第380話 カースド共和国編 パート2


 トールさんとポロンさんは渋々王都へ行くのを決めたのであった。



 「ロキお姉ちゃん、王都に向かう前に少し相談があるのです」


 「ルシスちゃん、どうしたのかしら」



 私はロキさんに『ホロスコープ星国』での生活をよくする魔石具のことを説明した。そして、それによって大金を手に入れたことも告白した。



 「ルシスちゃん・・・そんなすごい魔石具を作ることができるの?」



 私は、この異世界に転生する前は地球というこの異世界とは全く文明が違う世界に住んでいた。地球では魔法や魔力など不思議な力がない代わりに、科学の発展によって、この異世界とは全く違う進化を遂げている。私は地球で発明された便利な物を、魔法でこの世界で再現することができるのである。なので、私が作り出す物にこの異世界の住人は驚くのである。



 「簡単にできます。いろんな魔石具を作って『ホロスコープ星国』でお金を稼いがので、『オリュンポス国』でもお金が稼げると思ったのです」


 「もちろん、稼げるはずよ。こんな素晴らしい魔石具ならみんな喜んで買ってくれるはずよ。一度ディーバ様に相談するといいと思うわ」



 ロキさんは、私の魔石具に一筋の希望を見出したのである。



 「なんの話をしているんだ!」



 私とロキさんでコソコソと話をしているので、気になったトールさんが割って入ってきた。



 「大金があるじゃないか!」



 私がロキさんに見せた売上金をトールが覗き見した。



 「本当だわ!これで王都に行かなくてもブドウ酒がたくさん飲めるわよ」



 ポロンさんのテンションが上がった。



 「ポロン様、私にも美味しいお酒をください」



 呼ばれてもいないのにポロンさんの精印からイフリートが顔を出した。



 「ルシス!そのお金を俺によこせ」



 トールさんが私の大金の入った袋を鷲掴みした。



 「やったぜ!大金をゲットだぜ!」



 トールさんは私の大金の袋を頭の上に突き上げて嬉しそうに叫んだ。



 「トール、飲みにいきましょう」


 「もちろんだぜ!」


 「ぜひ、行きましょう」



 2人と妖精1匹が大金の入った袋を抱えて姿を消した。



 「トール!!!」



 ロキさんが大声で叫ぶがもう姿は見えない。



 「ルシスちゃん、ごめんなさい。私が油断したばっかりに大金を取られてしまったわ」



 ロキさんは唇を噛みしてめ私に謝る。



 「ロキお姉ちゃん、大丈夫ですよ」



 私ではなく小ルシスがロキさんに声をかける。



 「私が瞬時に中身を小石にすり替えました。大金はここにあるので問題ないのです」



 小ルシスは、ロキさんの頭の上をプカプカと飛びながら大金の入った袋をロキさんに渡した。私は、小ルシスが大金の入った袋からお金を瞬時に移動したのを知っていたので、トールさんが大金の入った袋を盗んでも何も言わなったのである。



 「小ルシスちゃんありがとうね」



 ロキさんは小ルシスの頭をナデナデする。小ルシスは嬉しそうに微笑む。



 「ロキお姉ちゃん、トールお姉ちゃんたちのことは放っておいて、ディーバ様の屋敷に行きましょう」


 「そうね。魔石具のことで相談しないとね」



 そして、私とロキさん小ルシスはディーバ様の屋敷に向かった。




 「素晴らしわ。私の屋敷にも自動ドア、大浴場を作ってくれないかしら?」



 ディーバ様は、特にジェットバス機能付きの大浴場が気に入ったみたいである。



 「これくらいの予算になります」



 私は素早く頭の中でそろばんを弾いた。



 「ルシスちゃん、もう少し安くしてもらえないかしら?いろいろと復興支援をしているので、無駄使いはできないのよ」



 ディーバ様は情に訴える作戦に出た。



 「ルシスちゃん・・・少しは安く仕上げることはできないかしら」



 情にもろいロキさんはすぐに撃沈した。



 「ルシスお姉ちゃんはがめついですよ」



 小ルシスはロキさんの味方についた。


 私は3体1の構図になったので、渋々値段設定を変えることになってしまった。



 「今回は特別料金にします。その代わり皆さんに宣伝してください」



 私は、ディーバ様の人脈の深さを考慮して、宣伝してもらう代わりに格安の値段で、自動ドアと防犯モニター、サウナ・ジェットバス付きの大浴場を作る契約を交わしたのであった。



 「ディーバ様、大浴場ができたら私も入らせてもらってもよろしいでしょうか?」



 ロキさんも話を聞いていて大浴場に興味を持っていたのである。



 「もちろんよ。ロキさんと小ルシスちゃんのおかげで安く買うことができたのよ。みんなで一緒に入りましょう」



 3人は、まるで私がぼったくり商法をしているようなそぶりで話しをしている。しかし、それは間違っていないかもしれない。私の魔力と魔法技術があれば簡単に作ることはできるのである。しかし、素材には限りがあるので、稼げる時に稼ぎたいと思っただけで決しボッタクリの意識はない。



 「王都から帰って来たら作業に取り掛かりたいと思います」


 「そうね。『ホロスコープ星国』の件を先に解決しないとね。カプリコーンとライブラは、ネテア王の判断である程度自由に動ける場所で過ごす許可を与えているみたいよ。しかし、ジェニは反抗的な態度を取るから王都の牢屋に入っているみたいよ。時期に『ホロスコープ星国』に使者を送る予定だったから、ルシスちゃんから『ホロスコープ星国』の判断を伝えるのはネテア王も助かるはずよ」


 「ルシスちゃん、急いで王都へ行ったほうが良さげね」


 「そうみたいです。でも、ジェミニは全然改心する気はないみたいです」


 「そうね。あとは『ホロスコープ星国』に任せましょう」



 「ディーバ様!大変です」



  兵士が血相を変えて応接室に駆け込んできた。



 「何があったのですか!」


 「食い逃げです!ある食堂で暴飲暴食を繰り返した挙句、石ころをおいて食堂から立ち去ろうとしたのです」


 「こんな平和な町で、食い逃げをするなんて誰なんでしょう。すぐに取り調べをするわ」


 「ちょっと待ってください」



 私は思わず大声で叫んだ。



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