第265話 ホロスコープ星国 パート42


 私達は、アケルナルの町へ向かうために関所に向かった。関所の近くに行くと、サジタリウスとピスケスがタラウスを監視していた。



 「タラウスに不審な動きはないか?」



 レオがサジタリウスに確認する。



 「何も問題はない。タラウスは、俺たちのこと報告はしないだろう」



 サジタリウスが答える。



 「俺たちは、今からアケルナルの町へ向かう。お前達も一緒に来い」


 「タラウスの監視はいいのか?」


 「俺たちは、フェニちゃんを国王にすることにした」



 レオは、今後の行動について、サジタリウス達に説明をした。



 「それは面白そうだな」



 サジタリウスは、嬉しそうに言った。



 「ジェミニ王は、俺たちを馬鹿にするから嫌いだ」



 ピスケスは本音を言う。



 「もちろん協力をしてくれるな」



 レオは静かに言った。



 「もちろんだ!」



 サジタリウスとピスケスは声を合わせて言った。



 「タラウスはどうする?」



 キャンサーが言う。



 「あいつは、どうでもいいだろう。しかし、関所から動かないように釘をさしておくぜ」



 レオは、念のためにタラウスを封じ込めておくことにした。



 「関所を通してださい」



 私は、先陣を切って関所に来ていた。1番偉い人が、後方に居ては士気が下がると聞いたことがった。なので、国王になる私が、先頭で行動するのが1番いいと思ったのであった。



 「どうぞ」



 兵士はもう、理解している。なので私を止めることはしない。そして、タラウスも何も言ってこない。



 私に少し遅れて、レオ達が関所にやってきた。



 「フェニちゃん、先に行かないでください」



 キャンサーが、額に汗を流しながら言った。


 キャンサーは、サジタリウス達と話をしている間に、いつの間にかいなくなった私を心配して、急いで追いかけてきたのであった。




 「私はみんなのお手本になるのですぅ〜」



 私は元気よく言った。



 「フェニちゃん、単独行動は危険です。みんなで一緒に行動しましょう」



 キャンサーは、私の奔放な行動を心配しているのであった。



 「はーーい」



 私は、キャンサーが何を言っているかよくわからなかったが、元気よく返事をしたのであった。



 「キャンサー、俺はタラウスにところへ行ってくる。お前は、フェニちゃんの側を離れるな」



 レオも私の奔放な行動を心配して、キャンサーを監視役に任命したのであった。


 レオは、タラウスの元へ向かった。




 「何しに来た。俺はお前に言われて通り、何も報告はしていないぞ」



 タラウスはオドオドしながら言う。



 「お前は、この国が好きか?」


 「好きに決まっている」



 タラウスは、即答した。



 「なぜだ?」


 「『星の使徒』として生まれてきたら、この国は最高だろ?『星の使徒』は、富も権力も名声も全て手に入れることができる。こんな素晴らしいことはないだろう」


 

 タラウスは誇らしげに言った。



 「確かに、その通りだ。しかし、それは『星の使徒』だけの特権だ。それ以外の者には、この国は苦痛でしかないのだ」



 レオは、国民達の思いをきちんと理解はしている。



 「それの何が悪いのだ!力のあるものが、力の弱いものを支配するのは、どの国も同じではないか!」



 タラウスは当然のように言った。



 「それは、俺も同じ考えだ。だから、この国はジェミニ王からフェニ王に変わる時がきたのだ!」



 レオは、大声で宣言したのであった。



 「フェニ王・・・あの女の子のことか!!!」



 タラウスは、あまりの衝撃で腰を抜かしてしまった。



 「そうだ。お前はフェニ王の強さを知っているか?」


 「知っている。あの子は俺の『フルチャージ』の能力を、いとも簡単に防ぐことができたのだ」



 タラウスは、腰を抜かした状態で、悔しそうに言った。



 「知っているのか・・・それなら話が早い。お前の考える力が強い者が、弱い者を支配するのが正しいなら、お前はフェニ王に忠誠を尽くすべきではないのか!」



 タラウスは反論することができない。



 「フェニ王からの命令だ。お前は、この関所を離れるな。そして、何も報告はするな」



 レオは、タラウスを睨みつけて言った。



 「わかった」



 タラウスは小さくつぶやいた。


 タラウスの絶望した姿を見て、レオは、裏切ることはないと確信して、私のところへ戻るのであった。



 私たちは関所を抜けて、アダラの村へ向かった。




 「お待ちしておりました」



 アダラの村に着くと、村長のマテオが出迎えてくれた。



 「パン屋さんに行ってきます」



 私は、マテオをガン無視して、ポルックスにもらったパン屋さんの地図を見て、パン屋さんに向かった。



 「私もついて行きます」



 私の監視係のキャンサーが私を追いかけていく。



 「俺が、フェニ王の代わりに話をするぜ」



 レオがマテオに言った。



 「わかりました。レジスタンスのアジトに案内します。フェニ様は用事が終わり次第別の者が、アジトへ案内するように手配しておきます」



 マテオは、誠意を込めてレオに対応している。それは、私にレジスタンスの命運をかけているからであった。



 

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