第270話 ホロスコープ星国 パート47
私たちは、ノスフェラーに案内してもらって、簡単にヴァルゴの屋敷の中へ潜入した。
「ノスフェラーさんは、なぜレジスタンスを創設したのですか?」
私は、気になったので聞いてみた。
「話せば長くなるわ。でも、どうしても言うのなら、話してもいいわよ」
ノスフェラーの目は、明らかに、話したそうに爛々と輝いていた。
「長いのは面倒なので、聞かないですぅ〜」
理解力に乏しい私は、話が長くなると眠たくなるので、聞くこと諦めた。
「わかったわ・・・そんなに聞きたいなら、話してあげるわ」
ノスフェラーは、私の言葉は届いていない。それほど話したいのであろう・・・
「私たちヴァンパイヤ一族は、大きな森の中にあるドラキュラ城で、ひっそりと過ごしていたわ。しかし50年前に突然、多くの魔獣を引き連れて、魔獣王と名乗るラードーンが現れたのよ。ラードーンは百の頭を持つ大きなドラゴンで、あっという間にヴァンパイヤ一族を殲滅してしまった」
「まだ続くのですか?」
私のあくびをしながら言った。しかし、そんな私のガヤにもめげずノスフェラーは語り続ける。
「しかし、奇跡的にドラキュラ城に不在だったの私の両親が、異変に気づいて、ホロスコープ星国に逃げてきたのよ。そして、私の両親は、人間のふりをしてホロスコープ星国で暮らすことにしたの。ヴァンパイヤ族は、人間よりはるかに身体能力が高く、高度な魔法が使えるわ。なので、両親は冒険者として、生活することにしたのよ。両親が住んでいたカペラの町の住人は、とても優しくて親切だったので、少しでもカペラの町の人の役に立ちたいと思って、冒険者になったのよ。その時は、ホロスコープ星国は今ほど、『星の使徒』を中心とした独裁国家ではなかったが、『星の使徒』を中心とする、力のあるものが、とても強い権力と財力を持っているのは今とあまり変わらなたったわ」
「話が長すぎて、全然頭に入らないですぅ〜。もっと手短にお願いしますぅ〜」
私は、眠たい目を必死こじ開けようと努力していた・・・が、ノスフェラーの饒舌な口は、止まることを知らない。
「私の両親は、貧しいカペラの町の人のために、次々と難しい依頼をこなして、ホロスコープ星国で1番の冒険者になったのよ。両親の強さに感銘を受けた先代の国王は、王国直属の冒険者に任命したわ。そして、その子供の私とヴァンピーは16歳の時には、王国魔法師団に入隊を嘆願されて、仕方なく入隊したのよ。先代の国王はジェミと違って、実力ある者には、地位も名誉もお金を惜しみなく与える人だったわ。しかし、5年前に国王が亡くなって、新たに王に就いたジェミニは、自分の都合の良い人物だけを可愛がり、自分に少しでも意を唱えるものは、すぐにアケルナルの町へ投獄するようになったわ。兵士たちの賃金も最低限に抑えらて、奴隷のように扱うようになったわ。そして、国民への税金も3倍以上になって、国民たちの生活は一変してしまったわ」
『スヤスヤ・スヤスヤ』
もちろん、話が長いので、私は眠ってしまったのであった。
「私の両親もジェミニの横暴を許せなかったが、反抗すると弱い国民の仕打ちが酷くなると思い、ジェミニの独裁を黙認していたわ。しかし、私たち3姉妹は、両親の反対を押し切って、ジェミニを倒すべくレジスタンス『レッドブラッド』を結成したわ。次女のヴァンピーは王国の魔法師団に残り、ジェミニの動きを監視して、私はジェミニの側近として王国内部で活動していたわ。そして、1番幼いドラキュンは、ハダルの町で、アケルナルの町へ投獄される罪人を保護することにしたのよ。ドラキュンには、『ヴァンパイヤ化』の能力があるから、ハダルの町へ逃げた者は、了承を得て、『ハーフヴァンパイヤ』になって身体能力を強化して、自衛に備えてもらっているわ。それに、私がハダルの町は、魔獣に囲まれた危険な町とジェミニ伝えて、ハダルの町へ近づけないように工作もしたわ」
「まだ、話が続いているの・・・それならもう少し眠るですぅ〜」
私は、一旦目が覚めたが、まだまだ話が長くなると察知して、二度寝をすることにしたのであった。
「そして、ヴァルゴが、アケルナルの町へ投獄されると聞いて、私は志願して、アケルナルの町の管理業務に就いたのよ。それは、いずれヴァルゴの『魅惑』の能力が必要になると思ったのと、ヴァルゴの『魅惑』によって、アケルナルの町が崩壊しないようにするためよ。私には『魅惑』の能力は通用しないからね。しかし、アクエリアスが簡単に、ヴァルゴの『魅惑』にかかってしまい。ヴァルゴの手足となって動いているので、とても苦労したわ。しかし、やっと革命の時が訪れたと思うと、とても嬉しいわ」
ノスフェラーは、革命の時をずっと待ち望んでいたのであった。
「あなたが、ヴァンパイヤだったから、私の『魅惑』が通用しなかったのね。これでやっと謎が解けたわ」
ヴァルゴが、悔しそうに呟いた。
私たちは、ヴァルゴの豪華な屋敷の豪華な部屋で、ノスフェラーの長い話を聞いていた。レオ達は高級ソファーに座りながら、必死にしゃべるノスフェラーの話を文句も言わずに黙って聞いていた。もちろん私は高級ソファーで『スヤスヤ』と安眠をしていた。
ノスフェラーは大きな声で、熱弁していたので、すぐにヴァルゴが異変に気付いて、この部屋にやってきて、レオ達と一緒に大人しくノスフェラーの話を聞いていたのであった。
「ヴァルゴ・・・いつの間にこの部屋にきたのよ」
ノスフェラーは、自分の話に酔っていて、回りが全く見えていなかったのであった。
「ここは私の屋敷よ。あんな大声で熱弁していたら、すぐに気付くわよ」
ヴァルゴは当然のことを言う。
「まぁ、いいわ。まだ私の両親の死について話していないけど、もう少し大人しく聞いていてくれるかしら」
ノスフェラーはどうしても、全てを話したいのであった。
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