第266話 ホロスコープ星国 パート43
私は、すぐにパン屋さんを見つけて、美味しそうなパンを買い占めた。私には焼き立てホヤホヤのまま収納できる収納ボックスがある。そして、ポルックスからもらった多額の報酬もあったので、躊躇うことなく買い占めができたのであった。
このパン屋さんは、お店の中でも食べることができるので、リンゴジュースを頼んで、ホクホク顔でパンを食べているのであった。
「幸せですぅ〜』
私が呑気にパンを食べている頃、レオはレジスタンスのリーダーワラキアと会議をしていた。
レオは、ワラキアに私を王にして新しい国を作る計画を説明した。
「あの女の子を王にするのですか?」
ワラキアは驚きを隠せない。
「フェニちゃん以外に誰が王にふさわしいのだ!」
レオは、私が王になることに驚いているワラキアに対して、怒りをあらわにした。
「私は、ポルックス様が最適だと考えていました」
ワラキアは、レオに圧倒されながらも、自分の意見を述べる。
「そのポルックスが、フェニちゃんを王にするのに賛成しているのだ。だから異論はないだろう」
「しかし、国民達は納得するだろうか・・・」
ワラキアの意見はもっともである。10歳の女の子が新しい王になると言っても、国民達が動揺するのは目に見えてわかりきっている。
「ポルックスは『星の使徒』が王位につくのは好ましくないと言っていた。今のホロスコープ星国は、『星の使徒』によって支配されている。だから、『星の使徒』ではない誰かが、王位に着くのが妥当だと考えているようだ。そして、『星の使徒』よりも強く、野心もなく、平和を愛する者が望ましいと言っていた。それに該当するのはフェニちゃんしかいないのだ」
確かに私は、野心もなく、平和を愛する者である。しかし、国を統治できる知識はないのである。
「そうなのですか。しかし、子供に国を統治することができるのでしょうか?」
ワラキアは、子供に国を統治を任せるのは不安である。
「それなら、大人なら平和な統治をできるのか?ジェミニは平和な統治を行えているのか?」
レオは、激しく机を叩きながら、ワラキアに現状を見ろと言いたいのであった。
「それは・・・・」
ワラキアは、何も言い返すことはできない。
「俺は、フェニ王の考えを実現する為に、全力を尽くすつもりだ。平和を愛するフェニ王の元で、みんなが力を合わせれば、子供でも国を統治できるはずだ」
レオは、会議室が破壊するほどの大きな声をあげて、ワラキアを説得した。
「私が間違っていました。私も協力させてください」
ワラキアは、レオの熱い気持ちに、感銘を受けたのであった。
「理解してくれてありがとう。フェニ王の実現の為に、まずは、ヴァルゴの救出が必要なのだな」
「そうです。ヴァルゴ様の力が必要です。王都に攻め入る時に、できるだけ無駄な争いはしたくありません。ヴァルゴ様の力で、無理やり戦いに巻き込まれる兵士達に、戦いを辞めさせたいのです」
「確かに、無駄な血を流すのはもったいないな。でもどうやって、ヴァルゴを救出するのだ。噂では、ヴァルゴはアケルナルの町の監獄で、有意義な生活を送っていると聞いているぞ」
「そうみたいです。私たちの調べたところ、ヴァルゴ様は、アケルナルの町を事実上支配しているみたいです。なので、救出と言う言葉は妥当ではありません。ヴァルゴ様を味方につけると言った方が良いでしょう」
★アケルナルの町では・・・
アケルナルの町は、大きな塀で囲まれた町である。囚人達は、朝早くから、晩の遅くまで、近くの炭鉱で採掘作業をして、採掘作業が終えると、アケルナルの町へ戻って、ボロボロの小屋で寝るのであった。
アケルナルの町の中心には大きな豪邸があり、その豪邸のを囲むように、綺麗な家や、さまざまな店が立ち並んでいる。そして、綺麗で華やかな町を囲むように塀が建てられていて、その塀の向こうに、囚人が住む地域があるのであった。
綺麗な家には、一部の選ばれし兵士が住んでいて、一般の兵士は、囚人と同じボロボロの小屋に住んでいるのであった。
そして、大きな屋敷に住んでいるのがヴァルゴであった。
ヴァルゴの『ゾディアックサイン』の能力は『魅惑』である。ヴァルゴは、とても美しい男性であり、男女問わず、ヴァルゴの姿を見ると、ヴァルゴのあまりの美しさに、心を奪われてしまうのである。しかし、いくら心を奪われて、普通なら、ヴァルゴに言いなりにはならないが、ヴァルゴには、『魅惑』の能力がある。『魅惑』の能力は、心の奥にある感情を引き出す効果があるので、ヴァルゴの美しさに心を奪われた者は、ヴァルゴに逆らうことなどできないのであった。
「ヴァルゴ様、今日のお食事をお持ちしてました」
ヴァルゴに、メイドのように食事を運んでいるのが、『星の使徒』であるアクエリアスである。
アクエリアスは、ジェミニからアケルナルの町の監獄長に任命されている。なのでアケルナルの町では1番偉い立場にあるのであった。しかし、ヴァルゴの『魅惑』によって魅了されているので、ヴァルゴのメイドとして、ヴァルゴの世話をしているのであった。
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