第55話 神守教会との戦いパート7
アレスの胸から、血が吹き出している。
「俺の体に傷をつけやがって・・絶対に許さない。俺の本気を見せてやる。狂戦士(バーサーカー)モードだぁ」
アレスは、神の子の能力を発動した。アレスの体は、みるみる大きくなり、真っ赤な派手な鎧は砕け散り、体長3mの筋骨隆々のゴリラのような化け物に変身した。胸から吹き出ていた血も止まり、傷も瞬時に治っている。
「この見た目は嫌いなので、あまり変身したくなかったが仕方ない。骨の一つも残さないくらいに、お前を砕き潰してやるぜ」
「ついに、本気を出したのね。私も全力でいくわ」
「俺を本気にさせた事を後悔させてやる」
アレスは、ソールを目掛けて突進する。ソールの剣は真っ黒に輝きを放つ。
「爆炎黒陽斬」
ソールが剣を振りかざす。大きな黒炎がアレスを襲う。
アレスは黒炎を叩き落とす・・・が黒炎は爆発する。アレスの体が炎に包まれる。しかし、燃えながらもアレスはソールに襲いかかる。
アレスは、渾身の力でソールを殴りつける。ソールは剣で拳を受け止める。しかし、アレスのパワーに圧倒されて吹き飛ばされる。燃え盛る体のままアレスは、ソールに追撃のパンチを繰り出す。ソールは転びながらも、アレスの攻撃をかわす。アレスのパンチは大地に大きな穴を空ける。
アレスは攻撃の手を緩めない。ソールに目掛けて何度も何度もパンチを繰り出す。ソールは全てのパンチを紙一重でかわす。2人の戦いの場所の地面には無数の穴が作られる。
「しぶとい奴め。これで終わりにしてやるぜ」
アレスは、両手を地面について獣のように四足歩行なる。そして勢いよくソールに目掛けて、走り出す。アレスのスピードはさらに速くなる。
アレスはソールの首元を噛みちぎろうと、首元に目掛けて、突進する。
ソールは、避けるのはやめて剣を構える。ソールは勝負を決める気だ。
アレスはソールの首元目掛けて飛びかかる・・・・が、中に浮いたまま動きが止まる。
「なんだこれは、思うように動かないぞ」
アレスは手足をバタつかせるが、宙に浮いたまま動かない。
「これで終わりだ」
ソールの黒炎をまとった剣が、アレスの首に突き刺さる。しかし、アレスの強靭な首を切り落とすことができない。その時ものすごい勢いで、空からマーニさんが飛び降りてきた。
「ライトニングストライク」
マーニさんが、イカズチのように、空から急降下して、電撃の剣でアレスの首を切り落とす。
「ぐはっ・・・」
アレスの頭部が地面に転がり落ちる。
「ありがとうマーニ。流石に、バーサーカーモードのアレスには1人ではキツかったわ」
マーニは風魔法が得意である。風魔法のゼログラビティで、アレスの体を宙に留めて、動けなくした。そして、マーニ自身は風魔法で上空に浮いていたので、上空から風魔法でスピード加速して、アレスの首を切り落とした。
「バーサーカーモードに入ったアレスは油断したね。それまでは、ソールと戦いながらも、私の位置をしっかりと確認していたわ。しかしバーサーカーモードに入ってからは、私のことは無視してソールにだけ目がいったからね。そして、神剣を手放したのもこちらにとって好都合だったわね」
「そうね。しかし思った以上に強敵だったわ。王都最強の戦士の名は本当だったわね。これで、アレスの能力も解除されて、残りの兵士たちも諦めて撤退するでしょう」
アレスとソール・マーニが戦っている時、同時に強戦士対ラスパ、獣人部隊の戦闘も始まっていた。
「ソールとマーニがアレスを引きつけているから、俺たちは強戦士たちを止めるぞ」
「わかったわ」
「頑張りましょう」
3人は特訓成果を発揮するため気合が入っている。一方私は・・・・
「ルシスちゃん、邪魔だから、降りてくれないか」
「やだ、やだ」
私は、ティグレさんの頭の上に乗っている。ティグレさんの頭の上からは全体を見渡せるし、何よりもフカフカで気持ち良い。
「大事な防衛なんだ。冗談を言っている場合じゃないぞ」
ティグレさんは怒っている。しかし、私はこの場所を死守したいのである。私はやる気を見せるために、強戦士に向けて氷球を投げつける。強戦士は、氷球にぶつかると凍って動かなくなる。
「ルシスちゃん・・・すごいじゃないか」
私の氷魔法を見て、ティグレさんは驚いている。
「魔法には自信があります。攻撃は私がするので、ティグレさんは私を運んでください」
「わかったぜ」
上手くいったみたいである。これで、もふもふパラダイスから降りる必要は無くなった。
「ロキ、きたぜ」
「そうね」
トールさんロキさんは、魔力を全身から解放して、身体強化・スピードアップ・武器の攻撃力アップを無駄なく魔力を注いだ。2人の動きは今までよりもかなり早い。
2人は、次々と強戦士を倒していく。
そして、後方からポロンさんが、魔法の矢で強戦士を攻撃する。特訓通り矢の作成は微精霊に任せて、ポロンさんは自身の強化に魔法を専念する。
ポロンさんの、弓の発射速度・正確性・攻撃力は、今まで以上に強化されていた。
3人は、次々と強戦士を倒していく。
「物足りないな。アレスの相手をしたかったぜ」
「そうね。でも過信はダメよ。今はあの2人のが私たちよりも実力は上なんだからね」
「わかっているぜ、しかし、魔力の使い方で、こんなにも変わるもんなんだな」
「そうね、いい勉強になったわ」
強戦士となった兵隊は決して弱くはない、むしろかなり強敵のはずなのだが、3人がかなり強くなってしまったのである。
「ティグレさんあっちへ行きましょう。次はこっちへ」
ティグレさんは、私にいいように使われている。しかし、私はきちんと強戦士を倒していく。
「ティグレさん、だいぶ強戦士倒しましたよ」
「そうだな。もうひと頑張りだな」
「そうですね」
「ロキ、強戦士達の動きが変わったぜ、もしかしたら、ソール達がアレスを倒したのかもしれないな」
「そうみたいね。一気に叩きましょう」
強戦士たちは、アレスが倒れたことにより、アレスの能力の効力が切れてしまった。元に戻った兵士たちは、周りの状況を見て怯えている。
「アレス様はどこだ」
「まさか負けたのか」
「やばいぞ。逃げろ」
兵士たちは、怯えて逃げ出した。しかし、このまま逃すことしない。アレスを倒した、ソール達も合流して兵士たちを全て捕獲した。
「これで、終わりか」
「そうね。特訓の成果も試せたし、ブラカリの町も守れてよかったわ」
「そうですね。大勝利ですわ」
「ラスパの皆さんお疲れ様です。無事にアレスも倒すことができました。これで、教皇に対してブラカリの襲撃の証拠を確保できました」
「お前らもお疲れさん。アレスの相手は大変だっただろう。ゆっくりと休めよ」
「ありがとう。今後、教皇がどう出るか気になるところだけど、今日はゆっくりと休むわ」
私たちは、ブラカリ襲撃を無事に阻止することができた。長い夜の決戦はやっと終わりを告げたのであった。
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