第379話 カースド共和国編 パート1
⭐️場面は代わり表天界になります
「つまらない合コンだったわね」
パイスがため息をついた。
「そうね。でもそれは初めからわかっていたわ」
落胆した表情でオリーブが言う。
「私たちが知りたかった情報も全く入手できなかったわね」
アプロスは椅子にもたれかかりガッカリしている。
「でも、アプロスはウーラノス様のデートのお誘いを受けていたのでは?」
「仕方がなかったのよ。いくらウーラノス様に、魔界の王女の魔石を浄化したのは誰なのか尋ねたけど、全く教えてくれなかったわ。でも、デートしてくるなら教えてくれると言ったのよ」
アプロスは苛立ちを隠せずにテーブルを叩きつける。
「カァラァちゃんとの約束もあるから、アプロスの判断は正しいと思うわ。でも、あのセクハラ親父のウーラノスとのデートなんて気持ちが悪すぎるわ」
同情の目でオリーブはアプロスを見ている。
「でも、ナレッジという男もバカだよね。ウーラノス様に遊ばれているとも知らずに、魔界の情報をベラベラと喋るなんて・・・」
「そうね。大魔王になる王女が無事に育てば、この3世界は魔界が征服することができたのにね」
「ナレッジはそれが嫌だったのかもね。ナレッジは自分が3世界を支配したいから、自分が管理できる魔王を選出したかったのね。だから魔界の王女の暗殺を依頼したみたいね」
「本当に男ってバカよね。3世界仲良く平和に暮らせばいいのに。でも、ウーラノス様は自分が自由に過ごせたら他はどうでもいいという考えなので、他の世界に無干渉過ぎるのも問題だけどね」
「ナレッジもウーラノス様もどちらもバカだわ。結局自分のことしか考えていないのだからね。ウーラノス様は今日も可愛い天使とデートだと言っていたわ」
「それよりも、アプロスはいつウーラノス様とデートするのよ」
「1ヶ月後よ。私はこれからアプロディーテー様の依頼でまた人界へ行かないと行けないのよ。それにウーラノス様も天使達とのデートと合コンで忙しいからね」
呆れた顔でアプロスは言った。
「そうなのね。その時に魔界の王女の魔石を浄化した犯人が見つかるといいね」
⭐️場面は代わりルシス視点になります。
私は『ホロスコープ星国』の改築工事を終えて、大金も持って『オリュンポス国』のラディッシュの町に戻ってきた。そして、ポルックスから頼まれていたジェミニたちを『ホロスコープ星国』に強制送還できないかロキさんに相談した。
「そういうことならネテア王に報告しないとね」
「俺は面倒だからここに残るぜ」
「私もよ」
トールさんとポロンさんは王都に行くのは面倒なので嫌なのである。
「これも大事な任務のうちなのよ!最近は『オリュンポス国』も平和になったので依頼も少ないから、暇でやることがないでしょ!」
『オリュンポス国』は神守教会が滅亡し、ネテア王の進める『全人類共同政策』が加速して、あらゆる種族が仲良暮らす法案が可決されたのである。それに伴ってブラカリの町のプルート伯爵、ラディッシュの町のディーバ伯爵、ガッリーナの町のハデス教組、パーシモンの町のバルカンの4人が『オリュンポス国』の新4大勢力として頭角をあらわしてネテア王の進める『全人類共同政策』に全面的に協力していた。
それにより、格段に争いがなくなり国は平和になり冒険者の仕事も無くなった・・・わけではないが、高ランクのC1ランク冒険者になったラスパへの依頼だけが無くなったのである。
「俺はもっと激しいバトルがしたいんだ!せっかくの見せ場もサラに奪われて、俺はまだミョルニルを全然使っていないぞ」
ミョルニルとはバルカンが作った神剣である。神の力を宿すハンマーであるが、いまだに本領を発揮していない。
「平和なことはいいことでしょ。それに戦うだけが冒険者の仕事ではないわ。この国のために貢献するのも冒険者の仕事よ。今回のルシスちゃんが『ホロスコープ星国』から請け負った依頼もきちんと果たすべきだわ」
もちろんポルックスからの依頼はタダではない。きちんと依頼を達成すれべ報酬は貰えるのである。
「俺は戦いたいのだ!」
ロキさんの説得もトールさんは耳を傾けない。
「トールわかっているの!あれほどあったラスパの財源もあなたとポロンの暴飲暴食のせいで、ほとんどなくなってきているのよ。お金を稼がないのなら食べるのも禁止よ」
「禁止ですよ!」
ロキさんの肩に乗っている小ルシスがクスクスと笑いながら言った。
子ルシスとは私が作ったゴーレムである。私がロキさん達と離れていいる間に伝令役として作ったのである。私が戻ってきたので回収しようと思ったが、ロキさんが子ルシスを気に入ったのでロキさんにあげたのである。
「本当に・・・もうお金がないのか!!」
トールさんの顔が青ざめる。
「本当よ。あなたがどんだけ食べたかわかっているの!」
「嘘だと言ってくれーーー」
「本当ですよ」
子ルシスはニコニコと笑っている。トールさんがお金がなくなって悲しんでる姿を見て楽しいのである。
「私の分は残っているわよね。私はトールほど食べていないわよ」
ポロンさんは毅然とした態度で私は無関係だと主張をした。
「ポロン、あなたも同罪よ。これも見てみなさい!」
ロキさんは財布をポロンさんに投げつけた。
「嘘よ。絶対に嘘よ」
財布の中身を見たポロンさんは現実を受け止めることができない。
「明日からは野宿よ。宿屋に泊まれるのも今日までよ」
「いやよ。私はフカフカのベットじゃないと寝れないわよ。そうだ!ルシスちゃんの簡易の家を使えばいいじゃないの!」
「さすがポロン!俺たちのフカフカベットは確保されたぜ」
「無理よ。私とルシスちゃんは王都へ行くのよ、2人は王都へ行かないと言ったわよね」
ロキさんは冷たい視線で2人を睨みつけた。
「私も行くわよ。どんな依頼でも受けるのがラスパの方針だわ」
あっさりと手のひら返しをしたポロンさんだった。
「ポロン、お前だけに辛い仕事を押し付けるわけには行かないぜ。俺も手伝ってやるぜ」
もちろんトールさんも全力で手のひら返しをするのであった。
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