第56話 ドワーフの国へ
翌朝、私たちはブラカリの領主様の屋敷に招待された。そこには、ソールとマーニそれにディーバ様もいた。ちなみに、リアムが反逆の罪で捕まった為、ディーバ様が、ギルマスと領主の両方の仕事を兼任することになったのである。
「この度は、神守協会の侵攻を阻止するのに、ご協力いただいてありがとうございます」
「ブラカリの町が無事で何よりですわ」
「これで、神守教会もしばらくは、おとなしくするだろ」
私たちは、堅苦しい話しは面倒なので、用事があると言って、途中で退席することにした。
「やっと終わったな。次はドワーフの国だな」
「そうね。今回の報酬はかなりいい金額なので、お金にも当分は困らないわ」
「それなら、今から宴会でもしようぜ」
「そうね。トールにしては、最近は食べることより特訓を優先していたから、今日は宴会デーにしましょう」
「やったぜ、今日の俺はかなり飲むぜー」
「私は食べまくりますわ」
私たちは、久しぶりの休息を楽しむことにした。次の冒険はドワーフの国なので何が起こるかわからない。だから、休めるときに存分に楽しむのがラスパのポリシーなのである。
私たちが、領主様の屋敷を出た後の会話の中心は私のことだった。
「ルシスちゃんはすごいにゃ。ティグレの話しだと、ルシスちゃん1人で、強戦士の半分は倒したらしいにゃ」
「アポロ公爵の援軍3000名も撤退させています。話しを聞いたところ、あの太陽騎士団の団長ケレスを倒して撤退させたらしいです。ケレスはアレスに次ぐ実力者です。私はマーニと協力して、なんとか不意をついてアレスを倒しました。しかし、あの子はケレスを楽勝で倒したと言ってました」
「やはり、あの子は普通の亜人ではないわ。しかし、私たちに協力してくれているし、悪い子ではないのは確かね」
「そうにゃ。ティグレもたいそうルシスちゃんを気に入ってるにゃ」
「ブラカリの領主としては、あの子の事は暖かく見守っていくことにしている。無駄な詮索はしないと決めている」
「そうね。あの子が何者か探っていたが、何も出てこなかったわ。私たちの目的にも協力的なので、下手に詮索して怒らせるのも得策じゃないわ。私たちもあの子の詮索はしないことにするわ」
「私たちは、今まで通り、神守教会の監視を続けます。アポロ公爵の動向も気になりますので」
「ソール・マーニ、今後も注意深く監視することをお願いするわ」
「教皇様、アレスがやられました。部隊もほぼ全滅です」
「そんなバカな・・・あのアレスが負けたのか」
「はい、王都内では、神守教会が聖魔教会に返り討ちにあったと、噂になっています。王女陛下もアレスが国を裏切り暴走して戦死したと発表しています。神守教会の立場がかなり危うくなっています」
「アポロ公爵に、使者を出せ!アポロ公爵の援軍さえ来ていれば勝てたはずだ。責任はアイツにある」
「それが・・・・先程、アポロ公爵様からの使者が来まして、神守教会への援助は、今後一切打ち切るとのことでした。それに、リアムも拘束されトメイトの援軍部隊も壊滅。南の神守教会の拠点は全て失いました」
「アポロ公爵様、ケレス団長が瀕死の状態です。そのため、神守教会への援軍を撤退しました」
「どう言うことだ、何があったのだ」
「詳しい事情はよくわかりません。ただ、3000名の兵士を眠らせる魔法の使い手が現れまして、ケレス団長以外のものは眠らされました。ケレス団長の話しによると、体長3mくらいの羽根の生えた鬼のような化け物が現れたそうです。ケレス団長の全ての攻撃が効かず、一方的にやられたとのことです。ケレス団長は一命は取り止め、少し会話はできますが、いつ亡くなってもおかしくありません」
ケレスには、あの女の子がそんなイメージに見えたのかもしれない。実際は可愛い小さな女の子だったのに。しかし、それだと、信憑性が欠くので、ケレスの言葉通りにワイアットは報告した。
「そうか・・・撤退はいい判断だったぞ。そんな化け物を相手にするのは非常に危険だ。その化け物がもし、ブラカリが放った魔獣なら、神守教会に手を貸すのは辞めておいたほうがいいだろう。一旦神守教会から手を引くぞ」
「フレイヤ様、アレスがソール・マーニ姉妹にやられました」
「あら、アレス死んでしまったのね。神剣グラムを宝物殿から盗んでまで挑んだ戦いなのに、結局は神の子の力を過信してやられたのね」
「やはり、神の子の欠点は過信でしょうか?」
「そうね、確かにアレスのバーサーカーモードは人間の領域を超えているわ、しかし、それを使わなくても、アレスには血の滲むような訓練で得た神技があるわ。神技は基本発動できるのは一つだけだわ。でもアレスは、同時に三つの神技を発動できるのよ。それに、神剣グラムも持っていたわ。バーサーカーモードにならなくても、アレスの実力ならソール・マーニ姉妹の2人相手でも、いい戦いをできるはずよ。しかし、最後にはバーサーカーモードに頼ってしまった見たいね。バーサーカーモードの弱点は理性を失うところよ。あの慎重で冷静なアレスが、結局は自身の強さの過信による油断で負けたのよ」
「そういうことでしたか・・・」
「次の副団長はあなたにお願いするわ。決して、己の力を過信せずに、冷静かつ慎重に動くのよ」
「はい、わかりました。フレイヤ様。今後は神守教会はどのようにいたしますか」
「そうね、アレスのいない神守教会は何もできないわ。次はネプチューン侯爵の動きを監視しないとね」
「ネプチューン侯爵が率いる神光騎士団ですか」
「そうね。神守教会の分派である神光教団の騎士団。彼らの思想も危険だわ」
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