。しかし、ロキさんは、自分も自己紹介をしないといけないのか・・・と不安になっていたのであった。


 

 「確かに、あの子は美しいな・・・」


 「ああ、俺、ファンになってしまうかも」


 「何を言ってるのよ。クロコダイルお兄様が殺されたのよ。それに私たちの体も大変なことになっているのよ」


 「俺たちはニャンの姫様に心を砕かれたのだよ。そうだなガビアル」


 「もちろんだ。あんなに綺麗な獣人は見たことないぞ。俺はニャンの姫様の配下になるぞ」


 「もちろん俺も行くぜ、ガビアル」



 「わ・・わ・・・ワタチハ・・・バニー料理長を救いに来た。イヤチノ天使・・ニャンニャン突撃隊の・・えーーと。えーーーと。お掃除担当・・違うわ。えーーーと。えーーと。戦闘担当のニャン太郎でちゅ・・ちゅ・・・」



 ロキさんは、あまりの緊張のあまりに噛み倒してしまったのであった。


 しかし、ワニパラ団はポロンさんに夢中である。そして、ダーシンシンはトールさんと戦っているので誰も聞いていないのであった。



 「アリゲータ兄さん、ガビアル兄さん、バシャー様を裏切るのですか」


 「裏切るわけではない。愛のために行動するだけだ」


 「そうだぜ、カイマン。愛のためならなんでもできるのだ」


 「・・・・・」


 「ニャンの姫様。私たちは、あなた様の下僕になります。なので何なりと命じてください」


 「私の美貌にひれ伏すのはいい心がけですわ。何もしなくてもいいので、そこで、ニャンの助の応援でもしてちょうだい」


 「わかりました。ニャンの姫様」



 ワニパラ団のアリゲーターとガビアルは、ニャンニャン突撃隊の配下に加わった。



 「あなたは、どうするのですか」


 

 ロキさんが、カイマンに告げる。



 「降参するわ。クロコダイル兄さんの頭を一撃で切り落とす、ニャン太郎さんに勝てるとは思わないわ。それに、私たちは以前ティグレ様に使えていたのよ。ティグレ様の仲間でしたら私も協力するわ」


 「私の自己紹介を聞いていたのね!!!恥ずかしいですわ」



 ロキさんはリンゴのように顔を赤く染めるのであった。






 

 

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