第34話 キューカンバの町パート1

  


 私たちは宿屋に戻った。宿屋に戻る前に、伯爵様よりオークパレードの討伐報酬をもらい、また、ハイオーク、オークスターの魔石と装備品もオリビアさんが、きちんと回収してくれていて、それも現金化してくれていたので、かなりの収入を得た。伯爵夫人が、ギルマスなのできちんと用意してくれていたみたいだ。


 

 「これで俺たちも、Cランクに上がれるかもしれないな」


 「そうだね。でも、王都で簡単にランクを上げてもらえるかしら?」



 ロキさんは、少し不安そうだ。



 「誰か難くせつけて妨害されるかもしれないが、これは絶好のチャンスだ。逃すわけにいかないぜ」


 「そうね。絶対にCランクに上がりたいわ」



 Cランクになるのはロキさん達の悲願である。



 「それで、これからどうする?王都を目指すのは2週間先になる。休養するには長い気もするぜ」


 「それでしたら、キューカンバの港町に行きませんか?あの町のお魚は新鮮で美味しいし、またブドウの産地で有名なのでブドウジュースが飲みたいわ」


 「そうしようぜ、たしか、あの町のブドウ酒もかなりの絶品だったはず」


 「それで決まりだね。明日にでも出発しましょ」



 明日からキューカンバの港町に行く事なった。今日はこの後は、予定はないので各自のんびり過ごす事にした。私は、次はお酒を作ろうと思っているので、作り方などを調べる事にした。


 翌朝、私たちは、キューカンバの港町へと向かった。キューカンバの港町は、一旦バードクの町へ戻り、そこから西へひたすら進むと着くらしい。


 キューカンバの港町へ行く道中は特に大きなトラブルもなく、キューカンバの港町に無事に着く事ができた。



 「お、やっと着いたな」


 「そうですね。私は初めて来るのでどんな町なのか楽しみです」


 「普段は肉ばかり食べる俺だが、この町では、魚が新鮮だから魚料理を食べることにしているぜ。これがまたブドウ酒によく合うんだぜ」



 トールさんが、嬉しそうに言う。魚料理とブドウ酒をかなり楽しみにしているのだろう。

 


 「この町では、焼き魚だけでなく、生で食べるカルパッチョという料理は最高ですわ。それにブドウジュースも濃厚で、一度飲んだら止まらなくなるのですのよ」



 張り合うように、ポロンさんが、ブドウジュースを勧めてくる。私は、どんな美味しい料理が食べられるか楽しみになってきた。



  

  私たちは、門兵に冒険者証を見せ町へ入ろうとすると、門兵が声をかけてきた。


 「キューカンバの港町へ、ようこそ・・・と歓迎したいところだが、今はこの町は、大変なことになっているぜ」


 「どういうことですか?」


 「港にクラーケンがあらわれたんだ。だから、漁師は海に出ることが出来ないんだ」



 クラーケンが港にあらわれたら、海に出ることは危険だ。クラーケンとは全長30mはある大きなイカの魔獣と言われ、クラーケンが動けば大きな津波がおこり、船は沈没すると言われている。クラーケンがあらわれると、その場所に1か月くらい滞在するらしい。


 クラーケンは討伐ランク特Sである。討伐は不可能なので、クラーケンがいなくなるのを待つしかないのである。



 「クラーケンかぁー。せっかく来たのについてないぜ。魚料理は諦めるか」


 「・・・・悲しですわ。でも、ブドウジュースがまだあるわ」


 「俺も、ブドウ酒が飲めるなら問題なしだ」

 

 

 2人は、魚料理は諦めたが、美味しい飲み物を期待して、町へ入るとすぐに飲食街に向かったのであった。


  

 「ものすごい勢いで、行っちゃいましたね」


 「ああ、そうだね。門兵の話しを最後まで聞かずにね」


 「ロキさんはどうしますか?」


 「とりあえず、2人のあとを追いかけよう」



 私たちは、急いで2人のあとを追いかけた。そして、追いついた先では、2人が倒れ込んでいるのを発見した。



 「・・・・」


 「・・・・」


 「トールお姉ちゃん、ポロンお姉ちゃん、大丈夫ですか?」


 「もう・・・無理ですわ」


 「絶望だぁー」


 「しっかりしてください。こんなところで、倒れ込んでいたら迷惑ですよ」


 「立ち上がる気力が出ませんわ」


 「俺もだぜ・・」



 実はあの時、門兵さんの話しは続きがあった。



 「しかし、クラーケンより、凄い少女が町にあらわれたんだ。見た目は、16歳くらいの白い長い髪を左右に結んだ小柄な女の子なんだが、その子が、底なしに飲んで食べるんだ。その子のせいで、町の飲食店のブドウ酒、ブドウジュース品切れ状態なんだよ。この町の名産品が品薄になり、観光客からのクレームに追われて大変なんだよ」



 2人が倒れいる理由はそれである。どのお店も、ブドウ酒・ブドウジュースが売り切れと、貼り紙がされていたのである。



 「トールお姉ちゃん、ポロンお姉ちゃん、しっかりしてください。まだ諦めてはいけません。まだ、残っているかもしれませんよ。みんなで探しましょう」



 「そうだな。諦めない限り希望は消えないよな」


 「そうですわ。努力を重ねることでしか到達できない領域があるはずですわ」



  2人の闘志に火がついた。私はとてもくだらないと思いながらも、お店探しの協力をした。4人でこの町の至る所の、飲食店を探しまわった。4人の努力のかいもあり、張り出しのないお店を見つけることができた。



 「あのお店、張り出しはしていませんわ」


 「おーー、やったぜ。急げー」


  

 2人は急いで、お店に向かった。それと同時に、可愛らしい白い髪のツインテールの女の子が、お店から出てきた・・・と同時にブドウ酒・ブドウジュース売り切れの張り紙が貼られたのであった。


 2人は店に前で、倒れ込むのであった。



 「あれ、あの女の子は・・・・」



 私はあの女の子に見覚えがある・・・・

 

 

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