第330話 ホロスコープ星国 ルシス編 パート42


 「私は『ホロスコープ星国』の国王代理のポルックスです。ヴァンピーから聞いたのですが、ルシス様はかなりの高度な魔石具の技術を持っていて、その技術を駆使してこのシリウス城を改装していただけるのですね」


 「はい。ヴァンピーさんとの約束は果たしたいと思っています」


 「それは助かります。かなりお安い値段で改装していただけると聞いてとてもビックリしています。実は『ホロスコープ星国』は以前の国王が散財しているので財政事情が厳しいのでとても助かります」


 「ルシスさんは、美味しい料理のレシピもたくさん持っています。それも伝授していただけるのです」



 ヴァンピーは嬉しそうに言った。



 「それは楽しみです」


 「フレキさん、せっかく来ていただいのですが、フェニちゃんなのですが・・・急遽、魔法の研修を受けることになって、ケルト王国へ行ったそうです。近況を把握してなくて申し訳ありません」


 「それは仕方がないことです。また次の機会に会いに来ようと思います」


 「本当に申し訳ありません」



 ヴァンピーは深々と頭を下げた。



 「気にしないでください」



 フレキは優しく微笑んだ。



 「フレキさん、平和の森の件ですが、『ホロスコープ星国』も全面でバックアップしたいと思います。魔獣と共存するお考えはなかなか国民の理解を得るのは難しいと思いますが、我が国と同盟を結んで、平和の森に住む魔獣の討伐を全面的禁止したいと思います。それと争いを好まない魔獣もいることを伝えていきたいとも考えています」


 「ありがとうございます。魔獣にも争いを好まない平和的な魔獣もいるのですが、大半の魔獣は私の言葉には全く耳を傾けず、この世界の害悪をなす者が多いので、あなた方が魔獣を討伐することに何も口出しは致しません。争いをしないと宣言した平和を求める物だけが、平和の森で種族など関係なく平穏に暮らせる場所を作りたいと思っています」


 「争いを好むのは魔獣だけではありません。どの種族も欲望のままに他者を傷つけ、ある時には大きな戦争にさえなってしまいます。魔獣だけが悪という意識の改善も必要だと思いました」


 「ご理解いただきありがとうございました」


 「カプリコーンがいれば、魔獣とのやり取りもスムーズにできるのに・・・」



 ポロックスが、ボソッと呟いた。



 「カプリコーンとはどのような人物なのですか?」



 私はポルックスの呟きを聞き逃さなかった。私は少しでも力になれないかと確認した。


 ポルックスは、『ホロスコープ星国』で起きた出来事を詳しく説明した。



 「もしかして、南の森で出会った人たちですか?」



 私は南の森で出会った3人の悪人顔のことをポルックスに説明した。



 「そうです。カプリコーンはその3人のうちの1人です」


 「その人物なら私の仲間が拘束しています。私から連絡を取りましょうか?」


 「あの3人には今までのことを反省して自らの罪を償うと言って欲しかったのですが・・・」



 悔しそうにポルックス呟く。



 「人が変わることは難しい事です。人は、追い込まれて考えを改めないと命が奪われる状況になると多少は自分を変える努力をするかもしれません。私が今確認したところ、カプリコーンという人物は命を奪われるかもしれないと実感して、戦意を失っています。今なら、カプリコーンは素直にポルックスさんの言葉を聞き入れるかもしれません。しかし、その人の本質は変わる事はありませんので気をつけてください」


 「わかりました。もう一度だけチャンスを与えてあげたいので、カプリコーンだけでなく3人を『ホロスコープ星国』に戻すことはできますか?」


 

 ポルックスは3人をわざと脱獄させて、第2の人生を歩む機会を与えたが、はやりそんなにすぐには人は変わらないと実感した。『オリュンポス国』に拘束されていると知って、やはり自分で3人を処罰した上で、やり直しの機会を『ホロスコープ星国』で与えるべきだと思ったのであった。



 「わかりました。私の方から連絡をしておきます」


 「ありがとうございます」



 それからポルックスが色々と聞かれて、私たちの会談は終了した。


 フレキは正式に『ホロスコープ星国』と同盟を結び『平和の森王国』の樹立を宣言した。フレキは国の統治の仕方などを学ぶためにしばらく『ホロスコープ星国』に滞在することになる。


 私は、次の日早速シリウス城の改築に取り掛かった。ヴァンピーに発注を受けたのは、大浴場の建設、エレベータの設置、自動ドアの設置、防犯装置の設置である。


 大きなお城の改築なので、改築するのにかなり時間を要したが、二日後にはお城の改築は完成した。


 私はお城の改築と同時に料理のレシピも作っていた。冒険が忙しくて商売の事は考えていなかったが、ヴァンピーに色々とせがまれて私の商売魂に火がついたのである。レシピを作っておけば、このレシピをいろんなところで売ってお金を稼ぐことが出来る。『ラスパ』の財政難はずっと続いているので、ロキさんも喜んでくれるはずである。


 私はお城の改築とレシピを完了させてやっと『オリュンポス国』に戻ることができた。もちろんたくさんのお金を手に入れて。

 

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