第148話 妖精王パート18
「ルシスちゃん・・・どうしよう」
サラちゃんは泣きそうな顔をして私に助けを求めてきた。
「サラちゃん大丈夫よ。猛毒のコアはレアアイテムなのよ。猛毒のコアを食べると完全毒耐性を習得し、なおかつ猛毒のブレスを吐くことができるのよ」
「ルシスちゃん!私を騙したのね」
「サラちゃんはなんでも食べてしまうので少しビックリさせただけです。これからは慎重に行動してください。
「はい・・・」
サラちゃんは少し反省したみたいだが、猛毒のコアを食べても問題なかったので安心しているみたいであった。
「オロチを追いかけるぞ」
「了解よ」
トールさんとポロンさんは、オロチを追いかけて家の外に出た。
「トール、これは・・・・どういうことなの」
外で待機していたロキさんが驚いた表情で立ちすくんでいた。
「これが山田オロチの正体なのか・・・・」
「間違いないわ。本人が言っていたわこれが本来の姿だと・・・」
ロキさん達が目にしたのは体長20cmくらいの8つの頭をもつ蛇であった。
「ちっさくないか?」
「これが八岐大蛇なの・・・イメージしてたのと違うわ」
「八岐大蛇さんこれがあなたの姿なの」
「・・・・違う、本当はもっとデカイのだ。なぜだ?俺の魔力がほとんどなくなってるぞ!!!」
サラちゃんに何十回もヒュドラを倒されてたので、八岐大蛇の魔力はかなり消耗していた。なので、本来なら30mもある体長も、20cmになってしまったのであった。私の作戦勝ちである。
「ロキ、どうする」
「理由はわかりませんが、今がチャンスです。八岐大蛇を討伐しましょう」
「そうだな。オロチ、お前のせいで村の人は困っているのだ。おとなしく死んでもらうぜ」
「体は小さくなったが、俺の攻撃力は落ちていないはずだ。これでもくらえ」
八岐大蛇は8つ頭から炎を吐き出した。凄まじい炎がトールさんを襲う。
トールさんは大きく息を吸い込んで、から息を吹きかける。
八岐大蛇の炎は、ロウソクの炎のようにすぐに消えてしまった。
「なんか小動物をいじめているみたいでやる気が出ないわ」
「私もよ」
「でも、どうするの?」
「そうだ!小瓶に詰めて持って帰るか」
「名案ですわ。私もそれを言おうと思っていたのよ」
「でも、ちょうどいい小瓶なんてあるのかしら?」
「これを使ってください」
家の中からミコトさんが出てきた。
「この瓶は封印の瓶です。オロチは昔この瓶に封印されていました。その封印を私たちの村の祖先が解除してしまったのです。なので私たちの村はその責任を取らされて、年に一度、生贄を差し出さないといけなくなったのです」
「そういうことなのか」
「ロキお姉ちゃん、八岐大蛇は、どうなりましたか?」
私とサラちゃんがロキさん達と合流したのであった。
そして、お互いの状況を説明した。
「それで、八岐大蛇は小さくなったのね」
「そうみたいです」
「私の活躍のおかげですわ。1番頑張った私がヤミークラブを食べる権利がありますわ」
サラちゃんが自慢げに言う。
「ヤミークラブ調理工場に行けばたくさんヤミークラブを食べれるのではないか」
「なんですって!!!今すぐに行きましょう」
サラちゃんのテンションが上がる。
トールさんはミコトさんにヤミークラブ調理工場の場所を確認した。
「ヤミークラブ調理工場は山頂にあります。でも、早く逃げたほうがいいと思います」
「なぜですか」
「今日のヤミークラブの調理分は、全て虹蛇様が食べてしまいました。残っているのは、家にある歓迎会用の鍋の分だけです。なので、調理場に行く意味がないのです。そして、ヒュドラが討伐されて八岐大蛇が封印されたので、虹蛇様が動き出すと思いますので、早急に逃げることをオススメします。私も生贄のみんなを連れて逃げようと思います」
「虹蛇はどこにいるのだ?」
「ここにいます」
「ここってどこだ」
「私たちの足元です」
「どういうことだ」
「この出雲山が虹蛇です。私たちは虹蛇の上にいるのです」
クラちゃんが言っていた出雲山は蛇の楽園と言う意味は、出雲山自体が蛇という意味だったのかもしれない。
「これは、早く逃げたほうが良いみたいだぜ」
「そうですわ。すぐに逃げましょう」
「いえ、ヤミー様がこの部屋に居ます。私は救助しに行きます」
サラちゃんは家の中へ走っていった。
「ミコトさん、ヤミークラブはどこにあるのですか?」
私はミコトさんに確認した。
「2階の食卓に準備してあるわ」
「よし、俺がサラを連れ戻して来る」
そう言ってトールさんが家の中に入っていった。
「私もサラちゃんが心配ですわ」
そう言って、ポロンさんも家に入っていった。
「ルシスちゃん。あの3人は放っておきましょう。私たちはミコトさん達を連れて下山しましょう」
私とロキさんは、生贄として連れ去られた女性達を家から連れ出して、出雲山を下山した。
私たちが下山している頃、トールさん達はヤミークラブを探し回っていたのであった。
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