第231話 ホロスコープ星国 パート8


 

 ★フェニ視点に戻ります。



 「あの羊さん可愛かったですね!」



 私は羊の魔獣の見た目の可愛さにキュンキュンしていた。



 「そうですね。でも、いたずら好きな羊さんだったので残念です」



 フレキは悲しそうに言った。フレキは魔獣も人間も仲良く暮らしたいのである。



 「フェニちゃん、あちらの方で何か争いをしているみたいです。仲裁に行きましょう」



 フレキはそう言うと、私を背に乗せて颯爽と走り出した。


 現場に到着すると、魔獣と人間が争っているみたいであった。そして、魔獣の炎の攻撃で、人間2人にトドメを刺そうとしていることろであった。



 フレキは『ホワイトブレス』を放って人間を守った。



 「誰だ!邪魔をするな」



 グリフォンが怒鳴る。



 「グリフォン様、あの姿はウルフキング・・・様では」



 ライフォンが苦しそうに言った。ライフォンは毒のダメージでよちよち歩きである。



 「あのー・・・私に何か御用ですか?」



 グリフォンは急に低姿勢になり様子を伺った。



 「争いごとは良くありません。すぐにおやめください」



 フレキは仲裁に入る。



 「しかし、あの人間は魔獣に変身して私を騙したのです。私は何も悪くありません」



 グリフォンはフレキを刺激しないように丁寧に説明する。



 「そうなのですか。それは、困った人たちですね。人間にもきちんと話を聞いてみます」



 フレキは人間に近寄る。



 『ホワイトブレスヒーリング』



 フレキは白い風を放った。白い風はそよ風のように心地よく傷ついた体を癒すのであった。ライフォンのタックルをくらって倒れ込んでいたカプリコーンとスコーピオが元気な体に戻った。



 「俺も治して下さい」



 スコーピオの毒をくらってよちよちのライフォンが言った。


 フレキは、ライフォンにも『ホワイトブレスヒーリング』を使った。



 「お前たちは何者だ」



 カプリコーンはフレキの姿を見ると威嚇するように怒鳴り出した。



 「私は怪しい者ではありません。争いを止めに来たのです」



 フレキは人間の姿に変身して敵意のないことを示す。



 「お前も獣人に変身できるのか」



 カプリコーンは驚きながら言った。



 「そうですね。あなたも変身できるのですか?」




 フレキは問いかけた。




 「そうだ。俺は星の使徒より力を授かった『ゾディアックサイン』の能力者だ。お前の能力者なのか」


 「私はそのような者ではありません。私はただの魔獣です」


 「お前は人間じゃなく魔獣なのか・・・魔獣に助けられるとは屈辱だ!」



 カプリコーンは、地面を叩きつけて悔しそうに言った。



 「魔獣も人間も同じ生き物です。あなたの考えは間違っっています」



 フレキは悲しい目をしていた。



 「グリフォン様、今のうちに逃げた方が良いと思います。先程のウルフキングの『ホワイトブレス』と『ホワイトブレスヒーリング』の能力は、かなり強大だと思います。ブラックウルフの言っていたことはやはり本当だったのです。ウルフキングに関わるのはとても危険です」



 ライフォンが急かすようにグリフォンに言った。



 「そうだな」



 グリフォンは納得した。




 フレキとカプリコーンがいい争っている間に、グリフォンとライフォンがこっそりと逃げ出そうとしていた。



 「魔獣が偉そうに俺に意見をするな!俺は星の使徒になった選ばれし人間なのだ」


 「カプリコーン軍団長、この魔獣は命の恩人です。そのような態度はおやめください」



 スコーピオがカプリコーンを止めに入る。



 「しかし・・・」



 カプリコーンは納得しない。



 「カプリコーン軍団長、残念ですがあの者は私たちよりも強いと思います」



 スコーピオは小声て言った。



 「どういうことだ」



 カプリコーンも小声で言った。



 「グリフォンを見てください。あの魔獣にビビって逃げ出そうとしています」



 スコーピオは、グリフォンとライフォンがコッソリと逃げ出そうとする姿が見えていた。



 「本当だ!!!」



 カプリコーンは驚いた。カプリコーンは、自分たちを追い詰めたグリフォンが、情けない顔をしながら逃げていく姿を見て驚愕した



 「どうしても、争いをやめないのですね」



 フレキは静かに言った。



 「ちょっと待て、俺は星の使徒に選ばれし人間だ。そんな高尚な人間が弱いものいじめなどしない。今回は俺の強さに免じてこの場を去ることにしよう」



 カプリコーンは精一杯の意地を張る。



 「あなた方は、どうしますか」



 フレキは、さっとジャンプして、グリフォンたちの前に立ちはだかった。



 「ギョエーーー」


 「フギャーーー」



 コッソリと逃げていたグリフォンとライフォンが悲鳴を上げた。



 「僕たちも同じです。もう争いはしません」



 グリフォンを大声言った。



 「フレキさん、あの人間も魔獣も嘘をついているわ」



 私は人間も魔獣も信用できないと思った。



 「そうかもしれませんね。しかし、今回は信じてあげましょう」



 フレキはため息混じりに言う。



 「ありがとうございます」



 グリフォンは頭を下げてお礼を言って颯爽と逃げていった。



 「助けていただいてありがとうございます」



 スコーピオも頭を下げてお礼を言った。



 「あなた方は何しに、ここに来たのですか」



 フレキはスコーピオに問いかける。



 「北の森の調査です」


 「北の森・・・ウルフの森の事ですね。ウルフの森では、魔獣たちがひっそりと平和に暮らしています。なので調査など必要ありません」


 「しかし、あの森にはキマイラが侵入した聞いています」



 スコーピオが探るように言う。



 「問題ありません。キマイラさんは大人しく過ごすと約束してくれました」


 「そうなのですか。それなら調査をする必要はありませんね」



 スコーピオは、フレキが怖いので北の森へ行くことは諦めることにした。



 「スコーピオ、引き上げるぞ」



 カプリコーンも状況を察して帰ることにした。



 「わかりました。では、私たちは町に戻ります。あなた方はどこへ向かわれるのですか?」



 スコーピオがフレキに尋ねる。



 「近くの町へ言って、観光でもする予定です」



 私がフレキの代わりに答えた。



 「そうですか。それなら西の方へいくとハダルの町があります。そこへ向かわれた方がいいでしょう」


 「ありがとうございます」



 私たちはハダルの町へ向かうことにした。




 「スコーピオ、なぜハダルの町を進めたのだ」



 カプリコーンが不思議な顔をして尋ねる。



 「あの町は、ホロスコープ星国に属さない独立した町です。そして、魔獣の森に囲まれた危険な町でもあります。何度か調査団をハダルの町へ向かわせましたが、森の魔獣に邪魔されて、ハダルの町へ辿り着くことはできませんでした。なので、あの怪しい人間魔獣を送り込めば面白いと思ったのです」


 「そう言うことか。それはとても面白いな」



 カプリコーンは、嬉しそうに言った。



 「カプリコーン様、早く王都へ戻りましょう。そして、この事を早くジェミニ王へ報告しましょう」


 「そうだな。それでは、帰りも歌を歌って帰るとするか」



 スコーピオは、帰りも歌ハラを強要されるのであった。

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