第335話 魔石国家ケルト王国編 パート5

 

⭐️ケルト王国視点になります。



 ケルト王国は、先代の国王の時代からプロメーテウスが、天界の魔石技術を提供していて、近隣の国よりも圧倒的力を誇示していた。しかし、目立つことを避けていたので、アトラースのように竜騎士族を使って国を滅ぼすような遊びをしていないかった。しかし、アトラースが150年ぶりに大きなイベントを起こす際に、どちらが多くの人族を殲滅できるか勝負をすることになったので、ケルト王国を使って大きな戦を起こすことにした。


 プロメーテウスは、先代の国王が亡くなった時に、国王の座を奪いケルト王国の王になっていた。天界の生活とケルト王国の王という二つの顔を持っていたが、ケルト王国の国民はプロメーテウスが神人だと知る者はほとんどいない。


 プロメーテウスを神人だと知っているのは、プロメーテウスから力を授かった4人のケルト魔石具団の4隊長のみである。



 「テウス様、スピナッチ国とトゥーニップ共和国は敗北を宣言しました。どのようにいたしましょうか?」



 プロメーテウスは人界ではテウスと名乗っている。



 「国王を捕らえて俺のところへ連れて来い」


 「そう言われると思っていましたで、両国の国王を拘束して連れてきています」


 「ダグザ、準備がいいな」



 ダグザとは魔石具団の隊長の1人火炎のダグザである。ダグザはプロメーテウスから与えられた魔石具で作られた白銀の鎧を着て、腕についているボタンを押すと事で様々な炎を操ることができるのである。そして、プロメーテウスに与えらえた能力により巨人化することもできる。



 「ありがとうございます。テウス様のお役に立てるために私は生きているのです」


 「いい心がけだ。今後も期待しているぞ」


 「はい。では、捕虜である王を連れて来させます」



 ダグザは、部下に声をかけて両国の国王をプロメーテウスの前に連れてきた。


 国王たちは腕を縛られて動けないように拘束されている。



 「一度だけしか言わない。今すぐに兵を出してキュテラ教国へ攻め込め。お前たちが俺にできる事は、領土を私に差し出すことだ」


 「無茶なことは言わないでくだい。今回の戦で私どもの兵は、ほぼ壊滅状態です。このような状況で新たな戦に行くのは不可能です」


 

 スピナッチ国の王は、プロメーテウスの申し出を断った。すると王の体は突然燃え上がり一瞬で灰にになった。



 「お前はどうするのだ」



 トゥーニップ共和国の国王はガクガクと震え出した。



 「今すぐに戦の準備をいたします。少しでもテウス様の役に立てるように努めたいと思います」


 「いい心がけだ。こいつの拘束を解いて火炎馬車を使って、すぐにキュテラ教国へ攻め込む準備をさせろ。そして、我が国の魔石具を与えてキュテラ教国を炎の楽園にいざなってやれ」


 「わかりました。すぐに準備をしたします。私も同行した方がよろしいでしょうか?」


 「いや、クーフーリンの部隊を同行させろ」


 「わかりました。すぐにクーフーリンに連絡を取ります」



 クーフーリンも魔石具団の4隊長の1人蒼炎のクーフーリンと呼ばれる男である。フレイムと同じ鎧を着ているが、クーフーリンは魔石具がはめ込められた蒼炎の剣を使いこなす。そして、クーフーリンも巨人化できるのである。


 ダグザの指示により、クーフーリンの部隊はトゥーニップ共和国の王を連れて旅立った。



 「テウス様、なぜ我々でキュテラ教国を攻め込まないのですか?」


 ダグザは疑問に思っていた。弱小国であるトゥーニップ共和国を使ってキュテラ教国に攻め込む意味がわからないのである。



 「あの国は女神アプロディーテーを崇拝している国だ。神の機嫌をそぐわないか様子を見るのだ」


 「神が我らの邪魔をするのでしょうか?」


 「神は人界での出来事は興味がない。それに神は直接人界への介入はしない。しかし、俺は神人だ。神人である俺が関わっていれば、神も何かしらアクションを起こしてくれるかもしれない。その状況を探るためにも、全軍を上げてキュテラ教国に攻めるのは危険だ。だから、トゥーニップ共和国を使って様子を見ることにした」


 「さすがテウス様、神の事情など全く理解できない私には想像もつきませんでした」


 「俺の考えすぎかもしれないが、あまり派手に暴れるとバレるからな」


 「いえ、そんなことはありません。慎重に行動するのが1番だと思います」


 「そうだな。しばらくは何も起こらないだろうから、俺は天界に戻るとするか」

 

 「テウス様、待ってくだい。明日『ホロスコープ星国』から、魔法の研修生がこれらますがどうしますか?」


 「またか・・・この国は魔石具国家であって、魔法国家ではないのだぞ!この国の高度な魔法は全て魔石具の力によるものだ。それに『ホロスコープ星国』とはどこの小国だ?」


 「『ホロスコープ星国』は北の大地にある国でございます。『星の使徒』と呼ばれる『ゾディアックサイン』の能力を持つ者が支配する国と聞いています」


 「能力者の国か・・・まぁ良い。その研修生から『ゾディアックサイン』という能力の事を聞き出しておけ、キュテラ教国の次は『ホロスコープ星国』を滅ぼすぞ」


 「わかりました」



 プロメーテウスはダグザに指示を出して、一旦天界へと戻っていった。


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