第209話 神守聖王国オリュンポス パート18
「ソール、マーニ大丈夫」
ロキさんが2人に駆け寄った。
ソールとマーニは全身から血を出しながらもかろうじて息をしている。しかし意識はないみたいである。
「ポロン、回復の矢を使って、ソールとマーニを助けてあげて」
「わかったわ」
ポロンさんは回復の矢を使った。ポロンさんは精霊神と契約したため、回復の矢の効果も数段レベルアップしていた。
ソールとマーニはポロンさんの回復の矢の効果で全身の傷が癒やされた。しかし、私の治癒魔法ほどの力はないので全回復とはいかなかった。
でも、ソールとマーニは意識を取り戻してダメージも7割くらいは回復した。
「ロキ、私の回復の矢ではこれが限界よ。あとはルシスちゃんが合流したら、完全に回復してもらうわ」
「これだけ回復できたら問題ないわ。ポロンの回復の矢もかなりレベルが上がったわね」
ロキさんに褒められて、ポロンさんは嬉しそうにニヤけている。
「ソール、マーニもう大丈夫よ」
「ロキありがとう」
マーニがボソリと呟いた。
「ロキさん、少し見ない間にかなり強くなったみたいね。もう私たちをはるかに超えてしまったようね」
ソールが嬉しそうに言う。
「ルシスちゃんのおかげです。あの子のアドバイスのおかげでみんな強くなれたわ」
「ロキ!こいつはどうする」
トールさんがアレスを『氷結ハンマー』で氷漬けにしていた。
「アレスを葬らないでください」
ジュノがトールさんにお願いした。
「ロキさん、アレスをそのままにしておいてください」
ソールもお願いした。
「何か事情があるのですね」
「実は・・・」
マーニが突然、ジュノとアレスの恋バナを最大限に誇張して熱く語り出した。
「以前の宿敵だったアレスはもういないわ。今ここにいるアレスは、切ない恋をする1人の純粋な乙女なのよ。アレスは、ブラカリの侵攻に参加したのはジュノという婚約者の為に、強い自分を証明するためだったのよ。そのアレスの純粋な気持ちを利用したのが神守教会だったのよ。アレスは婚約者のジュノを喜ばすために必死に神守教会の為に戦ったわ。しかし、そんな事情も知らなかった私達が殺してしまったのよ」
「そうだったのね」
ロキさんとポロンさんが真剣に聞いている。
「しかし、アレスはハデスの闇の能力によってゾンビとして生き返ったわ。本来なら、ハデスの支配下になるはずだったのに、アレスのジュノを思う愛の力で、ハデスの支配から逃れて、この地下遺跡でジュノと運命の再会を果たすこととなったのよ。アレスはジュノと再開して、2人の悲願である結婚式をこの地下遺跡で行うことにしたのよ」
「運命ってやはり存在するのね」
「素敵ですわ」
ロキさんとポロンさんの瞳から一筋の涙がこぼれ落ちた。
「しかし、そんな時に現れたのが、この地下遺跡の支配者であるユーピテルよ。ユーピテルは2人の結婚式を阻止しようと、あらゆる手で、アレスとジュノの仲を引き裂こうとしたのよ。しかし、アレスとジュノの絆はどんなことがあっても引き裂くことはできなかったわ。私もソールと協力してアレスとジュノの結婚式を決行するために最善を尽くしたわ」
「人の恋路を邪魔するなんて、ひどい人ですわ」
「本当ですわ。葬って正解ですわ」
ロキさんとポロンさんは激しくお怒りになる。
「しかし、ユーピテルの力は絶大だったわ。私とソールはユーピテルの力の前に敗れてしまったわ。そして、ジュノとアレスもユーピテルの力の前では赤子同然だったわ。しかし、アレスは身を挺してジュノを守ろと必死に戦ったのよ。そんなアレスの姿を見て、ジュノは、ますますアレスの魅力の虜になってしまったの。そして運命の選択の時がきたのよ」
「運命の選択?」
ロキさんとポロンさんがワクワクして話を聞いている。
「そう運命の選択よ。アレスはジュノを庇ってボロボロになってしまったわ。そんなボロボロになったアレスの体を乗っ取ろうとハデスが現れたのよ。しかし、アレスはハデスに体を乗っ取られるのを避ける為に、ジュノに魂を浄化するようにお願いしたのよ。もちろん浄化されたら、アレスは2度とジュノとは会えなくなるのよ。それを承知でアレスはジュノにお願いしたよ」
「アレス・・・素敵だわ」
「本当ですわ」
ロキさんとポロンさんはアレスを応援し始めた。
「アレスは、ハデスに操られて最愛の人であるジュノを傷つけたくなかったのよ。だから、アレスは浄化をお願いしたわ。しかし、そのお願いに断固としてジュノは断ったのよ。ジュノは愛しきアレスを浄化するくらいなら、アレスに手によって殺されることを望んだのよ。そんな純愛を貫く2人を神様は見捨てることはしなかったわ・・・そうあなた方が2人を救ったのですわ」
「そんなことがあったのね・・・」
ロキさんが涙を流して感動している。
「いい話ですわ」
ポロンさんがうっとりとして頷いた。
「ククク・・・」
トールさんは、笑いを堪えること必死である。
「その話はほとんど嘘です。私がきちんと説明します」
ジュノが慌てて訂正したのであった。
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