第341話 魔石国家ケルト王国編 パート11
バクはフェニの命令に従って4人の用心棒に駆け寄っていく。
「こんなガキ俺が1人でボコボコしてやるぞ」
大柄の男性は自慢の肉体美を見せつけるように上半身は裸である。腕は丸太のように太く、人間同士の力比べなら誰にも負けない自信があるようだ。しかし、男が拳を振り回しながら威勢良く僕に近づく途中で、そのまま地面に倒れ込んだ。もちろん、バクが男の魔石を食べたのである。
「何を躓いているのだ。早く立ち上がれ!」
魔石具屋の店主は、男性が転けたと思っている。魔石具屋の店主がいくら声を掛けても男性は起き上がることはない。
「どうなっているのだ。お前達代わりにあのガキをボコボコにしてやれ」
「・・・」
残りの三人の男性もバクに魔石を食べられて、立ったまま死んでいる。
「お前ら、何をしているのだ!早くあのガキをボコボコにしてやれ」
「・・・」
屍なので返事はない。
「おい!どうしたんだ!」
魔石具屋の店主は、男性達の肩を揺するとそのまま男性達が次々と倒れていく。
「お前達が・・・何かしたのか?」
「身代わりの魔石具を見て下さい」
「どういう意味だ??」
「見ればわかりますよ」
魔石具屋の主人は、身代わりの魔石具を見た。
「壊れている・・・」
「あなたの代わりに身代わりの魔石具は壊れしまったのです。でも次は、本当に死んでしまいますよ」
「許してくれ・・・ここにあるものは全てお前にやる。だから命だけは助けてくれ」
魔石具屋の店主は、僕に跪いて泣きながら命乞いをする。
「それならお言葉に甘えて、ここにある全ての魔石具をもらっていくね」
僕は収納ボックスに店に陳列している全ての魔石具をもらった。
「どうか、命だけはお助けください」
「これに懲りたら、もう悪どい商売はしないことだね」
「わかりました。神に誓ってもう悪いことはしません」
「神に誓うなんて信用できない言葉だね。でも、この辺で許してあげるよ」
僕は神の関与していることがわかったので、もうこの魔石具屋に用はないと思ったので店を出ることにした。もちろん、店を出た後に『リワインド』の魔法を使って時を削って4人を生き返らせてあげた。
「リプロ様、たくさんの魔石具を手に入れることができましたね」
フェニは嬉しそうな顔をする。
「僕はちゃんと買うつもりだったのに、店の主人が理不尽な態度をとるからいけないのだよ」
「そうですぅ。リプロ様を脅すなんて身の程知らずですぅ」
「今まであの店の店主はかなり悪さをしてきたので、少しは懲らしめて正解だったかもね」
「いいことをしたと思いますぅ」
「宿屋に戻ろうか」
「はーーい」
僕たちは宿屋に戻ろうとした時、隣の屋敷から女の子が店員と思われる男性から、店から放り出されていた。
「お金のないヤツは出ていけ!」
店員は大声で怒鳴った。
「私のお金を返して下さい」
「これは入場料とアドバイス料だ!貧乏人は2度と来るな!」
「返して下さい」
「さっさと出ていけ!」
店員は女の子を蹴飛ばした。蹴飛ばされた女の子は転げ落ちるように道端に倒れ込んだ。
「大丈夫?」
フェニはすぐに女の子に駆け寄った。
「大事なお金が・・大事なお金が・・・」
女の子は体をガクガク振るわせながら言った。
「何があったのですか?」
僕は女の子に声をかけた。
「大事なお金が・・・大事なお金が・・・」
女の子はパニックを起こしていて、まともに会話ができないみたいである。僕は魔法を使って女の子をおちつかせてもよかったのだが、さっきもらった状態異常解除の魔石を使うことにした。
僕は収納ボックスから状態異常解除の魔石を取り出して、女の子に魔石を握らせてた。
「これで少しは落ち着いたかな」
「ありがとうございます。なんだか心が穏やかになりました」
状態異常解除の魔石は、こういう使い方もできるのである。
「何があったか教えてくれるかい?」
「はい。私はお母さんの呪いを解除するためにイベリアの村から呪いを解除する魔石具を求めてガリアの町は来ました。最近ガリアの町から移り住んできた魔石具屋の店主の紹介でここのお店にきたのですが、私が持っていたお金を全て奪われて、店から追い出されたのです。あのお金は村の人々からお母さんを助けるために寄付してくださった大事なお金なのです。そのお金を全て奪われてしまって私はどうしたらいいのか・・・」
「リプロ様お金を取り戻してあげましょう」
フェニは怒っている。
「お金を取り戻すよりもこの女の子のお母さんの呪いを解除してあげた方がいいかもね」
またバクを使えば簡単にお金は取り戻せることはできるが、それよりも女の子の母親を助ける方を優先することにした。
「お母さんの呪いを解除できるのですか?」
「たぶん問題ないと思うよ」
「リプロ様にできないことなんてないのですぅ」
フェニは自慢げに言う。
「お願いします。お母さんを助けて下さい」
「いいよ。イベリアの村はこの町からどれくらいかかるのかな?」
「馬車で半日かかります。でも、私はお金がないので馬車の手配ができません」
女の子は涙ぐむ。
「大丈夫だよ。僕の馬で行くから問題ないよ」
「でも、家に帰ってもお金がありません」
「お金はいらないよ。もちろん呪いの解除も無料だよ」
「本当ですか?」
「リプロ様はとても優しいお方なのですぅ」
フェニは嬉しそうに言う。
「ありがとうございます」
僕は急遽イベリアの村に行くことになった。一旦宿屋に戻ってレオに事情を説明した。フェニも付いてくると言うのでフェニと一緒にイベリアの村に行く事にした。
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