第16話 森での戦闘
ベアーウルフは討伐難易度Eになる。Eということは、Eランク冒険者なら倒せると言うことである。でも10体同時となると難易度はさらに上がる。
しかし、Dランクパーティーなら倒せない数ではないが、かなり苦戦しそうである。
「私が支援魔法をしますから大丈夫です」
「お前の言葉を信じるぜ。支援魔法とやらをかけてくれ」
「ホントに大丈夫なの」
ポロンさんは心配している。
「肉体よ強化せよ、ストレングスニング」
と呪文を唱えた。するとトールさんの体が光り輝いた。
「これはスゲェー。力が溢れる出るのがわかるぜ。これなら、俺1人でも倒せるぜ」
「無理をしたらダメですわ。ルシスちゃん私たちにも、その魔法お願いするわ」
「はい、わかりました。ストレングスニング」
2人の体も光り輝いた。
「これはすごいわ。これならホントに勝てる気がするわ」
ベアーウルフは、先程からこちらをずっとにらみつけている。警戒してるのか近寄ろうとはしてこない。
「そっちが来ないのなら、こちらから行くぜ」
トールさんが先に動いた。素早くベアーウルフに近づくと、大きく飛び上がり、ベアーウルフの群れに向けて激しくハンマーを叩きつける。
ベアーウルフも反撃するように、鋭い5本の爪で、ハンマーを砕こうと襲いかかる。
「ベチャ」 「ベチャ」 「ベチャ」
ベアーウルフは、激しく抵抗するが、トールさんの秘儀もぐら叩き?が炸裂し、次々と潰されていく。
「トール危ない」
トールさんが次々とベアーウルフをミンチにしていると、1匹がトールさんの背後にまわり、鋭い爪を振りかざす。
「バサ」
トールさんを襲い掛かるベアーウルフが、真っ二つになる。
「無理しないでと言ったでしょ」
ロキさんは、一振りでベアーウルフを切り裂いた。
ベアーウルフ10体は、5分もかからず討伐できた。
「楽勝だったな。ルシスの魔法はすごいぜ」
「ほんと、すごい魔法だわ」
「ほぼトール1人で、倒してしまいましたね。私は何もしてないわ」
ポロンさんは、もうしわけなさそうだ。
「俺がすぐに突っ込んだからな。ポロンの出番はなかったな」
このパーティーの戦闘スタイルは、トールさんが前衛で闘い、それをロキさんがフォローする。そしてポロンさんが、後方から弓で支援する形らしい。
今回は後方支援が、全く必要なかったわけである。
「魔石を回収しましょう。森の中は危険だから、早く片付けましょう」
私たちは、魔石を回収することにした。魔石以外にトールさんが、グチャグチャに潰したベアーウルフから、ロキさんが使えそうな皮を剥いでる。
トールさんの攻撃は、豪快なので素材回収には向いていない。命をかけた戦いなので、ゲームのようにはいかないのである。
「何かきます。ベアーウルフより、かなり大きな魔力です」
私はみんなに伝えた。
「まじかぁーー。」
「何か近づいてますわ」
「たしかにすごい魔力を感じるわ。」
「みんな気をつけてね。」
ロキさんが、そういうと、3人はいつもの戦闘体制に入る。
草原の向こうから、大きな魔獣が近づいてきた。その魔獣は、ライオンの頭と前足をもち、胴体と後ろ足は山羊で、尻尾は毒蛇でできている3mくらいの大きさの魔獣である。
「あれは、キマイラじゃないか?」
「こんなところに、キマイラがいるなんて・・・」
「ベアーウルフが、町に現れたのは、キマイラから逃げる為だったのね」
「そういうことか。キマイラを倒さないと、またベアーウルフが町に近づくかもしれないな」
「そうですね。大変だけど、このキマイラを倒さないといけないわ」
「ルシスの支援魔法の効果は、まだ続いてるから、一気に攻めるぞロキ」
「わかったわ」
キマイラは、討伐難度C3である。Dランク冒険者には、絶望的な強さを誇る魔獣である。しかし私の支援魔法の効果中なら倒せる可能性は高い。
トールさんは、キマイラより先に攻撃を仕掛けた。
トールさんは、素早くキマイラに近づき、大きく飛び上がりハンマーを振り下ろす。
「おりゃーー」
キマイラは魔力を防御に注ぎ、体を強化する。
「ズドン」
トールさんのハンマーの威力で、地面がくぼむがキマイラ本体は、さほどダメージを受けていない。
「こいつめちゃ硬いわー」
キマイラのライオンの口から、炎を吐き出す。
トールさんはハンマーを振りかざし、その風圧で炎をかき消す。
「あちーー」
すかさず、ロキさんが剣でキマイラを斬りつける。
キマイラは、毒蛇の尻尾でロキさんの剣を振り払い、なおかつ毒蛇の尻尾が、ロキさんを襲う。
ロキさんは、後方に下がり、毒蛇の攻撃を交わす。
その隙に、ポロンさんが炎の弓矢を頭部に目掛けて撃ち放す。
キマイラは、ロキさんとの攻防に気を取られ、ポロンさんの炎の矢が、キマイラの頭部に刺さる。
「ぐわっ」
怒涛の3人攻撃に、キマイラはすこし後退りする。
ポロンさんは、さらにの炎の矢を連射する。キマイラは毒蛇の尻尾で、うまいこと矢を振り払う。
その隙に、キマイラの頭上に飛び上がったトールさんが、キマイラの頭に向かってハンマーを振り下ろす。
キマイラは素早い動きで、ハンマー避ける。
避けた先ロキさんが待ち受けていて、剣を振りかざす。強固な山羊の胴体に剣は跳ね返される。
「ロキ、ポロン、胴体は強化してるから無理そうだ。頭部を狙おうぜ。」
「わかったわ」
ポロンさんは、隙を見つけては炎の矢を放つ。しかしキマイラは毒蛇の尻尾でうまくかわしていく。
キマイラは口から炎を放つ。
トールさん、ロキさんは炎を避けてキマイラから距離をとる。
キマイラの目が光だし、こちらをジッと睨み付けている。
「みなさん大きいのがきます。私がガードを張りますので、こちらへ来てください」
キマイラが大きく息を吸い込む。キマイラの体が先ほどより大きくなる。そして口から大きな炎を吐き出した。
さきほどの炎より強大な炎が、私たちに向かって放たれた。
「ライトシールド」
私たちのまわりを光の円が包む。光のシールドは、キマイラの炎を弾き返す、弾かれた炎はキマイラに当たりキマイラの体を焼き付ける。
「ぐぎゃー」
「トールさん今です」
「まかせろ」
トールさんは、大きく飛び上がり、キマイラの頭部を目掛けてハンマーを叩きつける。
「グチャ」
キマイラは倒れ込む。
すかさず、ポロンさんは、炎の矢を頭部に目掛けて連射する。
キマイラの頭部は燃え上がり、キマイラは悶え苦しむ。
ロキさんが、魔力を剣に注ぎ込む。剣は灼熱の炎をまとう。そして、灼熱の剣を振りかざしてキマイラの頭部を切り落とす。
「やったな」
「やりました」
「やりましたよね」
「ものたりないですね」
私がそういうと、みんなさんは笑いながら、倒したキマイラの魔石を拾いにいった。
「キマイラは、レア魔獣だから素材はかなり高く売れそうだな。これで町に帰ったらたらふく食べれるぜ」
私たちは、魔石とキマイラの素材を回収して町にもどることした。
「まさか、キマイラが出てくると思わなかったわ。でも、ルシスちゃんのおかげで、かなり早く討伐出来てよかったわ」
「みなさんのお役にたてて嬉しいです」
私たちは、思ったより早く町に戻ることができた。
しかし、無事討伐完了したはずの私たちは、町に入ることが、できなくなってしまったのである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます