第334話 魔石国家ケルト王国編 パート4


⭐️裏天界にて



 「ウーラノス様、神人が1人消えたしまったとの連絡がありました」


 「また、人界へ行って悪さでもしているのだろう」


 「それが、人界へ行ったきり戻ってこないそうです」


 「神人が人界で倒される事などありえないから、長期滞在しているのだろう」


 「それはそれで問題です。神人が人界に関与すれば魔界が放ってはいないでしょう」


 「問題ない。魔界とは裏協定を結んでいる」


 「そんな話聞いていませんが・・・」


 「俺個人で交わした協定だ。誰にも話していない」


 「できればお伺いしてもよろしいでしょうか?」


 「そうだな。お前だけには特別に教えてやろう」


 「ありがとうございます」


 「実は5年前に魔界から裏天界へ使者が来たのだ。その使者は魔界NO2のナレッジという魔人だった。ナレッジが言うには、魔王に新たなる子供が産まれたのだが、1人だけ魔界始まって以来の強大な魔力を持つ女の子が産まれたそうだ。その女の子は大魔王になる素質があると判断され魔界で英才教育を受け、ただなる素質を開花させ、3世界に君臨するほどの実力があると判断されたのだ。しかし、魔界の次の魔王争いに、この女の子を参加させたくない勢力であるナレッジは俺に相談しに来たのだ」



 ウーラノスはニヤニヤと笑いながら淡々と喋っている。



 「どのような相談だったのですか?」



 真剣な表情でこの話を聞いているのは太陽神のヘーリオスである



 「魔王の子供は5歳の誕生日の日に悪魔と契約することになっているそうだ。その悪魔との契約を邪魔してほしいとこの事だった。そして、もし可能ならば魔石を浄化して殺してほしいとも言っていた」


 「魔界には魔瘴気という光の魔石にダメージを与える瘴気が発生しています。いくらゼウス様でも魔界に行くのは危険だったのでは?」


 「そうだ。魔界には魔瘴気が発生しているので、天界の民どころが悪魔以外の種族が行くことは無謀だ。しかし、悪魔と契約する場所は、魔瘴気が発生しないように結界が張られている。しかも悪魔と契約する契りの間は、悪魔の住む冥界、神の住む裏天界と時空が繋がっているんで、侵入することはできる」


 「それではその女の子を殺したのですか?」


 「結論から言えばそうだ。しかし、いくら時空が繋がっていて契りの間に入れるからと言っても、魔石を浄化するなんて不可能なのだ」


 「では、どうやって殺したのですか」


 「偶然だ。流石に俺が契りの間に行くのは、魔界の罠かもしれないから代わりに7大天使長のミカエルに女の子の実力を見に行くように伝えたのだ。そして、もし可能ならば悪魔との契約を邪魔するようにと!しかし、偶然にもその女の子は体調を崩していて、悪魔との契約に失敗して途方に暮れていたらしい。そこで、ミカエルは悪魔のふりをして、その女の子を騙して魔石の浄化に成功したそうだ」


 「これで大魔王の誕生の脅威は去ったのですね」


 「いや、ことは簡単に進まなかったらしい。魔石の浄化は成功したが、その女の子の生命力は強くて10歳になるまで生き延びたらしい、しかし、ナレッジは上手い事母親を騙して、その子を魔界から追放して、魔獣に食わせて死んだということだ」


 「哀れなものですね」


 「そうだな。しかし大魔王の誕生が阻止できた事は喜ばしい事だ!」

 

 「そうですね。それで魔界に借りがあるので、魔界から介入がないのですね」


 「そういう事だ!」



 ウーラノスはケタケタを笑う。



 「それなら、神人が人界で何をしても問題ないのですね」


 「そういう事だ!」



 ウーラノスはケタケタと笑う。



 「それなら私が力を与えたプロメーテウスが、人界のケルト王国で王様気取りで遊んでいるのも放置してもよろしいでしょうか?」


 「かまわん。好きにさせておけ。人界などどうなってもかまわん。俺は美味しいお酒が飲めればそれでいいのだ」



 ウーラノスはケタケタと笑う。



 「ちょっといいかしら」



 2人の会話に1人の美しい女性が入ってきた。



 「アプロディーテー、なんのようだ!」


 「ウーラノス様、神人プロメーテウスのいるケルト王国は、次は私を女神と敬拝するキュテラ教国を支配下にしよとしています。これ以上の神人による侵攻は認めるわけにはいきません」


 「どうでもいい事だろ」



 ウーラノスはケタケタ笑いながら言った。



 「ウーラノス様は人界の平和を望んでいないのですか?」


 「何度も言わせるな。俺は美味しいお酒が飲めればそれでいいのだ。人界で何が起きようがどうでもいい。魔界からは裏協定を結んでいるから、魔界からの介入もないのだから好きにさせておけばいい」


 「わかりました。もしケルト王国がキュテラ教国に侵攻することがあれば、私も神人を使って、私の信者を守ります」


 「面白そうではないか!後でどうなったか結果を教えてくれ」



 ウーラノスはそう言うとお酒をガブガブと飲み始めて侍女と楽しそうに騒ぎたした。



 「へーリオス、プロメーテウスをこのまま放置するのですか?」


 「あいつは俺の言う事を聞いてくれないなら困っているのだ。だから、お前も好きにしたらいいと思うぜ。それにウーラノス様の許可はもらったしな!」


 「わかりました。私も好きにさせてもらいます」




 「本当にくらだらない神たちです。やはりルシスさんに力を授けた良かったと思います」


 「そうだな。あの子ならこの3世界を救ってくれるに違いない」



 ミカエルとラファエルはウーラノスの対応を見て、怒りに満ちていたのであった。



 

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