第285話 ホロスコープ星国 パート62
「私が貴方の相手をします」
私は、ティルヴィングを構えた。
「俺は無敵だ!」
楽しみにしていた朝食を食べれかったジェミニは、冷静さを失っている。
しかし、私の剣のスキルは一般兵以下の実力である。剣での戦いは完全に不利なのであった。でも、私にはティルヴィングがある。なのでこの戦いは、ティルヴィングの力と『神剣』の能力の戦いである。
私は、適当にティルヴィングを数回振りかざした。それは、ティルヴィングの力を試すためであった。私はまだティルヴィングの力を把握していないのである。
「えい、えい、えい」
私の情けない声が食堂に響いた。
しかし、その情けない声とは裏腹に、ティルヴィングからは、光の斬撃が放たれたのであった。光の斬撃は、ジェミニに向かって飛んでいく。ジェミニはすぐに剣を振りかざして、斬撃を打ち払う。
「面白い武器を使うみたいだな。しかし、俺の『神剣』の能力の前では無意味だ」
ジェミニは高々に笑いながら言った。
「面白いですぅ〜」
私はティルヴィングから光の斬撃が出て事に、非常に興味を持ったのであった。ティルヴィングは直接攻撃しなくても光の斬撃が放たれるので、間合いを気にしなくても良い。なので、ジェミニに近寄る必要がないので、私の勝利の兆しが見えてきたのであった。
私は調子に乗って、ティルヴィングを10回以上振りかざした。
「えい、えい、えい、えい、えい、えい、えい、えい、えい、えい、えい」
情けない私の声が食堂に響き渡る。
「フェニちゃんは、掛け声を出さないと剣を振れないのかしら」
ヴァンピーが私の事を心配する。ヴァンピーの心配をよそに、無数の光の斬撃がジェミニを襲う。
「フン、フン、フン、フン、フン、フン、フン、フン、フン、フン、フン」
ジェミニも私に対応するかのように声を上げながら光の斬撃を打ち払う。
「無駄だ!」
ジェミニは、全ての光の斬撃を打ち払って、余裕の笑みを浮かべる。
「そうだ。いいことを思いついたですぅ」
「えい、えい、えい、えい、えい、えい」
私は、ジェミニのいない方向に向かって剣を振ってみた。すると、光の斬撃は急カーブをして、ジェミニを襲うのであった。これが、ティルヴィングの凄いところなのである。どの方向に剣を振るっても、最終的には、レーダーが付いているかのように、ジェミニの方へ斬撃が飛んでいくのであった。
思いもよらないとこらから、斬撃が飛んでくるので、ジェミニは驚いている。しかも、朝食を取れていないので、冷静さを失っているジェミニには、予測不能な角度から飛んでくる斬撃に対処するのは至難の技であった。
「くそ、くそ、くそ、くそ、グギャーーー」
光の斬撃を4つまでは防ぐことはできた。しかし、残りの二つの斬撃を防ぐことができずに、腹部と肩部に斬撃を喰らったのであった。
光の斬撃の衝撃で、ジェミニの鎧は砕け散り、腹部と肩部から血が滴り落ちる。
「この俺が、攻撃を喰らうなんて・・・」
生まれた初めて攻撃を喰らって、ジェミニは放心状態になっている。
「今がチャンスよ」
ヴァンピーは声を上げた。
「えい、えい、えい、えい、えい」
私は、四方八方にティルヴィングを振って、予測不能な光の斬撃を撃ち放った。あらぬ方向から向かってくる光の斬撃に、ジェミニは全く対処できない・・・
そした、無数の光の斬撃がジェミニの体を引き裂いた。
「これで勝ったと思うなよ・・・」
ジェミニは捨て台詞を吐いて、血だらけで倒れ込んだのであった。
「フェニ王の勝利です」
レオが私の勝ち名乗りを上げた。
「さすがフェニ王です」
キャンサーが嬉しそうに言った。
「ちょっと待って・・・ジェミニの様子がおかしいわ」
ジェミニは食堂の床で血だらけになって倒れ込んでいる。しかし、ヴァンピーは少し違和感を感じたのであった。
ヴァンピーはジェミニの元はすぐに駆け寄った。
「そんな・・・」
ヴァンピーの顔が青くないっていた。
「ヴァンピー、どうしたのだ!」
レオがヴァンピーの表情を見て異常事態だと悟った。
「ジェミニは死んでいないわ。ここで血を流して死んでいるのはポルックスよ」
「どういうことだ!」
レオの表情が凍りついた。
「ポルさん・・・」
私はポルックスの元へ駆け寄った。
「ポルさん、ポルさん、返事してよーー」
私は、泣きながらポルさんの体を揺らしながら声をかけた。
「フェニちゃん・・・」
「私がポルさんを殺しちゃったの・・・・」
私は、仲間であるポルさんを殺してしまったみたいである。
「フェニちゃんは、何も悪くないわ・・・でも何が起こったのかしら?」
ヴァンピーは、私に優しく声をかけてくれた。しかし、ポルックスが死んでいるのに間違いはない。
「ポルさん、ポルさん、ごめんなさい。ごめんなさい」
私は激しく動揺していた。ヴァンピーの両親の敵討ちのために、そして、ホロスコープ星国の未来のために、私はジェミニを倒したはずが、私の目の前に血を流して死んでいるのはポルックスである。どうしてこうなったのか、全く理解ができずに、感情を抑えることができないのであった。
「・・・」
レオもキャンサーも私になんて言って慰めたらいいのか、わからないのであった。
「リプロ様、ポルさんを助けてください・・・」
私は、無意識にリプロ様に助けを求めた。死んだ人を生き返すことができるの力を持っているとすれば、リプロ様しかいないのであった。
「その人はまだ、死んでないよ。体が入れ替わったので、体に魂が馴染んでいないだけだよ。でも、かなり体が損傷しているので、すぐに回復魔法をかけないと、息を吹き返しても、すぐに死んでしまうよ」
と私にリプロ様が声をかけてくれた気がした。
「リプロ様、ありがとうございます」
私は、リプロ様に言葉に従って、ポルックスに回復魔法をかけ続けるのであった。
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