第342話 魔石国家ケルト王国編 パート12
僕は女の子とフェニをアバオシャに乗せてイベリアの村に向かった。イベリアの村に着くまでにいろいろ女の子から村のことを教えてもらった。
女の子の名前はポーラという。そして呪いをかけられた母親の名前はアネモネである。アネモネはケルト王国の国民でなく、キュテラ教国から女神教の布教活動のために2年前にイベリアの村に移住したとのことだった。
アネモネは、特にトラブルもなく布教活動をおこなっていた。しかし、一年前に急に村人たちの体調が悪くなり、毒でも飲んだかのようにもがき苦しんでいた。でも、幸いなことに、村人が体調を壊した頃に、ガリアの町からきた商人が魔石具屋を開いて、治癒の魔石具を販売していたので、村人達の体調は回復していった。
しかし、体調が良くなっても、すぐに体調を壊してしまい、魔石具屋の治癒の魔石具なしでは生活できないようになってしまった。もちろんポーラもアネモネも治癒の魔石具なしでは生活をおくれなくなっていた。アネモネは、村に何かが起こっているのではないかと、女神に祈りを捧げて、村に起こった流行病を治めてくれるように祈り続けた。
すると、神様からアネモネにある啓示が示された。『井戸に毒を発生する魔石具があります。それが村人を苦しめている原因です』と。
アネモネはすぐに村長にそのことを告げたが、『そんなことはありえない、他所者が嘘を吹聴するな!』と激しく罵られたらしい。そこで、アネモネは、キュテラ教国に相談すると言って村を出る準備をしている時に、急に意識を無くして、そのまま眠りに着いて起きなくなったとのことだった。
ポーラは、母親が死んだと思って村長に報告したら、『お前の母親は、嘘をついたから神から眠りの呪いをかけられたのだ!」と言われたらしい。ポーラは村長の話を信じて、母親の呪いを解除する方法を近所の人に聞き回っていると、魔石具屋の主人が、『ガリアの町なら呪い解除の魔石具は売っているぞ」と言われたらしい。ポーラは母を慕う女神教の信者達の支援を受けて、魔石具を購入できるお金を持って、魔石具屋の主人の案内でガリアの町に来たのだが、紹介料、馬車代、入場料などといいががりをつけられて、有り金を全て奪われたらしいとのことだった。
「お金を取り戻しましょう」
フェニがプンプンに怒っている。
「確かにひどい話ですね。お金はもちろん取り戻します。でも、まずはアネモネさんの呪いを解いてあげましょう」
僕は魔法を使って呪いを解くこともできるが、さっきたくさんの魔石具をもらったのでそれを使うつもりである。
「ありがとうございます。私があの男を信じたのがいけなかったのです・・・」
ポーラーはフェニの背中をぎゅっと抱きしめがら言った。ちなみにポーラの年齢は12歳なので、僕よりも2つ上のお姉さんである。栗色の長い綺麗な髪で、茶色い大きな瞳をしたお人形さんのように可愛いらしい女の子だ。でも魔石具屋の店主に騙されて、瞳は赤く腫れ上がっていて、体をブルブル震わせながら不安でどうしもないみたいである。
「そいつはリプロ様が懲らしめてくれますぅ。だから、もう心配しなくてもいいのですぅ」
「でも、本当にお母さんを治せるのでしょうか・・・」
ポーラが不安なのは仕方ない。いきなり、現れた男の子に全てを信じて託すなんてできるわけがない。しかし、ポーラには、嘘でも僕に助けを求めるしか方法はないのである。
「これを見て」
「僕は収納ボックスから、さっきもらったたくさんの魔石具を見せてあげた」
「すごいですわ!」
さっきまで不安の瞳で僕を見ていたが、そんな不安もたくさんの魔石具を見た途端吹き飛んでいった。
「これでアネモネさんの呪いは解除されると思うよ。そして、ついでに井戸にある毒の魔石具の件も解決してあげるよ」
「えっ・・・お母さんの話は本当だったのですか?」
「たぶん本当だと思うよ。ポーラさんの話を聞いて全ての謎は解けたよ」
「どういうことですか?」
ポーラはキョトンとしている。もちろんフェニもだ。
「アネモネさんの指摘通り井戸の中に毒を発生する魔石具があるはずだよ。そして、それを置いたのは村長か魔石具屋の店主だよ」
「なぜ、そんな悪いことをするのですか?」
「お金儲けのためだよ。井戸の水を飲んだ村人は体調を壊したら、それを治療するために状態異常の魔石具が必要になるでしょ」
「はい。だから、魔石具屋の店主にはみんな感謝をしています。あの魔石具屋がなかったら大変な事になっていました」
「でも、魔石具屋の店主が来てから、みんな体調を壊したんだよね」
「そうです」
「あまりにもタイミングが良すぎるのだよ。それに、アネモネさんが井戸に毒を発生する魔石具をあることを告げると、調べもしないでアネモネさんを責め叩いて、しかも、キュテラ教国へ訴えに行く前日に呪いをかけられるなんて、絶対に村長と魔石具屋の店主が怪しいよ」
「さすが、リプロ様。なんでもお見通しなんですね!」
フェニが自慢げに言った。
「確かにリプロ様のいう通りかもしれません。しかし、リプロ様の話を誰も信じてくれないかもしれません。村長は私の母親を嘘つきだと村のみんなに言い回っています」
「大丈夫だよ。僕に任せておいてよ」
「リプロ様に任せておけば問題なしですぅ」
フェニが嬉しそうに言った。
「わかりました。私には何もできませんので、リプロ様に全てを託します」
3人で話をしているうちにイベリアの町に着いたのであった。
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